誰にでもうまく伝えられない、言葉にできないことがあって、
理解されない必然があって、

繋がっていたかにみえたそれぞれの腕は、

ふんづけられて、解きほぐされていく。


胸の底に漂う悲しみがあって、
でもそれに理由はなくて、
ただふさわしい世界に生まれなかったことで
生涯解放されることのない鬱屈に由来する悲しみかも知れなくて

それに気づいて、むしろ忠実に生きようとした人の一人が、

熊太郎だと思う。

ようじょこの場の、がちゃがちゃして収拾不可能な混乱は、
熊太郎にとっての世界そのものだ。

ずれて、ずれて、ずれて、

世界が牙をむく。

そしてある時突然、
自分が生きる意味などないのではないかという
疑念が心をよぎる。


引き返さなかった彼が悪いのか。
卑屈だった彼が悪いのか。


弾かれるべくして世間のメカニズムにむりやり組み込まれた、
ゆがんだ歯車が悪いのか。