昨年の11月頃から夜の8時以降の記憶が無い事が多くなった
冷蔵庫の何かを食べている事もある
朝起きて冷蔵庫を開けて初めて気づくこともあるし
家内に指摘されて、えっ!?ということもある
昨夜の大晦日の事も全く覚えて無くて焦った
心配になり睡眠薬の副作用を調べて見て少し安心した
睡眠薬を内服したあと、自分では記憶がないのに、歩いたり人と話したりする事があります。もうろう状態、一過性前向性健忘などと呼ばれる現象です。
健忘とは、記憶障害の事です。前向性健忘とは、ある時点(睡眠薬内服時)以降の記憶が障害された(≒記憶がなくなっている)状態ということです。
最高血中濃度到達時間が早い睡眠薬(即効性のある睡眠薬)に多く見られるため、超短時間型のベンゾジアゼピン系に多いと言われています。また大量に飲んでいたり長期間飲んでいると起きやすいようです。
睡眠薬は脳を中途半端に眠らせてしまう期間があり、この中途半端な覚醒状態が「もうろう状態」「一過性前向性健忘」を引き起こします。この「中途半端な覚醒状態」は睡眠薬の内服直後に一番起こりやすいと言われています。
内服直後は、おくすりの効きがまだ不十分だからです。睡眠薬は中途半端ながらも効いているため、身体は動くんだけど脳はほとんど眠ってしまっているため記憶には残りません。
これが、もうろう状態や一過性前向性健忘の正体です。
ドラールは最高血中濃度到達時間が3.6時間前後と遅く、ゆっくり効き始める睡眠薬です。そのため、もうろう状態や一過性前向性健忘は起こりにくいと考えられています。
万が一ドラールでこれらの症状が起こってしまったら、量を減らす事が対応策となります。睡眠薬の種類を変えるのも手になりますが、ほとんどの睡眠薬はドラールよりも早く効き始めるため、かえって悪化してしまう可能性もあります。
健忘が起こると、自分は全く覚えていないため、患者さんは「自分がおかしくなってしまったのでは・・・」と不安になりますが、睡眠薬が中途半端に効いた結果起こっただけですので、心配はいりません。
脳がおかしくなってしまったのではなく、睡眠薬の副作用で起こっただけです。この状態を放置すれば問題となりえますが、眠剤を変えたり量を減らしたりと適切な対応を取れば後遺症が残ったりすることはありません。