毎年、市議会と市行政当局が共同して、市内を運行している公共交通事業者(東海旅客鉄道株式会社、名古屋鉄道株式会社、名鉄バス株式会社)に対して、鉄道やバスの運行、駅施設の整備などについて、要望を行っています。建設委員会に報告された今年度の要望事項の案に対して、提案・質問を行いました。(末永けい 建設委員会)

末永けい

交通系ICカードについての要望内容が挙がっています。交通系ICカードを定期券としてバスや鉄道など複数の交通機関を利用されている市民の方から、利用する交通機関によってはICカードを複数持たなくてはならないので、1枚で済むように市として改善を要望してほしいという声をお聞きしております。鉄道各社にも確認しましたが、やはり利用する交通機関のパターンによっては複数持ちが必要になるとのことです。ICカードを複数枚持つ利用者の立場からすると、誤って別のカードをタッチしてしまったり、チャージ残高が課金されてしまったり、面倒なことが起き得ます。交通系ICカードのシステム上の利便性向上について、そうした声もぜひ要望活動の中で取り上げていただきたいのですが、交通系ICカードそのものの利便性向上について要望する考えについてお聞かせいただきたいと思います。

(市の答弁)

ただいまの委員の御意見につきましては、具体的にその要望活動の項目にない事項でございますが、要望活動当日に、各公共交通事業者と質疑・意見交換を行う機会もございます。そうした場におきまして、当局から補足説明として要望してまいるとともに、また、各公共交通事業者とは日ごろから定期的な調整を実施しておりますので、そういった場におきましても、今後必要に応じて調整を進めてまいりたいと考えております。

 

末永けい

続いて、減災対策を見据えた要望内容についてですが、災害とか事故などによって公共交通機関がストップした場合の帰宅困難者への支援や対応について、市役所と各鉄道事業者はそれぞれどのような対応をすることになっているのかお尋ねします。また、市役所と鉄道事業者との間で、帰宅困難者対策に関する情報交換や連携はどのように図られているのか、あわせてお尋ねします。

(市の答弁)

市では、去る7月下旬の台風12号の際におきまして、一時駅におきまして、職員を配置するなどして、また最寄りの避難所への案内を行うなど、帰宅困難者対策を行っております。また、鉄道各社におきましても、国からの業務監査を受けるなどして、それぞれ取り組んでいると聞いておりますが、今後一層帰宅困難者対策の充実につきましては、やはり必要であると考えております。要望活動の当日だったり、また、日常の公共交通事業者との調整などにおきまして、当局側から申し入れてまいりたいと考えております。

 

末永けい

それから、災害や事故などで列車が長時間にわたってストップする場合に、振替輸送が実施されることがあります。ある路線が止まっていても複数の事業者間で連携が図られていれば、乗車客は他の交通事業者を乗り継いで利用することができますので、自宅や自宅に近い地域まで到達できる可能性が高まります。帰宅困難者対策として振替輸送は各社でどのような対応がとられているのか、市として事業者とも情報交換を行っていただきまして、帰宅困難者対策の観点から振替輸送の充実も、可能であれば、しっかりと要望していただきたいとお願いをいたします。

続いて、名鉄バス株式会社に対する要望事項として、「ICT化へ対応したバス停の位置情報等のオープンデータ化」と項目が挙がっております。私はことし3月に、定例会一般質問において、公共データを民間開放することで市民生活の利便を高めるさまざまな民間サービスが生み出されることが期待されることから、積極的なオープンデータの推進を提案いたしました。今回、公共交通機関にも、行政からこうした要望を行っていくことは、市民生活の利便性向上が期待されることから評価をいたします。この項目を今回新たに入れた考え方の背景と、今後どういったことを期待するものなのか、説明をお願いいたします。

(市の答弁)

近年、公共交通機関を利用しまして目的地までの経路検索につきましては、スマートフォンやアプリなどの普及によりまして、鉄道やバスなどのリアルタイムの運行状況、遅延状況までが反映された経路検索が可能になってきており、通勤・通学や買い物、旅行などにおきまして、公共交通機関の利便性が非常に向上している事例がふえております。このような経路検索につきましては、公共事業者の運行情報のオープンデータ化が必要になっております。高齢化によりまして市民の皆様に身近な公共交通、名鉄路線バスに対しますニーズにつきましては今後一層高まってまいるものと、そういったことを視野に入れまして、名鉄バス路線の利便性向上が図られますようオープンデータ化を要望するものでございます。

 

末永けい

委員会資料には記載がないのですが、愛知環状鉄道株式会社への駅舎や路線等の改善については、どのように対応されておられるのかお尋ねします。

(市の答弁)

愛知環状鉄道株式会社につきましては、本市も取締役及び株主といたしまして経営に参画する一員でございますので、必要な事項につきましては内部の会議等で検討してまいります。

 

末永けい

愛環についても、本日の委員会資料にあるように、各社への要望項目と同様な、駅舎や路線等の改善を求めていくべきところがあると思われます。取締役とか株主として経営に参画する立場として、春日井市としてはこれまでにどのような改善の提案を行ってきたのでしょうか。ここ近年の実績があれば教えていただきたいと思います。

(市の答弁)

昨年度までの要望事項に挙げておりましたが、ICカードの普及を強く、要望のほう進めてまいりました。

 

末永けい

市は取締役会にせっかく出席しておりますので、高蔵寺駅という大きな駅のある本市の立場としても、市民利用者のニーズをしっかりと把握しながら、積極的に利便性や安全性、快適性向上に向けた提案を行っていただきますようお願いいたします。

 

各交通事業者に対する要望事項

1 東海旅客鉄道株式会社に対して

⑴ 春日井駅については、橋上駅舎・自由通路の完成だけに留まらない、市の中心に相応しいまちづくりを推進するため、駅周辺のにぎわいづくりに積極的に協力すること。

⑵ 神領駅については、区画整理事業等により周辺人口が増加し、利用者が顕著に増加しているため、快速列車を停車させること。

⑶ 利用者の利便性及び安全性の向上を図ること。
ア 朝夕のラッシュ時間帯における車内混雑の緩和
イ 各駅へのホームドア設置等、駅での安全対策の実施

ウ ホーム上のベンチ等、高齢者や障がい者を始めとする駅利用者が快適に利用できる施設の整備

⑷ 鉄道利用者のための自転車等駐車場整備に積極的に関与・協力すること。
ア 自転車法に基づき、本市が自転車等駐車場を整備する際の用地の積極的な協力

⑸ 愛知環状鉄道線の利用促進へ積極的に協力すること。
ア 中央本線と愛知環状鉄道の直通列車の増便、延伸

⑹ 城北線の利便性を向上するため、勝川駅での接続を図ること。

⑺ リニア中央新幹線の工事を進めるにあたり、住民への丁寧な説明や情報開示を行い、理解が高まる周知を市民に対して行うこと。また、工事用車両の市民への影響をできる限り抑制すること。

 

2 名古屋鉄道株式会社に対して

⑴ 利用者が安全・安心・快適に利用できる環境の整備を図ること。
ア 味美駅東側からのアクセス確保やバリアフリー化、味美1号踏切の拡幅など、駅周辺整備への積極的な協力
イ 春日井駅周辺土地区画整理事業を始めとした、都市計画事業への協力
ウ 高齢化の進行に伴う公共交通ニーズの多様化に対応できるよう、市内各駅のバリアフリー化の推進及び駅前広場ロータリー整備への協力
エ 定期券発行や安全性確保のため、小牧線の中でも利用者が多い味美駅への駅員の配置
オ 市内各駅へのmanaca発券機の設置

カ 各駅へのホームドア設置等、駅での事故防止対策の実施
キ 南海トラフ地震や頻発する自然災害への減災対策を見据えた、駅利用者のためのトイレ設置

⑵ 鉄道利用者のための自転車等駐車場整備に積極的に関与・協力すること。
ア 自転車法に基づき、本市が自転車等駐車場を整備する際の用地の積極的な協力

 

3 名鉄バス株式会社に対して

⑴ バス路線の利便性向上を図ること。
ア 市民の移動の利便性を保つため、既存バス路線の維持確保
イ バス定期券や得々パスを購入できる窓口の増設
ウ かすがいシティバスとの乗継割引の新設
エ ICT化へ対応したバス停の位置情報等のオープンデータ化

⑵ バス待ち環境の整備を図ること。
ア 交通結節点であるJR高蔵寺駅、春日井駅、勝川駅等への、バスの運行状況が確認できる案内表示付バス停の増設
イ シェルター付きバス停など利用しやすいバス停留所への改良

⑶ 快適かつ安全なバス運行等を図るよう乗務員教育を徹底すること。

⑷ 本市が策定した「高蔵寺リ・ニュータウン計画」の実現に協力すること。

 

(参考)

愛知環状鉄道株式会社-企業概要

中期経営計画 - 愛知環状鉄道

(末永けい関連質問)

愛知環状鉄道にTOIKAシステム導入!(平成31年春までに導入を目指す)

子育てや医療、福祉、交通等の民間サービスを促進するために公共データの開放(オープンデータ)を!