駆込み女と駆出し男
2015年 公開
ジャンル 悲喜劇
原案 井上ひさし 「東慶寺花だより」
監督・脚本 原田眞人
【時代劇の定義】
明治より前に題材を取った劇・映画。つまり
現代人にとって「浮世離れした世界」というとこです 笑
ここでちょっとしたコント
ある朝目覚めて洗面台の鏡を見ると
「・・・なに❓・・・この髪型・・・」
「これって・・・もしかして❗」「入れ替わってる〜❗❓」
・・・神曲流れず「あ前前前世・・・」❓❓❓
「ポカーン・・・」
すると天井から仏が
「うん、お主その髪型で今後の人生を生きてゆけ」
「一応!飽きないようヘアカタログなるものを」
「最新号を置いてゆくぞい」
「カタログ以外の髪型にしたら恐ろしい罰がある」
「地獄じゃではサラダバー」
「は❓」
ええぇ~
仏が置いたいったカタログである
話を戻します笑 その前にテンション上げの大和撫子
※時代劇は直感的に言葉が入らない事が多々あるので
予備知識を持って観るとより楽しめると思います。
江戸後期の庶民の倫理道徳
江戸期は「儒教隆盛期」と言われています。天下人家康は
「儒教」を庶民の倫理道徳として採用し根付かせました。
儒教の根幹は「性善説」があり「仁義」「秩序」「勤勉」の教えですね。
戦続きだった当時の日本人の性にあっていたのでしょう。
儒教は「江戸太平」に欠かせない倫理道徳でした。
「男は男らしく」「女は女らしく」という美徳に努めた時代です。
社会道徳は「目上に従い助け合う」という相互援助です。
親子関係は「子は親を敬い目上に従って生き、親は立派に
子を育て子を支える」というのが農村部まで浸透していました。
江戸後期はこの倫理道徳が最も輝いた時代だったようです。
天保の改革
江戸三大改革の一つですが、徹底した重税と質素倹約令を庶民に
課し苦しめた圧政で有名です。幕府や諸大名の慢性的な財政難は
彼らの怠惰な遊興費が原因です。強引に借りた挙げ句徳政令で
踏み倒すことが当たり前のようになり次第に倒幕の兆しが生まれ
この改革後の後すぐに幕末に入ります❗
東慶寺について
鎌倉時代の開山からの尼寺で幕府公認の寺社奉行です。
寺社奉行は寺社仏閣に関わる政(寺法)を担当する奉行で
江戸三奉行(寺社奉行・勘定奉行・町奉行)の中の最高位でした。
写真に右に「菊の御紋(朝廷)」左に「葵の御紋(幕府)」がありますね
江戸期の不倫について
離婚理由は色々ですが密通(不倫)は当時男女共に死罪ですから、
離縁の事由からは外れたのではないでしょうか。とはいえ人間ですから
魔が差すことはあったでしょうから内々に示談し墓まで持っていく事は
あったでしょうね。
江戸期の風俗事情
売春宿の集まりで有名な吉原等は「遊廓」と呼ばれ幕府公認の売春街です。
江戸期の離縁事情
夫が離縁状を用意し双方同意で届け出をすれば離縁(離婚)は
成立します。離縁の申し出は男女どちらからもできますが、
本音と建前が激しいこの時代において離縁は夫側のデメリットが
とてつもなく大きい一大事です。理由は2つあります。
①男女の割合で男が余る時代だったので身分が余程高くない限り
再婚率は低く江戸ではまず0%。再婚が難しいですから離別状を書くのは妻に
愛想を尽かされ逃げられた男という烙印を押されます。
②家を途切らせない為には子が必要です。不治の病が多く
流行り病もあるこの時代子を成人まで育てるのは大変な上
寿命も短いですから世継ぎが生まれれば家もお墓も安泰ですし、
子宝に恵まれれば養子縁組で親族や他家を助けることもできます。
例え子ができなくとも家事に家業もする妻は農村部の貴重な
労力であり屋台骨です。離縁は夫にとって親族にとって痛手しかありません。
※妻に三行半を突きつけられ離縁状を書かないのは「男の恥」なのです。
なので❗そうならないよう大抵の夫は妻と仲睦まじく働いたんです
縁切寺の役割
縁切寺は夫が離縁に応じない時の最終手段でした。
正当な事由かどうかを御用宿が聞き取りで判断します。
離縁に値する事件と判断されれば駆け込み成立となり
2年の尼寺での修行生活になりこの期間を勤め上げれば
晴れて離縁成立となります。
江戸期の女性の地位
前述のように江戸期の女性は都市部でも農村部でも大切に
された時代でした。それは女性が家を守るしっかり者だった
といえますそれでは
儒教の覚え良く浮気もなく女性は大事にされた時代に
縁切寺に駆け込む女達の事情ってなんだろう
ってことになりますよねはい❗では
成分表にまいりましょう♪
※ストーリーは書きません。Wikiは鑑賞後閲覧することを推奨します。
駆け込み女と駆出し男 成分表
/江戸後期
/天保の改革
/幕府への反感が高まる世相
/幕府公認の縁切寺
/男子禁制の鎌倉東慶寺
/東慶寺御用宿柏屋(寺入り前の預かり宿)
/縁切りを決意した女達
/離縁までの険しい道のり
/日本橋唐物問屋堀切屋の妾(愛人)
/鎌倉七里ヶ浜浜鉄屋の妻
/駆け込む理由
/戯作者(作家)に憧れる見習い医者
/曲亭馬琴(戯作者)
/里見八犬伝(馬琴の代表作)
/隠れキリシタン(幕府はキリスト信仰を大罪とした)
お吟 満島ひかり
堀切屋三郎衛門 堤真一
じょご 戸田恵梨香
浜鉄屋重蔵 武田真治
柏屋源兵衛 樹木希林
曲亭馬琴 山崎努
原案が長く功績を残された作家井上ひさし氏だからでしょうか❓
役者の陣容が素晴らしいです❗1人1人の演技が「清々しい」から
緩むことなく楽しめます
日本の四季折々の映像美
御用宿「柏屋」はスタジオ撮りかと思われますが御用宿での料理と食事
シーンは釜戸の湯気と匂いがこちらまで伝わりそうで空腹で見るのはちと
辛いと思います 笑
お手元に茶菓子などお供に鑑賞するのをお勧めします
日本酒での鑑賞は最高かもしれません 笑
僕は柏屋の土間が大変好きになりました。これぞまさに「美術」❗
物語の魅力
重苦しいテーマですが同情やお涙頂戴とかはありません。「痛快」です。
とてつもなく絶望した人が谷底から悲壮感に満ち溢れ打ち震え
前に向かって生きてゆく「泣いて笑って怒って愛する」
「悲喜劇」になっております
面白いですよー見どころは樹木希林さんの惚けの妙技
是非❗皆さん「癒やされてくださいね」
では
おやすみなさい