なんでも4月にガンのため66歳で亡くなったということでの追悼特集です
カミさんの実家へ向う車中で聞いてて8:20位には到着してしまったので
最後の40分ほどは聞けなかったのですが非常に興味深い特集でした
フィルといえばオールマンのレコード会社カプリコーン・レコードの社長という認識でしたが
キャリアのスタートはオーティスのマネジャーだったんですね
ジョージア州メイコンのR&B好きの高校生だった
フィルは地元のアーチストのブッキングや
マネジメントを手がけていました
そんな中の一人ジョニ・ジェンキンスの紹介で出会ったのが
若いシンガーのオーティス・レディングでした
オーティスに惚れ込んだフィルは彼のマネジャーになります
R&Bやソウル・ミュージックが白人社会で一般的になるのは
67年のモンタレー・ポップス・フェスティバルでオーティスが紹介されてからです
60年代初めに白人がR&Bを聞くだけでなくマネジメントを行うというのは
かなり奇妙というかあり得ないことだったのではと思います
ジョニ・ジェンキンスがスタックスでセッションをした際に30分ほど時間があまり
じゃぁあの若い坊やに歌わせてみるかということでテープに残されたのが
オーティスのデビュー曲「.These Arms Of Mine」だったということです
オーティスとMG'sの運命の出会いです
01.These Arms Of Mine
02. I've Been Loving You Too Long (To Stop Now)
03. Fa-Fa-Fa-Fa-Fa (Sad Song)
オーティスで成功したフィルは次々とブラック・ミュージシャンを発掘し
ソウル・ミュージックを業界に定着させます
- Sam & Dave Hold On, I'm Comin'
- 04. You Don't Know Like I Know
- これなんで亀の背中に乗ってるんでしょうか?
Joe Tex Golden Classics
05. Show Me
Clarence Carter Snatching It
06. I'd Rather Go Blind
番組内でピーターさんも言っていたけど盲人のクラレンスがこの歌を唄うというのは屈折してますよね
僕なんかの世代ではフェイセズのカバーでお馴染みの曲です
It Tears Me Up: The Best of Percy Sledge
07. It Tears Me Up / Percy Sledge
パーシーといえば「男が女を愛するとき」だけってイメージですが
この曲もいいなぁ、ダン・ペン作曲の名曲ですね
こうしてソウル・ミュージックの世界で成功を収めたフィルですが
最高のパートナーであったオーティスがモンタレーの数週後に飛行機事故で急逝してしまいます
その後、新たなるパートナーを求めていたフィルはある曲であるギタリストと運命的な出会いをします
その曲でのギター・プレイはあのクラプトンの人生をすら大きく変えてしまいます
そうです曲はウィルソン・ピケットの「ヘイ・ジュード」
ギタリストとはもちろんデュアン・オールマンその人です
- The Very Best of Wilson Pickett
- 08. Hey Jude / Wilson Pickett
地元メイコンでジェリー・ウィクスラーの出資を得てフィルはレコード会社
「カプリコーン」(昔はキャプリコーンと表記してました)を設立します
最盛期には28組ものアーチストを抱えたというこの会社は70年代の
サザン・ロックのブームを巻き起こします
僕がフィル・ウォルデンという名前を意識したのもこの頃でした
- The Allman Brothers Band
- 09. Whipping Post
- 後のライヴの定番となるナンバー
- R&Bやブルースとジャズのインプロビゼーションを融合した
- 彼らの独創的な音楽がすでに完成しています
The Allman Brothers Band At Fillmore East
10. One Way Out
ロックのライヴ・アルバムの人気投票をしたら3本の指には絶対入るアルバム
現在は当日のステージ全てを収録した完全版にパワーアップ
- Johnny Jenkins Ton-Ton Macoute!
- 11. Walk On Gilded Splinters
- デュアンも参加の変態ブルース?
オールマンに比べると今は日本ではほとんど忘れられた存在のマーシャル・タッカー・バンド
当時はオールマンと並びカプリコーンを代表するバンドでした
サザーン・ロックというくくりではありましたがオールマンと違いカントリーよりのアプローチが特徴的でした
フルートをフィーチャーした洗練されたプログレッシヴ・カントリー・ロック、大好きなバンドでした
↓収録の「つかの間の24時間」は僕のフェイバリット・ソングのひとつです
The Marshall Tucker Band Where We All Belong
12. Take The Highway
以下カプリコーン所属のアーチストたちです
- Grinderswitch Honest to Goodness
- 13. Eighty Miles To Memphis
- 番組内でクラレンス・カーターの音楽をさしてピーターさんが
- 「いなたい」という言葉を使っていました(誰が教えたんや?日本人でも知らん人多いのに)
- カプリコーンの音楽はまさにいなたさそのものだった気がします
- ↑などジャケから「いなたい」香りがプンプンしてきます
James Montgomery Band First Time Out
14. Going Down
- Bonnie Bramlett Lady's Choice
15. You Send Me
16. Two Steps From The Blues
ポール・バターフィルド・ブルース・バンドではマイク・ブルームフィールドの向こうを張って
ギンギンに弾きまくっていたエルヴィン・ビショップもカプリコーンではレイド・バックしてました
バラッド「愛に狂って」もフェイバリット・ソングです
- Elvin Bishop Struttin' My Stuff
- 17. Fooled Around And Fell In Love
フィルモア・ライヴが大ヒットしたオールマンでしたが
デュアンがバイク事故で急逝してしまいます、享年24歳(!!!)
フィルが手がけた天才二人が若くして事故で亡くなったというのは悲しい偶然です
翌年にはメンバーのベリー・オークリーもデュアン事故現場の1ブロック先で事故死してしまいます
バンドの中心デュアンが亡くなったことにより
オールマンのバンド内の力関係に変化が生じたのか
「ブルースカイ」や「ランブリンマン」といったディッキー・ベッツ中心の
POPなカントリーナンバーがヒットしたり
新加入のチャック・リーベルのピアノにより演奏のグルーヴ感がアップしたりしました
そんなチャックがオールマンのリズム隊ジェイモ、ラーマ・ウィリアムスと結成したのが
サザーン・フュージョン・バンド(!?)、シー・レベルでした
1stの1曲目「Rain in Spain」はオールマンの「ジェシカ」と並ぶ傑作インスト・ナンバーです
Sea Level Sea Level
18. Rain In Spain
- The Allman Brothers Band Brothers and Sisters
- 19. Jessica
カプリコーンが全盛であった頃は所属アーチストを引連れて
同郷のジミー・カーターの大統領選をバックアップするなど今で言うセレブな生活をしていたフィルですが
サザーン・ロックのブームも一段落すると会社経営も思わしくなくなり
ロック伝説にはつきものの酒と麻薬におぼれ第一線から姿を消してしまいます
まさに天国と地獄を見た人といえますが
アメリカ音楽に残した業績は大いに評価されてしかるべき人だと思います
天国ではフィルが総指揮をとり
デュアンのスライド・ギターでオーティスが歌い
それをトム・ダウドが録音する
そんなセッションが繰り広げられているかもしれませんね
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番組では紹介されませんでしたが
フィルがらみというかカプリコーンものではこんなアルバムも良く聴いてました
COWBOY Why Quit When You're Losing
スコット・ボイヤーとトミー・タルトンが中心となって結成されたバンドがカウボーイでした
ウェスト・コースト・ミーツ・サザーン・ロックという感じで爽やかなコーラスに
ちょっと泥臭い演奏がブレンドされた音楽が持ち味でした
上のLPは1stアルバムと2ndアルバムがカップリングされた2枚組アルバムでした>
2nd「5’ll get you ten」はクラプトンが「461」でカバーした「Please be with me」のオリジナルを収録
バックのスライド・ギターはデュアン、悪いけどクラプトンの10倍はいいバージョンです
- Livingston Taylor Over the Rainbow
ご存知ジェイムス・テイラーの弟リヴの2ndで今でもよく聴くアルバムです
とにかく瑞々しさに溢れた名盤でこのアルバム聴くと一瞬若返った気分になります
- Gregg Allman Laid Back
高校生で初めて聴いた時はなんだかぴりっとしないアルバムという印象でした
カプリコーン・ファミリー総出演の好盤です