思春期は、写真家の目にどう映るのか。
パリの郊外 Cergy (セルジー)という街で
『Festival du Regard』という
写真展が開催されています。
セルジーはパリの中心から北西へ郊外高速鉄道RERのA線に乗って約40分ほど。
パリが7つ入ってしまうほど壮大な自然公園に抱かれ、
緑と都市が一体になったような街には大学や美術大学もあって、
若者の街、のイメージも持っています。
この展覧会は今年で3回目。
今回のテーマは「Adolescence アドレサンス」。
「若者」の意味でよく使われますが、
日本語でいう「思春期」のニュアンスがある言葉。
おおむね13~18歳くらいの若者たちを指すようです。
子供から大人へと変化する時期の
多感な少年少女たちの生活、感情、人間関係・・・。
人によっても、あるいは文化、国によっても違うであろうその現れ方、
いろいろな側面を、写真家たちの視点=Regard で探る試みです。
フランス人を中心にさまざまな国籍の写真家がセレクトされた展覧会。
この中に一人の日本人写真家、野中玲子さんがふくまれていました。
美しい公園に繰り広げられた展示会場。
その静かな水辺の一角に並べられた彼女の写真。
テーマは「双子」です。
自身も双子である野中さん。
双子であることが人生に大きな影響を及ぼしている、と語る彼女は、
時に神秘性すら秘めた双子という人間の関係にずっと焦点をあてて
作品づくりをつづけてきました。
©Reiko NONAKA
シリーズの名は「Double Vie」。
ちょうど写真の中央を中心に、左右対称のイメージに見えながら
折って重ね合わせると小さな相違が見えてきます。
写真のように、つねにふたりはつながり、何かを共有し、絶対に離れることはないのに、
それぞれがそれぞれの人生を生きている、という現実。
写真そのものも、現実の映り込みであり、そこにはもうひとつの存在がある・・・。
この「双子」「写真」というダブルの像がこのシリーズを生みだしたといいます。
彼女は日本とフランスを中心にさまざまな人種の「双子」を撮影。
双子それぞれの話を聞き、そのストーリーをもとに
彼らの持ち物の中から、その人生を象徴しているオブジェを選び、
彼らの空間にシンメトリーのイメージを構成していきます。
これまで数多く撮影してきた「双子」の作品の中から、
本展覧会では「Adolescence」のテーマにそって、
その世代の双子の写真が選ばれました。
そうでなくても複雑な思春期に、双子はどのような思いで
その季節を通り過ぎていくのでしょうか。
写真展のコンセプトには
「(子供と大人という)ふたつの世代のあいだのこの時期を、
ステロタイプに陥ることなしにどう表現することができるだろうか」とあります。
野中さんの写真はまさに、
誰もが経験するはずの「青春」の一コマだけれど、
そこにさまざまな未知のストーリーがあるんだということを
想像させてくれる作品でした。
他にもフランスでいま注目される写真家を集めたこの展覧会。
水と緑がキラキラと輝くCergyの街にちょっと足を伸ばしてみてはいかがでしょう?
『Festival du Regard』
2018年6月8日(金)〜7月8日(日)
会場:Le Carreau (3-4 rue aux herbes 95000 Cergy-Pontoise)
およびParc François Mitterand
(RER-A線 Gare de Cergy le Haut 行きでCergy Préfecture 駅下車)
水曜・金曜12:00-18:00、木曜12:00-19:00、土日14:00-18:00
公園内は公園開園時間による
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