大工ってかっこいい | ステューディオ2アーキテクツ MEMO 2025

大工ってかっこいい

以前から世話になっていた大工が亡くなった。


ふた月ほど前にお会いしたとき、「治って復活したのよ」


と気丈に振舞っていただけにあまりに突然のことでした。


息子さんはわかっていたそうだけれど、最期まで仕事をしたかったようです。


技術のいらないものづくりへ向かう風潮とは逆に、大工の手にこそ頼る設計。


「ずいぶんめんどくさいこと考えるねえ」


といいながらも精緻に仕上げていく技術を目の当たりにして、職能というものを教えてもらいました。


建築家なんていうのはほんの少し前に西洋から輸入した職種、それに比べると大工というのは日本の歴史そのもの。


だから、大工のいうことを聞くことはとても大切だし、大工の仕事が生きる方法を考えることが設計の仕事でもある。


理屈にしてはじめて満足するのが建築家なら、いちいち理屈なんかいわない感覚こそが伝統技術。


大工仕事は継承していくものだから、自然と息子があとを継いで、孫が継ぐ。


70歳を目前にして早すぎるけれど、こころの継承がまざまざと見てとれたから、不思議と悲しみが無い。


池田さんまたお願いしますよ。


横浜の女性建築家-池田棟梁