『天気の子』
監督:新海誠
製作年:2019
製作国:日本

あらすじとかいらん。マジで。でも一応見てない人もいるし書いとくか・・・

離島から家出をした16歳の少年は、憧れの東京でインチキライター稼業、なんとか餓死しない生活を送っている。

時を同じくして現れた晴れ女の都市伝説、しかしその正体は弟を身一つで育てる17歳の少女だった。

2人の運命は交差し、晴れさせ屋を始めて大盛況となるが──。


今や一大ヒットメイカーとなった新海誠監督の注目の最新作。

興行収入は100億円を超え、作家の名前だけでお客様を呼べる数少ない映画監つまんねーーーーーー!!!!!!!
一応基本情報紹介くらいと思ったけどつまんねーーーーーー!!!!!!!

僕が一番心を掴まれ、あの後何度も思い出してしまい、今こうして書かずにいられないほどに胸を掴まれたのは、「カラオケ」のシーンでした。

カラオケ

主人公たちは『万引き家族』のように、社会的な正しさに反することから警察に追われていきます。

逃亡生活の中で子供だけでラブホテルに泊まるのですが、そこで彼らは切ないくらいにはしゃぎます。

「きっとみんなでいられるのはそんなに長くないだろう」と、なんとなくみんなが思っているのでしょう。

大きいお風呂を満喫して、ありったけのジャンクフードを頬張り、カラオケをします。

ここで歌うのがよりによってAKB48の全盛期の曲なのです。

このなんとも言えない「安さ」みたいなものに、不覚にも泣いてしまった。

なんというか、思春期の高校生だったら、もっと気取った曲とか歌う。

高校生になったばかりぐらいの年齢だと自意識が芽生え始めて、中二病とか言うぐらいで、周りの人の知らないような曲を聞いたりして分かったような顔をすると思う。

しかしここではミーハー中のミーハーであるAKB48の曲を歌うのです。

これを聴いた時、主人公たちは比較的成熟した存在だと思って感情移入してたのに、「あっ、この子たちはまだ無垢な子供たちだったんだ・・・」と、なんとも言えない切なさに包まれ、胸をかきむしられた。

もうこの後絶対バラバラになる流れじゃん・・・。

頼むから彼らをそっとしておいてくれ・・・。

思わずそう願って、祈るようにそっと瞳を閉じた。

Innocent

子供の持つ無垢さを見ていると胸が苦しくなる。

それは、いつかきっと失われてしまうものだから。

大人になるにつれて、カッコつけたりして、どんどん洗練され、打算以外のピュアさというものはどんどん削られていく。

しかし、まれに大人のピュアな一面が垣間見える時がある。

こっちが恥ずかしくようなその無垢さに、頼むから一生そのままでいてくれと願ってしまい、苦しくなる。

例えば、私の母親のラインのアイコン。

なぜか、うさぎが微笑むイラストになっている。

私はこれを見たとき、なぜだかとても辛くなった。

なんでこの画像をプロフィールに選んだのだろう?

一体どこから持ってきた?

うちの家庭において母は、普段は強く、しっかりしていて頼れる存在です。

しかし、時たま、少女のような瞬間がある。

こういう無垢な一面を見ると、なぜだかとても辛い気持ちになる。

頼むからこの関係が一生続いてくれ。

神さま、この世から未来永劫母を奪わないでください。

また最近の話だが、家族旅行に行った際、父がなぜだか上機嫌で、家族愛について語っていた。

ついには家族みんなで写真を撮ろうと言い出して、ホテルのラウンジで父はシャッターを押した。

普段は気難しい父にも、純粋に家族愛を求める気持ちを持っていて、それを無垢に語る姿を見て、なんだか辛い気持ちになったのだった。

その他にも死ぬほどエピソードが挙げられる。

会社の同期は同じ営業所に7人いるのだが、月に一度ほど休みの日に集まる。

そこで何をするのかと言うと、お酒飲んで仕事の愚痴を垂れるのではなく、みんなでバーベキューをしたり、ボウリングをしたり、夜の湘南平で夜景を見たり花火をしたりマザー牧場に行ったり、中高生のようなピュアなレジャーが多い。

なんでこんなにピュアなのか。

頼むから一生続いて欲しい。

映画サークルの先輩たちとも毎年2回旅行に行く。

これも社会のしがらみから離れて、学生時代の空気感がそこにはある。

こうやって文章にしても一切面白みは伝わらないのだが、宿の床の間に置いてある流木を見て爆笑した。

なんとなくみんなで撮った写真が『CASSHERN』の家族写真っぽくて爆笑した。

入ったラーメン屋の座敷がロールスクリーンで空間を仕切るインテリアになっていて、そのロールスクリーンにお店のロゴがでかでかと描かれており、生配信っぽい背景だということでそのまま生配信のままごとを始めた時も爆笑した。

死ぬほど爆笑した刹那に、ふと客観視している自分がいる。

みんな結婚して、家庭を持って、そうでなくても自分を取り巻く環境は変わっていく。

そんな中で、あと何度この会はあるのだろう。

中学の同級生と今まで、10年以上、ほぼ隔週、少なくとも月一度は遊んでいる。

映画を見たり、本屋に行ったり、ジャンクフードを食べたりして、最後はどちらかの家で朝までグダグダしている。

会話に出てくる作品とか、固有名詞が、ほぼ高校の帰宅部時代から変わっていない。

これもいつまで続くんだろうと思う。

メタルマスターフィルムズの高橋監督とバロさんも、いつも少年みたいな顔をして、映画を熱く語り、カメラを回す姿を見て、もういっそ世界がこのまま終わってくれと思う。

俺の周りの無邪気な全てが、一生変わらないでいて欲しい。

頼むから。