藪の中(3) | ストーリー短歌

藪の中(3)

藪の中(3)


よ 呼び子の音空耳なるか闇をつき 聴こえる中にざわめきの声


た 助かると力の限り叫び声 上げる頬打つ一撃の音


れ 怜悧なる刃先が首元なで回し 頭巾の下のぎょろ目が光り


そ 卒倒し気づいてみれば人気なく 頬打つ雨はただ冷たくて


つ 痛覚の失せた顔面腫れ上がり 立ち上がるにも腰が動かず


ね 熱の出た体わなわな震わせて 見れば倒れし人影一つ