算数脳の高濱先生は、算数が出来るようになるための条件の中に「素直な心」を挙げています。この洞察は本当に頭が下がります。高濱先生の経歴からすれば当然のことかもしれませんが、このレベルの先生は、指導医松下先生同様、物事の本質を見極める目をどこまでも成長させている人だと思います。


確かに、この歳になった私が小学生の子どもたちの算数を見ていて、算数の出来る子は素直です。腕白だけれど根が素直。休憩中にはどったんばったん大暴れしていても、勉強を始めるや、真っすぐ取り組む姿勢を見せる。教えられることに真っすぐ向き合い、わからないことはわからないとはっきり表明します。先生からすると非常に教えやすい。そう。素直なこというのは、性格がやんちゃ腕白でも、とても育てやすいのです。


算数は「考える」教科なので、その子の性格を含めた生活における姿勢が表出されます。私のようにマイペースでネチネチネチネチ考えるタイプは、やはり、時間を気にせずネチネチネチネチいつまでも考える。この「時間を気にせずネチネチネチネチ考える」というのは、算数の勉強の最初の段階では欠かせないと考えます。なので私も息子たちを教える際は、せっつくことなく、好きなだけ考えさせました。答えにたどり着くことをせっついたり強制したりすると、「答えを探す」脳になってしまい、道筋を考える脳が育たなくなってしまいます。こういう脳では算数どころか仕事をするようになってから困るのです。


答えが出るかどうかはわからないけれど、この方法でやってみよう。だめなら別の方法を考えればいい。

このような真っすぐ取り組む気構えを育むことが算数ひいては勉強全般において最も大事になるのではないでしょうか。