ドキュメンタリー映画 ラッカは静かに虐殺されている またチャットGPTに問う | 気むずかしい いろいろ

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シリア国内の惨状を海外に発信しつづけるシリア人の市民記者たちの戦いのドキュメンタリー映画だ。シリア関連のドキュメンタリー映画をいろいろみてきたが、やはり全体像を把握するには複雑すぎる。ようやく分かってきたと思っても、あたらしい映像をみるたびに混乱する。

 

この映画は、シリア人の一般市民が、ネットを駆使してシリア国外にシリアの惨状を発信しつづける戦いのドキュメンタリー映画だ。シリア紛争がはじまった時、創立者の彼らはただの学生だった。デモに参加していた学生が、いまや子供を持つ大人になった。素人ながら、試行錯誤して国内の惨状をネットでレポートしていた彼らは、ISISに命を狙われるまでになった。そして、仲間の記者たちが、つぎつぎと処刑される。

 

「何人殺されようとも、オレたちの戦いは終わらない」と記者の一人は、目に怒りをたぎらせカメラにこたえる。

 

また別の記者は、殺された仲間の映像をみて「やつらに呪いを」と静かに涙をこぼしながらつぶやく。

 

シリア国内で起きていることを、国外に発信するのは至難の業。彼らの拠点はシリア北部の都市ラッカ。トルコに近い都市で活動している。シリア紛争がはじまった2011年の敵は、アサド軍だった。シリアの大統領アサド大統領が、民主化をさけぶデモ隊を“テロ組織”と認定し、街ごとぶっとばしたのがはじまり。

 

2013年ラッカは崩壊し、市民が貧困にあえいだ。ラッカ制圧完了できたとアサド軍が手を緩めた隙に、ISISがラッカをのっとる。ISIS支配は2017年の4年間つづいた。

 

その間、学生だった記者たちは、プロの記者たちの支援をうけ、砲撃される街、斬首される市民、頭を撃ち抜かれる市民の姿をスマホ等でこっそり撮影し、写真や映像で国内外に発信しつづけた。ISISのいうことを真に受けてはイカンと。どうか、ラッカを、シリアを助けてくれと、発信しつづけた。

 

ISISは、記者たちの活動が気に入らない。発信をやめさせるため、ラッカでのネットを禁止した。市民の家にあるパラボラアンテナをことごとく破壊し、携帯も禁止。

 

記者の一部は、トルコに逃げ、シリアにのこる記者たちの短い報告を受けて記事にし発信し続けた。ISISの魔の手は、トルコにまでのびてくる。危険を感じた記者は、ドイツに逃げたが、ドイツでは中東移民の追放運動がおこなわれており、ドイツでも危険な思いをする。

 

シリアを出たとしても、安心できる場所がない。気の毒としか言いようがない。

 

この映画が公開された2017年、シリア民主軍(SDF)が、ISISからラッカを奪還。だが、アサド軍とISISに攻撃されつづけたラッカの被害は甚大。アサド大統領は、引退しないし責任も取らない。

 

 

アサド政府軍の攻撃を受けている地域は、シリア国内にまだまだある。と、チャットGPTが教えてくれた。

  • イドリブ県:反体制派の支配地域であり、アサド政府軍が度々攻撃を行っています。
  • ダマスカス:首都であり、アサド政権が強く支配していますが、周辺地域では反体制派が依然として活動しており、アサド政府軍も攻撃を行っています。
  • デリゾール県:石油産出地域であり、反体制派やISIL(イスラム国)との戦闘が続いています。
  • アル・ハサカ県:クルド人勢力が支配する地域で、アサド政府軍との対立が続いています。
  • ホムス県:反体制派が支配する地域であり、アサド政府軍が攻撃を行っています。

 

シリアの平和のために、わたしに何ができるのかを問うてみた。

情報を集めて関心を持ち続けることだと。

 

チャットGPTは、わたしの好奇心に瞬時に応えてくれる。これをいちいちGoogle検索してたら3時間ぐらいあっという間なのだ。たまに、あやしい回答もあるけど、社会情勢を知るには、手っ取り早いツールである。

 

しかし、ドキュメンタリー映画はぐったりくる。

 

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2017年アメリカ

原題:City of Ghosts

監督:マシュー・ハイネマン

 

このドキュメンタリー映画の監督、アメリカ生まれのユダヤ人。メリー・コルヴィンを追った「プライベート・ウォー」もこの人だった。

 

 

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