あけましておめでとうございます!!
今季もよろしくお願いいたします!!

ということで、毎年恒例のDOI観戦記録となります。
これまでのDOIとは異なり、競技会と同じような緊張感で、明るい中の6分間練習の時間もありという方式になりました。
ロシアのテストスケートの空気感を思わせるような、試合であるようなイベントであるようなというとても新鮮な感じとなりました。

例によって一人ひとり感想をしたためていきます。
私自身は6/29(土)の昼公演を観戦いたしました。その公演の演技に基づいたものとなります。

まずは前半の部。

〜ジュニア女子〜

①櫛田育良選手
新SP:Sway

いくらちゃんの気持ちの良いスピードのスケート」と「ビートが強めの曲」がどのように親和するのかという点で興味を持っていました。そのビートの強いところでの止めの動きが既に完成されていたところに驚きです。その止めの動きの間をシームレスに繋げられるか勝負に見えました。ここでもスケーティングスキルが問われる気がします。

②上薗恋奈選手
新SP:Voila

2022-23シーズンにペトロシアンさん🇷🇺が、2023-24シーズンにレポンドさん🇨🇭が使っていた曲です。この曲が上薗さんに似合わない訳無いと思っていましたが、その通りの期待通りの動きでした。
スピンのレベル要件の使い方やエレメンツの間のカーブがかなり難しい上に、曲のテンポがどんどん速くなるという、見た目以上に難しいプログラムだなと感じました。でも上薗さんなら間違いなく完成させると思ってます。

③島田麻央選手
新SP:Wicked

この曲と言えば私的には白岩優奈さんが初めての全日本後のMOIで披露した可愛いやつです。まさかこの曲を競技会で島田麻央さんが滑るとは…(笑)
まず、バイタリティがありすぎます。終盤のStSqは常にスピードを持ってターンを正確にリズミカルにこなしていたところも凄かったですが、何よりもエレメンツの間の動きにブレがない点で目を見張ると思いました。
最初決めた3Aがあまりにもサラッとしていました。もう得意なジャンプは3Aですぜ。

〜ジュニア男子〜

①周藤集選手
新SP:Take 5、Caravan

全日本以降、怪我の治療やリハビリ等でほとんど情報がない中で久々の衣装を着てリンクの上に乗った姿を見ました。怪我から回復して練習再開してからまだ1ヶ月というお話も聞きました。おかえりなさい。
ターンやツイズルをする時に肩のあたりがブレる感じがしていないのが集くんの上手さだなぁと改めて感じました。
「振付」「助走」「要素」が途切れているように見えるのは気になりました。フィギュアスケートの競技の特性や彼の個性を考えると、やはり「流れの中で要素が決まって欲しい」と思います。今後この点を注視したいです。
まだ練習再開から間もないですし、ゆっくり戻して今度こそ全日本FS滑る姿を楽しみにしてます。

②垣内珀琉選手
新FS:I Giorni

これまでの垣内くんの演技は、彼自身の世界観そのものは見えつつも、それが演技のエレメンツ以外の部分で形としてなかなか出てこないなぁと感じていました。
その意味で新しいFSはその懸念がなくなったような感じがあり、優しい曲の中にあるテンポを掬っているような動きが多く、エレメンツが流れの中に入っていてブツブツ切れている感じがしなかったところも良かったように見えました。あとは上半身の動きがやや単調にも見えるので、動きにメリハリをつけるだけでさらに良くなりそうにも見えました。

③中村俊介選手
新FS:イオチサロ

情感を込めるのが得意な彼がド直球のプログラムを持ってきたなぁと思いました。上手くハマれば素敵なプログラムに仕上がることは間違いがないと思っています。
DOIの時点では体力的に非常にキツそうな所が見られ、今のところとても難しいプログラムという印象が大きく残りました。今後の滑り込みに期待です。

④中田璃士選手
新SP:Aroul / Uccen

スケーティングがシームレスであるという良さを既に持っており、そこにジャンプが高くなる&余裕を持った回転で降りるという武器を持ってしまったような感じがします。
振付のこなしも難しいはずの動きに対してやすやすと動いているように見えました。
唯一シットスピンだけがちょっと苦手そうに見えましたが、これが解消されて曲に合わせられるようになると本当に隙が無くなります。

〜アイスダンス〜

①あずしん組

ホールドしながら2人の位置を転換するという動きに磨きが掛かっていました。さらにノットタッチのMiStやツイズルエレメンツで2人の距離がより近くなったように見えました。スピードがもう少し出れば良いと思うところもあります。それに対して時間をかけて解決していくと本当に上手なアイスダンサーになりそうという風に見えました。

②うたまさ組

スピードという点では既に申し分なし。2人の動きの大きさもよく、ギラギラしたような雰囲気が2人から出せるのも強みに見えます。ホールドエレメンツで時折遠心力に引っ張られるような面も見られるので、その点について時間をかけて解決させたいなぁという風に見てました。

改めてあずしん組とうたまさ組は良さと課題が対極で、アイスダンスの中の得手不得手はこういう風にして出るのかと思いました。

〜ゲストスケーター①〜

①チャ・ジュンファン選手🇰🇷

去年に引き続きの登場です。
彼のスケートで思い浮かべる姿といえば猛スピードで深いカーブで美しい姿勢のイナバウアーというファンが多いと思います。そのイナバウアーをはじめとして、体を柔らかく使っているのに体の芯がブレているように見えない動きが特徴的だなぁと思いました。柔らかさと硬さを上手く両立させているように見えました。
ジュニアの選手が続いた後に見ると、その特徴というのが本当によく分かるなぁと思いました。

②神宮アイスメッセンジャーズ

4月上旬に開かれた世界シンクロの大会を見てみました。この大会を見ていると、やはりこのカテゴリーでも「まずはスピードが大事」ということでした。
シンクロならではの難しさはなんだろうということを考えた時に、決められたサイズのリンクの中で大人数が滑るため、他のスケーターとの接触のリスクの中で演技をするのでスピードを保つのが難しいというところにあると思いました。
その目線でDOIの神宮の演技を見ていると、年を追うごとにスピードが出て、エレメンツの間のフォーメーションが変わるための動きに淀みがなくなっているのが見えます。(私ももうちょいシンクロの観察眼を鍛えたいところです)


ここから後半

〜シニア女子〜

①三原舞依選手
新SP:GRIEF

ここ1年ジャンプの実施が慎重になりすぎたり、持ち前の滑らかなスピードが出し切れていない姿が見え、今回のDOIでもそれが見えてしまった演技で、プログラムの内容よりも舞依ちゃんの体の状態が常に心配になるような演技でした。本当に本当にどうかお体お大事に…

②渡辺倫果選手
新FS:Yo soy Maria

スケートそのものがどんどん滑らかになっている上に、昨季のFSの演技からは大きく体を動かしてもブレない体幹の強い演技を見て、倫果ちゃんへの期待値がどんどん高くなっています。
その中で披露されたピアソラの曲ということで、今彼女が実施するには最高のプログラムが来たなぁというのが第一印象です。
まだ要素をどのように埋め込むかは今後の試行錯誤によると思いますが、途中のチェロに合わせてカーブを変えつつ体を大きく倒す振り付けなど、動きのデザインは強くかつ柔らかいように見えました。
個人的に今後の伸びしろという意味で期待しているプロの2つのうちの1つです。

③吉田陽菜選手
新SP:Temen Oblak - "Dark Clouds"

私は陽菜ちゃんの演技を見るにあたって、昨季一気に体の切れ味が良くなり曲のテンポに対して演技の輪郭がはっきり分かるようになった点に驚いていたのですが、それでもまだ体の動きがやや小さくて惜しい印象が残っていました。
その中で提示されたのがこの新SPで振付はブノワリショーさん。言わずと知れていますが、リショーさんの振付はスピードの中で体を大きく倒すスタイルです。DOIでも、今の彼女の弱点に対してド正面から立ち向かうような振付が多く見られました。まだ未知数過ぎて今後どうなるか一番読めないプログラムですが、やはり個人的に今後の伸びしろという意味で期待しているプロの2つのうちの1つです。

④千葉百音選手
新SP:Last Dance

昨季苦しみつつも急にスケートがシームレスになった事から四大陸で優勝した彼女です。それが自信になったのかスケートのスピードが上がり、その上で体にメリハリをつけてかつテンポに合わせて動くのが一気に上手になった感じに見えました。
StSqを見ているとリンクを大きく使いつつ細かく鋭いターンを曲の中に自由自在に上手くこなしていて、試合中の左上のTESでStSqを実施した後に加点がたくさんついているのが分かって、スケオタの間で話題になるやつです。

⑤坂本花織選手
新SP:天使の復活/天使の死(ピアソラ)

もう花織ちゃんのスケートに関してはスピードもカーブも上手すぎるというのは何度も言及しております。その中で、今回のSPはタンゴというジャンルです。タンゴと言えば動きを「ストップ」させるのが肝のジャンルであり、特にスピードが最大の武器の花織ちゃんのスケートとは相反する動きが求められるものだと思いました。
「スケートは滑ってなんぼ」と「タンゴは止まってなんぼ」というのをどうやって両立させるか、本当に楽しみです。


〜ゲストスケーター②〜

イリア・マリニン選手🇺🇸

実は3年連続のDOI出演です。
3年連続で新横浜のリンクの距離感で見ると、スケートの押す力に無理がどんどんなくなり、体の動きそのものもどんどん軽やかで数も多くなっているのが分かります。
もうエレメンツについては向かうところ敵なしのマリちゃんが、エレメンツ以外上手くなると本当にいよいよ付け入る隙が無くなります


〜シニア男子〜

①山本草太選手
新SP:Split, Postcards From Far Away

まず、曲について調べたらエディオボッソというアーティストの曲でした。かの有名なRain in your black eyesを作った人です。そして振付師はブノワリショーさんという、草太くんにとっては初タッグの組み合わせとなります。
最初2本のジャンプは曲そのものが不規則なためとにかく自分の跳びたいタイミングで跳ぶというところに注力、という感じでしたが、そこから先にピアノが多くなってリズムがある程度ハッキリしてから、草太くんの課題と進化させる部分がよく分かる演技でした。
草太くんは「スケートのトレースで曲のタイミングを捉える」ことに関して非常に長けているスケーターであり、そこに弱点の上半身使いの大きさとリズムの取り方の種類を増やすような感じを受けました。
この弱点が埋まるとますます面白いプログラムになると思います。

②佐藤駿選手
新SP:ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジア

冒頭の腕を胸や肩のあたりから動かす振付を見て、上半身の使い方が非常に上手になったなぁと思いました。その後の実施が「ジャンプ助走」「ジャンプ」「振付」というようなものの繰り返しになっているように見えたので、それら全てが曲の中で流れるように実施されるかが今後の注視ポイントに見えました。
DOIの時点では、ジャンプ助走に入った段階で「腕の力を抜いている」点と「カーブが曲のタイミングに合っていない」という所が気になったので、そのどちらかだけでも入れるだけで印象が大きく変わりそうだなぁと思いながら見ていました。

③三浦佳生選手
新FS:シェルブールの雨傘

佳生くんの「ハッピーエンドともバッドエンドとも取れそうな演技に」というインタビューで出た言葉を見て、映画のあらすじを見て作成されたと確信しました。
さらにシェルブールの雨傘を実施しようと思ったきっかけが、2023-24シーズンのリムクァン組🇰🇷のFDを参考にしたという話も聞いており、実際に佳生くんの音源もリムクァン組と同じようなものになっていました。私はそのリムクァン組のワールドのFDを覚えていたので、それを踏まえてDOIの演技を拝見しました。
終わった後の感想としては「入力がリムクァンの割りには出力がいつもの佳生くんだな…?」という感じでした。今のところ雨傘を差してもその傘が壊れそうな感じだったので、今後は制御が課題なのかなと思いました。

④ゆまち!!(鍵山優真選手)
新SP:The Sound of Silence

正直、ゆまちさんの演技を見ると「上手い!!速い!!可愛い!!」という感想以外無くなります。
新しい試みとして4FをSPから組み込んだり、CCoSpで両回転を入れたりという点が挙げられますが、既にそれも自分のものになっているような感じです。
先日の世界選手権でのマリちゃんの異次元の演技もあり、自分はどうすれば良いかを見据えているのも凄く伝わってきます。


ということで、DOIの話題はここまで!
私なりの昨季の反省を踏まえて、今季はさらにミクロに演技を見て「どの動きやどのターンが何に繋がっているか」ということに注視して見てみようかなと思います。
ということで今季もよろしくお願いいたします。




…という所まで記事を作成していましたが、シーズン明けてすぐのタイミングで「岩野桃亜選手、競技会に復帰」というまさかの大ニュースが飛び込んできました。私にとって大きな楽しみが増えて非常に嬉しく思います。

さらに、今季は(今のところですが)白岩優奈さんが現役最後のシーズンの予定となっております。こちらはこちらで色々と心の準備を持って見ていこうと思っております。

どんなシーズンだろうと、とにかく今季も楽しくかつ細かく見ていきます。