以前薬価引き下げが続いて売っても利益がでない薬剤は、製薬会社も作りたくないので不足するといったことを書きました。

 

今回は逆に高額の薬剤についてです。

ここ10年くらいの間に分子標的薬や生物学的製剤といった悪いところにピンポイントで効く薬が次々と開発されました。

例えば抗がん剤などをみると、過去の薬は、がん細胞を殺すのが目的だけれど正常の細胞にもダメージを与えるものがほとんどで、効果はそこそこあるものの、使いすぎると体がもたないので続けられないのが実態でした。

新しい薬はピンポイントで働きますから、がん細胞には効果が高く、体のダメージもそこまでではないという薬です。

患者さんにとっては大きな福音ですが、問題は値段が高いことです。

 

前回触れましたが、これらの薬を使い続ける患者さんには高額療養費制度を利用されている方が多く存在します。

この上限額があがると、この制度を利用されている方にとっては治療を続けられるかどうかの死活問題になるわけです。

結局今回の改正はとりやめになりましたが、今後は検討を続けるということになったようです。

 

さて、これに関連してある番組での田村元厚労大臣の発言が気になりました。

 

高額の薬剤を保険で使っているわけですが、これらの薬剤も薬価改正の度に価格が下げられます。

薬価は製薬会社が決めるわけではなく厚労省が決めています。

製薬会社としてはどんどん薬価を下げられるのではたまったものではないでしょう。

高額の薬剤の多くは海外の製薬会社が開発したものです。

国際価格をもとに決めているのでしょうが、ただでも高額な薬剤が円安のため、円あつかいの薬価はさらに高額になります。

逆に言うと海外の製薬会社からみると円で固定された薬価は円安が進むにつれてドルベースでは安くされているのと同じです。

円安で安くされているのに加えて、薬価改定の度に薬価を引き下げられているわけですから海外の製薬会社から見たらダブルパンチでしょう。

 

田村元厚労大臣によりますと、上記のような理由から海外の製薬会社は新しい薬を開発しても、日本市場に申請すらあげてこなくなっているとのことです。自分たちで薬価が決められず、どんどん価格を下げられるような国では商売ができないということですね。

ですから、海外で新しく効果が高い薬が開発されても日本では使えない状態になっていく可能性があります。

こんなことも”薬が足りない”事態をひきおこすわけですね。