久しぶりに心臓に悪いほど壮絶なKOシーンを観た。  

WBCスーパーフェザー級タイトルマッチ ミゲール・ベルチェルトvsオスカル・バルデス

 

圧倒的に不利の予想を覆し、バルデスがチャンピオンを三度倒して勝利した。

メキシコの英雄J.C.チャベスの持つ9度防衛の記録を破るとの評判だったベルチェルトは1階級下のバルデスより体格もパンチ力も一回り上、これほど一方的に破れるとは私も思わなかった。

全てのラウンドの採点を取られ、4回と9回にダウンを奪われ、10回に失神させられた。

ピクピクと痙攣しながら動かないチャンピオンを尻目に大声を発しながら雄叫びをあげてリングを駆け巡る挑戦者、改めてこの競技の残酷さを見せつけられた。

4回の被弾で勝敗はみえていた。チャンピオンのプライドと意地がダメージを深刻にした。

担架で病院に運ばれた元チャンピオンの復帰はおそらく無理だろう。

「あらゆるスポーツで勝ったままカッコよく引退する選手があまり好きではない。勝てなくなって負けてボロボロになっても辞められずにしがみ付く、そんな選手が好きだ」

かつてエデイー・タウンゼントがそう言っていた。

本物の戦士は安住の地より死に場所を求めるらしい。