私たちの生活空間は滋養とならないモノで溢れかえっています。今にもはち切れんばかりのモノの重さに、私たちは押し潰されそうです。そして周囲にも、私たちの心の内面においても「空きスペース」はなくなっています。これらの「過剰」は、私たちの人生は感性のみならず心の中にまで侵入してきます。「去る者日々に疎し」と言われますが、これは間違いです。私たちが購入し、不必要に保管しているモノひとつひとつが私たちの内面にも蓄積されていくからです。金持ちの多くが、よく重苦しさを訴えるのはそのためなのです。彼らの精神は所有するモノの亡霊によってすでに満杯になっているため、人生のより重要な物事に割くスペースがわずかしか残されていないのです。このメンタルスペースの概念を理解することは、シンプルに生きてみたいと思っている人にとって非常に大切なことです。外の世界に関わる問題を、どうして自分の中に抱えている必要がありましょう?

そのような問題を、自分の空いたメンタルスペースに「家賃」も取らずに留めておく意味はあるのでしょうか?なぜ余計なモノで、自分の心の内面まで満たしているのでしょう?人生には限りがあります。もっと有意義に使うべきです。物質的なモノは、たとえそれを持っていることを忘れていたとしても、私たちの身の回りを埋め尽くしているモノと同等のスペースを私たちの潜在意識の内に占めているのです。それにモノを持っていると実際にそれが本当に必要でなくとも、私たちはそれを使わなくては悪いような気持ちになってきます。そしてそれを使わないと、今度はどうして持っているのだろうと悩むことになります。