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自粛が明け、27日から営業を再開した「ブルーノートヨコスカ」。 コロナのせいで、なんだかんだ2ヶ月閉まっていた。 窓のディスプレイはマイルスデイビス。マイルスとモンクのアルバム「At Newport」などが飾られていた。 そして今日の飲み物は「ギムレットには早すぎる。」のギムレット。ジンの濃度が濃すぎるギムレットを飲むと.すぐに頭痛がするが、ここのは安心して飲める。 ギムレットは、レイモンドチャンドラーの「長いお別れ」で「別れ」を象徴するものとして登場し、冒頭の台詞は長く行方を晦ましていたテリーレノックスがマーローと再開した時に言った台詞。 これは「お別れには早すぎる」を意味し、私にとっては「弔い」を意味する。 今日は天王町の治療院に来院されていた患者さんの弔い。 私の患者さんではなくボスの患者さんだから私とは関係は薄い。 せいぜい挨拶と受付で事務的な会話しかしていないが、彼女のことはよく覚えている。 今から5年ぐらい前だろう。 彼女はだいたいお婆ちゃんに連れられて来院し、待合室のカチカチのソファーで体育座りをしながらスマホを弄っていた。 SNSに夢中の孫にいろいろ話しかけたり、小言を言うお婆ちゃんを煙たがりながら 「もう、うるさい。わかった。」とふて腐れながら話を遮り、5インチの画面の中に広がる世界に没頭していた。 この時の彼女は、まだどこにでもいる小生意気な女子高生だった。 自分は翌年に天王町を辞め、以来、彼女を見かけることはなくなった。 その後、小生意気な女子高生は立派に成長し、活動の幅を広げ、色々と活躍していると聞いていた。 それがつい最近、彼女が亡くなったことを知った。 よりによって彼女と世界をつないでいた5インチの画面に殺された。スマホの電源を切るのではなく自ら命を絶ってしまった。 その知らせを聞いた時、思い出すのはお婆ちゃんに背を向け、体育座りでスマホを弄る小生意気な女子高生だった彼女の姿だった。 ギムレットには早すぎる。あまりにも早すぎる。 #ギムレット #ブルーノートヨコスカ

藤田 和広(@kazuhiro_fujita)がシェアした投稿 -