藪の中(2) | ストーリー短歌

藪の中(2)

藪の中(2)  


ち 血の滲む膝を抱えて辺り見る やられる前に逃げてみせると


り 凛として手向かうこともできなくて 地に這う姿惨めなれども


ぬ 盗人とおぼしき手だれひそひそと 交わす会話に耳を澄ませて


る 坩堝炉に溶ける硝子を見るような 血は滴りて土に染み入り


を 折悪しく篠突く雨に足元を とられ地面に這いつくばって


わ 悪あがきしても駄目だと高笑い 槍の切っ先首を掠めて


か 甲高い声が不気味に響く闇 逃げられぬならせめて相討ち