日本の半導体 | ものづくり技術小景

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石田マネジメント事務所:技術やものづくりに関する最近の話題と気づき、ちょっとした備忘録を書いています。

ちょっと前に 2030半導体の地政学 という日経新聞の元記者が書いた書籍を読んで、おおいに失望したことを書きましたが、これはかなりちゃんとした内容だと思います。

 

ドローンがわかりやすい例ですが、今の技術というのは、民生品と軍用品で境目がなくなってきており、半導体はその最たるものです。アメリカは半導体の根幹技術として、設計、製造技術、素材、製造装置などの全ての領域で隙間なく自国保有し、機微な先端技術が自国はもちろん台湾、韓国、日本などから漏洩することのないよう細かな監視・統制を強化しています。

 

ファーウェイが開発したスマホの半導体が7ナノだったことに衝撃を受けた米国は、TMSC、サムスンやソフトバンク傘下にあるアーム、NVIDIAなどの動向に目を光らせて、米国の目を盗んで先端技術が中国に漏洩しないようアメとムチの両面にわたる戦略をとっています。(TMSCもサムスンは中国本土に工場があり、台湾人のCEOが経営するNVIDIAも裏で横流ししていたし、孫正義もアームチャイナ経由で機微な設計情報を横流ししていたためです)

 

こういう状況下で日本がどのような取り組みをすべきかですが、うまくいっているのかそうでないのかは疑問です。最大の懸念は北海道に作る「ラピダス」。2030年過ぎ頃には2ナノを自前で作れるようにしたい気持ちはわからないでもないが、きっと失敗するというかんじがする。

 

IBMの技術を導入して微細加工の設計・製造ができるようにするらしいが、IBMは半導体的には失敗した会社で、そんなところの”不良資産”技術を下げ渡してもらって本当に短期間でできるわけはありません。もしかすると何かの罠なのではと穿ってしまう。早く資金を引き揚げて撤収したほうがよいでしょう。