今回は一般的なドラム、ベース、ギター、ギターボーカルの4人編成のロックバンドで、当スタジオで1番一般的な12時間パックで2曲のレコーディングを例にして説明したいと思います。
・事前のやり取り
まずレコーディング当日までのやり取りとして、録音する曲のデモ(スタジオ練習をスマホで録ったものなどでOK)や、こう言う感じにしたいと言う参考になる音源作品などがあったら事前に送って頂きます。
また、クリックを使ってレコーディングをする場合は事前にクリック練習をしっかりやっておく事をおすすめします。
・レコーディング当日(12:00~24:00)
①12:00〜
バンドさんスタジオ入り、機材の搬入をしてからまずはドラムのセッティング〜マイキング〜サウンドチェック、そしてベースのセッティング〜サウンドチェックをします。
最近の音源はドラムはトリガーで差し替えの音源も多いですが、やはり生の音にはトリガーでは出せない良さがあるのでウチではどちらでもいける様にしっかりとチューニングや音作りをします。
ベースはD.Iからのラインのみで録音することが多いですが、アンプを使用する場合はベースアンプの音作りもします。
ベースアンプを使わない場合、この間に別ブースでギターの音作りをしてしまう事も可能です。
音作り、サウンドチェックが終わったらヘッドフォンで演奏中のモニターチェックをして録音を始めます。
②14:00〜
ドラム、ベースのリズム隊のレコーディングをします。
ドラム、ベースを別々に録る場合もありますが、グルーブなどの問題もあるのでリズム隊は一緒に録るのが一般的です。
音は被りの無いように録るので後からパート毎に修正も可能です。
録音は例えば約3分の曲の場合、まず演奏で3分、プレイバックでもう3分、そしてメンバーと演奏のジャッジなどをしていると大体1テイクで10~15分くらいは掛かります。
なので1時間だと大体4~6テイクくらいになります。
リズム隊だけで時間を取りすぎない様に気を付けましょう。
③16:00~
ギター1人目、メインギターの音作り、録音をします。
ギターはフレーズや音色ごとに違うトラックに録っていきます。
どんなパート(バッキング、リードなど)から録って行くか、どんな音色(クリーン、歪み、空間系のエフェクトなど)で録るのかあらかじめ決めておくとスムーズに進みます。
④17:30~
ギター2人目、サイドギターの音作り、録音をします。
こちらも1人目と同じように考えて来ているとスムーズに進みます。
③と④は逆の順番でもかまいません。
⑤19:00~
ボーカルのマイク選び、サウンドチェックをしてボーカルの録音をします。
何度か歌ってみて良いトラックをベースに部分的に録り直して行くやり方と、最初からAメロ、Bメロ、サビと順番に少しずつ録って行くやり方、このどちらかの場合が多いです。
高くて声のだし辛いパートなどは何度も繰り返すと声が枯れて出なくなってしまったりするので気を付けて下さい。
稀に1発OKと言う強者もいますが、ボーカルは楽曲の1番大事な顔になるパートなのでなるべく丁寧にしっかりジャッジしましょう。
コーラス、ハモり、掛け声などの声を録音します。
タンバリンや鈴、ホイッスルなどの小物、その他の楽器などもここで録音します。
⑦23:00~
録り忘れなどが無いか、全員で録音した音をチェックします。
⑧23:30~
機材片付け、搬出をして終了となります。
この後は打合せを参考にメール等でミックス作業のやり取りへと進みます。
全体としてはこんな感じの流れになります。
もちろん一日で3曲、4曲録る人もいれば、メンバーが多い時など1曲録るのに2日掛ける場合もあるのであくまで参考として見て下さい。
後一つ、バンド録音の場合メンバーさんは交代で順番に出番が来るので忘れがちな事ですが、長時間になる場合はエンジニアの休憩時間も考慮して頂けると大変ありがたいです。
何度かレコーディングをするうちに自分達のやり方やペースなどが出来上がって行くのもレコーディングの面白さの一つです。