消費税減税なき高市政権の「積極財政」は誰のためか?
── 穴の開いたバケツに水を注ぐ日本の財政構造
積極財政が日本政治の中心テーマになり、
高市政権も例外ではなく「財政出動による景気回復」を掲げている。
国民にとっては希望が見える政策だ。
しかし──
もし“穴の開いたバケツ”にどれだけ水を注いでも、その水が別の場所へ流れ続けているとしたらどうだろうか?
今日は、その“穴”の正体について話したい。
■ 積極財政が意味するもの
積極財政とは、政府が市中に大量の資金を投下し、
需要を増やして景気回復を目指す政策だ。
この方向性自体は正しい。
デフレ脱却にも、賃金上昇にも必要なことだ。
しかし、ここには一つ大きな落とし穴がある。
■ 穴の開いたバケツ=「消費税」という構造
どれだけ財政出動しても、必ず必ず通過する税がある。
それが 消費税 だ。
財政出動により
✔ 消費が増える
✔ 取引が増える
✔ 消費税収が増える
ここまでは当然だ。
しかし問題はここから。
■ 消費税には“輸出還付”という仕組みがある
消費税は「国内消費」にかかる税のため、
輸出商品には課税できない。
そのため、輸出企業は
仕入れで支払った消費税を丸ごと還付してもらえる。
トヨタ、ソニー、三菱重工…
こうした輸出大企業は
毎年数千億〜場合によっては兆円単位の還付金 を受け取っている。
つまり──
消費が増えれば増えるほど、輸出還付金も増える構造になっている。
ここが極めて重要だ。
■ 積極財政 × 消費税維持
= 輸出大企業への「自動的な補填装置」
高市政権は「積極財政」を掲げながら、
同時に 消費税減税には一切触れない。
これは単なる財務省への忖度ではない。
むしろ次のように考える方が自然だ。
■ 積極財政によって“還付金を増やす”構造になっている
ここが今日の核心だ。
消費税率を上げなくても、
積極財政で需要を拡大するだけで
消費税収が増える → 還付金が増える
これは
✔ 政府(財務省)にとっては税収が安定
✔ 経団連にとっては還付金が拡大
✔ 政権にとっては国民向けの“人気政策”が打てる
つまり、
消費税を維持したままの積極財政は、国民向けの政策に見せかけて、実は輸出大企業を潤す構造になっている。
制度上、そう動くようにできているのだ。
■ 国民は何も悪くない
問題は制度設計だ
国民がどれだけ消費しても、
そこで徴収された消費税の一部が
“自動的に大企業に戻る”仕組みになっている。
これは陰謀論ではなく、
制度としてそう動いてしまう“現実” だ。
■ 本当に必要なのは「穴の開いたバケツを直すこと」
積極財政は正しい。
お金を回すことは必要だ。
しかし、
消費税という穴を塞がない限り、お金は国民に定着しない。
そして財政出動をすればするほど、還付金が増える構造になる。
これが日本の深刻な問題だ。
■ 結論
高市政権の積極財政は、
“消費税を維持したまま”という一点によって
大企業補填の効果が自動的に増幅される政策構造 になっている。
これは政権の善悪の問題ではない。
制度の問題だ。
国民が豊かになるには
「バケツの穴=消費税」
を直さなければ、
どれだけ水を入れても意味がない。
