第18話「鈴の音」
阿弥「亜実さんたちに…会わせる顔がない…ですか」
桑島「……はい、ですから…
亜実と父の命日に会っている…というのも……嘘です」
「………そうですよね?」
「え!?」
「亜実さんから聞いてましたので…ずっとお兄さんとは会ってない…って」
「……………」
すると阿弥は喫茶店の窓から外の方を観ながら…
「ここで、ずっと待ってたんですよね?」
「……………」
「亜実さんがお父様のお墓に行って帰っていく姿を…」
「………はい」
「年に1度…この日に、駅からお墓へと向かう道にあるこの喫茶店で…あなたは亜実さんを観るためだけに日本に帰ってきてるんですよね?」
「亜実に……会わせる顔がありませんから……」
桑島はそう言うと、またうつむいた。
すると…阿弥が…
「それに…ちゃんと兄妹が会うんだとしたら…最低限、連絡を取り合っているはず…」
「え!?」
「あなたは……亜実さんが自殺をしようとしたのをご存じなかっ…」
「何ですって!?」
桑島は驚いて大声を出して立ち上がった。
周りの客もあまりのことに静まりかえる…。
「…亜実さんは、自分でお店に火をつけたのです…強風が吹いていたせいもあって、みるみるうちに火は燃え広がりました…」
「亜実が!?」
「その時、スギくんも亜実さんを助けようと炎の中に飛び込んでいきました」
「!!」
「私は消防に電話をしましたが…とある理由で、消防車が来るまでに30分くらい掛かってしまって……」
「………亜実……」
「そしたら……」
阿弥が話の続きを言いかけたところで、
カランカランと鈴の音がした。
それは喫茶店に客が入ってきたことを意味していた。
すると…阿弥が入店してきた人に対して手をあげて存在を知らせる。
そんな阿弥と桑島に近づいてきたのは…
亜実であった…。
つづく
この小説のようなものは、あくまでもスギマンの妄想であり、登場人物とか家族構成とか関係性は全てフィクションです(笑)
総選挙速報などが終わったので…ひっそりと再開です(笑)
今月中には終わらせます(((^_^;)
では、また(^ω^)