トテチータ・チキチータ、イントロダクションより・・・

日々を生きる人たちを想像すること、
忘れないこと、つながること——

2011年3月11日。この日のことを日本は忘れることはできないだろう。TVから伝えられる凄まじい津波の映像、消える灯り、日々報道される膨大な死者数、安全神話の崩壊…それまでに築き上げた価値観や文明は自然の脅威の前に打ち砕かれて、人々は「全てを失った」と実感しただろう。震災から時がたち、全てが解決したわけではないけれど、それでも私たちは生きている。この道のりのなかで大変な痛みと引き換えに、私たちは本当に大切な物はなんだったのか再発見したのではないだろうか。人とのつながりの大切さ、他人のあたたかさ、そして家族のありがたさ…堪え難い孤独を抱えた男が再び人のあたたかさを知り、時に戸惑いながらも明日への一歩を踏み出していく姿は、震災後立ち上がろうとしている人々そのものとも重ね合わせることができる。弱くとも、実直な登場人物たちの懸命な姿は、さわやかな笑いと感動を呼ぶ。

本作は福島全県にわたってロケを敢行、画面のそこかしこにエキストラとして登場する地元福島の人々の顔がのぞく。「日常で続く困難に立ち向かうために必要なのは、涙ではなく活力であり、希望だ」というメッセージ…これは今の福島の日常に希望のスパイスを加えた、家族の絆と故郷への愛に満ちあふれたファンタジーである。

主人公・一徳を演じるのは、シリアスな社会派からコメディーまで多彩に演じわける実力派俳優・豊原功補。一徳の妹・百合子に日本映画界を代表する女優・松原智恵子。そして不思議な少女・凛に寿理菜、被災した高校生・健人に葉山奨之という二人の新人を起用、瑞々しい演技が光る。

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試写会の挨拶には家族を演じた豊原功補さん、松原智恵子さん、寿理菜ちゃん、葉山奨之君、監督、プロデューサーが一同に会し、それぞれの福島への想い、舞台裏のエピソード、映画の役柄を話してくれました。

試写会には東京に避難された福島県民もいたようでしたが、何より私のふるさとでもありますから、映画全編に映し出される、ありのままの大自然をスクリーンで見ると、福島県は海外、メディア等から「住めない土地」と言われ、(実際、住民票で判明しているだけでも、昨年度より4万5千人の福島県の人が県外へ移転していることが判明しています。住民票を提出していない人を含めると更に増えます)県全体のイメージが暗い印象?とは思えない程、やはり素晴らしい土地であることに間違いは無いと言えます。

さらに、エキストラで参加した子供たちの笑顔あり、地元住民の方々が慣れないながらも演じているのを見て感じたことは、このトテチータ・チキチータを、多くの方に観ていただき、福島県民が希望に向かって一歩一歩進んでいることを、より沢山の方に伝えて欲しい、という想いが伝わって来ます。

4年前に構想を練った監督が、去年クランクインしようとしたとき、3.11に見舞われたこと。
一度は諦め掛けた映画制作を、今この時だからこそと、震災の影響で一時休業したいわきの「アクアマリン福島」等の舞台設定の変更や、構成の練り直し等を経て、今日にこぎ着けたことを、たどたどしい口調で、でも強い想いで語っていました。

ですので、映画そのもののストーリーは震災とは全く関係の無いお話で、邦画では「ノルウェーの森」以来でしたが、非常に引き込まれた映画でありました。

個人的ではありますが、高校生役の葉山君は非常に純粋に演技の出来る新人俳優さんで、今後の活躍を期待しています。

丁度映画を観ている最中でしたが、1年前のその時を過ごし、後にわかったことですが、銀座和光の時計台からは14時46分に黙祷の鐘が鳴り、その場に居合わせた買い物客や、ショップ店員さん達は一同に黙祷をささげたそうです。

震災から一年。少なくとも私たちは、それまで考えもしなかった災害への意識は変わったと思いますし、人との繋がりについて、より深く考えるようになったのでは無いでしょうか。

トテチータ・チキチータ

是非一度劇場へ足を運んでいただき、今のありのままの福島を観て頂けたらと思います。

以下、劇場情報。

公開劇場続々、決定!
※上映時間や期間は劇場へ直接お問合せください。
※公開劇場は決定次第追加掲載します。
東京都 銀座シネパトス 公開:4/7~ 03(3561)4660
神奈川県 横浜ニューテアトル 公開:4/7~ 045(261)2995
福島県 フォーラム福島 公開:3/10~ 024(533)1515
福島県 白河シネマパラダイス・ホール上映 公開:終了 0248(22)5271
福島県 ポレポレいわき 公開:3/10~ 0246(22)3394
福島県 会津東宝 公開:3/10~ 0242(24)4778
宮城県 桜井薬局セントラルホール 公開:4/14~ 022(263)7868
山形県 ムービー・オンやまがた 公開:4/7~ 023(682)7222
山形県 鶴岡まちなかキネマ 公開:4/21~ 0235(35)1228
岩手県 盛岡ルミエール 公開:5/19~ 019(625)7117
青森県 青森アムゼ 公開:5/12~ 017(731)1177
青森県 シネマヴィレッジイオン柏 公開:6/2~ 0173(27)5500
秋田県 シアタープレイタウン 公開:調整中 018(835)6589
愛知県 伏見ミリオン座 公開:初夏 052(212)2437