函館の行政書士小川です。
「相続の戸籍調査はなぜ大変か」
■ 市役所に行って請求すればいいんでしょ?
■ 1通あたり450円とか750円でしょ?
■ 相続人が3人なら全部で3通でしょ?
相続に関する戸籍の調査は特別難しい
ものではないと考えている方が多いようです。
ところが、
「自分で戸籍を集めたけど、大変だった!」
こういった声をよく聞きます。
何が大変なのか。
戸籍調査の初歩について。
まずは、次の戸籍のサンプルをご覧ください。
今年お亡くなりになった父の戸籍謄本を
市役所で交付してもらったという想定です。
① いきなり二男!?
妻と二男は記載されていますが、
長男の記載がありません。
長男は戸籍改製前に結婚していて、
別の戸籍が作られているからです。
父と長男のつながりを確認するために、
一つ前の戸籍を取らなければなりません。
現在の戸籍の一つ前の戸籍は何か。
それが「改製原戸籍」になります。
「従前戸籍」は大抵、父の婚姻前の戸籍です。
(相続手続では、これも必要になりますが。)
② 改製って?
時代とともに、戸籍のルールが変わったため、
戸籍の様式が何度か変わっています。
昭和32年 … 家長制度の廃止(親子単位の戸籍に)
平成6年 … 戸籍の電算化 など
この他に、大正時代や明治時代の改製もあります。
※ 実際の改製時期は、役場により異なります。
それまで記載されていた戸籍事項の一部が
改製後には記載されていない場合もあるので、
「改製原戸籍」を取る必要があるんです。
イメージとしては、こんな感じです。

長男の婚姻の時期によっては、こうなります↓

③ 出生から死亡まで書かれているけど?
③の欄をみると、生年月日や婚姻日、
従前戸籍、死亡日時等が記載されています。
これで足りると思われるかもしれませんが、
相続人調査では不十分なのです。
改製前に別の方と婚姻し子どもがいても、
この欄の記載だけでは分かりません。
ご親族の中では分かりきっていることですから、
非常に面倒くさく感じてしまいます。
でも、きちんと戸籍を調べてみると、
これまでの認識と異なる事実が
あるかもしれません。
なお、上記シンプルな事例でも戸籍5通が必要です。
原戸籍1通750円として、10通だと7,500円です。
相続人が多い場合や、何度も転籍していると、
3万円以上必要になることもあります。
遠方の役場への請求には郵送料等もかかります。
まとめ
役所や銀行、保険会社等の相続手続には
漏れのない戸籍が必要になります。
万一、相続人を見落としてしまっては大変です。
面倒でも、一つ一つ戸籍を辿るしかありません。
上記のように、意外と費用もかかりますし、
一定の時間と労力をかける覚悟が必要です。