『最強のふたり』
評価/★★★★
監督/エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
主演/フランソワ・クリュゼ、オマール・シー
お久しぶりです、小夜子です。
長い間、不在にしてしまってごめんなさい。
先日、映画『最強のふたり』を観てきました♡
内容は全身麻痺の障害を持つ大富豪と、それを介護するスラム街育ちの黒人のお話です。(※詳細は予告動画をご覧ください)
今日は、心に残った名場面を紹介します

場面1.面接日
大富豪の家では、たった一人の介護ヘルパーを雇うために大勢の応募者が列をなし、介護者として自分がいかに有能で役に立てるかを面接官に訴えかけます。よく耳にする「人の役に立ちたい」という言葉も、ここではひどく耳障りな言葉に聞こえてしまいました。なぜなら、言葉の端々から「人(障害者)」とは、「他人(自分)が居なければ、全うな日常生活も送れない可哀想な人」のことを指し、何の取り柄もない人間でも「五体満足で生まれただけで、人(障害者)よりも立場が優位」と勘違いできる唯一のアイコンと捉えているように感じられたからです。
「人の役に立つ」ことを建前に「己のアイデンティティ」を守ることが目的に思えてなりませんでした。1日かけて応募者たち一人一人と丁寧な面接をしたのは、そういった内面を炙りだすための仕掛けだったのかもしれません。じっと我慢強く、話を聞いていた富豪フィリップの忍耐強さにも感服です。そして単刀直入に物言う黒人ドリスに惹かれたのも、頷ける一幕でした。
場面2.誕生会
恒例となっていたクラシック演奏を主たるものとした誕生日会…の後に始めた黒人ドリスがipotから流す派手なダンスミュージック。一気に豪邸はクラシックからディスコへと変貌し、踊り出す人たちで溢れかえります。変幻自在に脚を動かし、オシャレなステップを繰り出す黒人ドリスの自由な動きにつられるかのように、それまでお行儀良くしていた貴婦人達もお尻を振って応戦です。その様子を笑顔で見守りながら、車椅子のフィリップの目線は、上下に揺れ、足元を見ているようにも感じられました。
一体、彼はこの時何を想っていたのでしょう。次々とドリスのペースに巻き込まれて行く大衆を心から楽しめたのでしょうか。いつも何かに気を使っている人々の無防備な笑顔を心から喜んだのでしょうか。それとも、参加できない自身の身体を少しばかり疎んだのでしょうか。全員が笑顔の、すごくすごく幸せな空間を描いたシーンで、小夜子は勝手に深読みをし、思わず涙がこぼれてしまいました。
場面3.介護車
二人が初めて介護用クルマを使って外出をする日に、黒人ドリスは面食らいます。車椅子ごと後部座席に乗り込める実用的な仕組みが理解できなかったのです。こんな家畜を入れるかのように、荷台に人間を積むなんて絶対に嫌だ!と駄々をこねます。一般的に常識とされているものでも、彼には「人間扱い以下」の仕打ちに思えたに違いありません。そうやってドリスは「障害者だから」という理由を本能的に取っ払い、「一般男性」としての生活を切り開いていきます。
彼にとって全身麻痺の身体は、何の障害でもありません。首から上が機能していれば、お互いの意思疎通を取るのには、十分事足りるのです。だからこそ、身体障害を理由にして恋に臆病になるフィリップの気持ちが分からなかったのでしょう。本当の障害とは、それを理由に、日常生活をより不自由にしてしまうシステムではないでしょうか。
この映画は、単なる障害者と健常者の心の交流を描いただけの話ではありません。インテリジェンスと非インテリジェンス、富裕層と貧困層、そして血縁と遠縁…様々な相反する思想が混ざり合う瞬間を捉えた奥深い作品だと思います。
とても優しい気持ちになれる映画なので、すごくオススメです。
ぜひ、みなさんもご賞味あれ((*´∀`*))
再会の街で [DVD]
/アダム・サンドラー,ドン・チードル,リヴ・タイラー

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次回は『最強のふたり』の登場人物についての記事を
予定しています!お楽しみに~

小夜子より