大工ってかっこいい
以前から世話になっていた大工が亡くなった。
ふた月ほど前にお会いしたとき、「治って復活したのよ」
と気丈に振舞っていただけにあまりに突然のことでした。
息子さんはわかっていたそうだけれど、最期まで仕事をしたかったようです。
技術のいらないものづくりへ向かう風潮とは逆に、大工の手にこそ頼る設計。
「ずいぶんめんどくさいこと考えるねえ」
といいながらも精緻に仕上げていく技術を目の当たりにして、職能というものを教えてもらいました。
建築家なんていうのはほんの少し前に西洋から輸入した職種、それに比べると大工というのは日本の歴史そのもの。
だから、大工のいうことを聞くことはとても大切だし、大工の仕事が生きる方法を考えることが設計の仕事でもある。
理屈にしてはじめて満足するのが建築家なら、いちいち理屈なんかいわない感覚こそが伝統技術。
大工仕事は継承していくものだから、自然と息子があとを継いで、孫が継ぐ。
70歳を目前にして早すぎるけれど、こころの継承がまざまざと見てとれたから、不思議と悲しみが無い。
池田さんまたお願いしますよ。
