SRS後の患部が治らず膿を垂れ流しながら生きるのも限界に達し、
ついに退職を決めたある日の夕方のことです。携帯電話に着信があることに気付きました。
留守番電話が録音されています。それはなんと、あのSRSの執刀医からのものでした。
「大腸を使った再手術を無償で行う用意があります」
これは驚きました。
なぜ私の体調悪化を知っているのでしょう。ここまでひどくなるずいぶん前からもう、ナグモ名古屋へは行っていませんでしたから。
数日後 ノコノコ とクリニックへ出かけてみると、そこには相変わらずの医者がいました。私の気持ちは既に「ここで無料の手術を受けるしか道は無い」と固まっていました。‥しかしその前に言うべきことを言おうと思いました。これまでの苦しみや怒りをぶつけたのです。
すると彼はバカにしたように舌を出して見せました。
ちょうどこんな感じです。
またしても驚かされました。
他院の患者ならともかく、ここで手術を受け苦しんでいる人間を前にこんな態度ができるものかと。
でも私はあまり腹は立ちませんでした。どうでも良かったのです。冷静に、「なんですか?その顔は?」と訊くと舌が引っ込みました。
「謝らないんですか?」と私は続けて言いました。すると少し間を置いて彼は、「申しわけ、ございませんでした」と頭を下げました。
心がこもっているとはまったく思いませんでした。
前にも書いた通り、私の気持ちは決まっていました。ここでこの医者の手術を受けるしかないのです。
前提として形だけでも謝ってもらわないと先に進めない。それだけのことでした。
そして文字通り"断腸の思い"ではありましたが、この日から約2か月後、腸を使ったSRS再手術を受けることが決定したのです。
(今から2年ほど前の話です)