株式評論家・山本伸一の「かんばれ株式投資!」

株式評論家・山本伸一の「かんばれ株式投資!」

中央大学法学部卒。元日興證券。証券ディーラー。独自のテクニカル理論に加え、企業のファンダメンタルズを詳細に分析。マクロ経済と国内外の政策決定にも精通。歯に衣着せぬ論調で投資家に絶大なる信頼を得る、株式評論家・山本伸一が相場を語る。

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米国株上昇を手掛かりに買い優勢で始まった株式相場ですが、前日、前々日同様に後場で伸び悩む展開に。本日の日経平均はマイナス圏で取引を終え、市場心理が冷え込んでいます。

日経平均は、5日移動平均線(9829.04円)を割り込みました。先物を見ますと、14時を切っ掛けに前日、前々日の安値圏となる9,850円処を下回っています。明日のオプションSQ算出日を意識した仕掛け的な動きが観測されました。

昨日配信版では、「TOPIXは200日線との再戦に」と題しましたが、TOPIX終値は867.70ポイント。注目の200日移動平均線(870.08)を割り込みました。

今後は5日移動平均線(871.42)も上値抵抗となるうえ、この位置での推移が続けば、上方に位置している25日移動平均線(891.25)、75日移動平均線(924.99)が急速に切り下げてきます。となると、上値追いは厳しい状況と言わざるを得ません。

米国株式市場では、ダウ平均が6日続伸を記録。さらに年初来高値圏にあるなど、非常に好調なのですが、なかなか日本株への物色にはつながりません。為替相場が6日の深夜で円高に振れて以降、なかなか円安に進みづらい状況。輸出関連の多い日本企業の業績改善期待が萎んでいます。

また、日本郵船<9101>が増資実施を明らかにするなど、ファイナンス懸念も台頭しています。決算シーズンを乗り越え、市場環境が落ち着きつつあるなかで資本増強を行いたい企業側と手数料収入を目論む証券会社との思惑が合致し、季節柄では11月にファイナンスが増加する傾向が顕著に見て取れます。株式需給面では明らかなマイナス要因になります。

こうなると、明日のSQ算出日の株価推移が気になります。算出基準となる日経平均が寄り付きからプラス圏で取引を終える「陽線」となれば、イベント通過も含め、先行きには安心感が漂います。しかし、本日のように後場で伸び悩む形となれば、先行きの悲観論が高まる状況となるでしょう。

投資戦略としては、やはり売り戦略が有効となります。株価指数の水準から見て、今月上旬の安値や先月上旬の安値を目安に、すでに割り込んだ銘柄や割り込みつつある銘柄が狙い目となります。ただ、ターニングポイントとなる明日の日経平均の動きは確かめておきたいところです。

買い戦略としては、中期視点で好業績割安株を狙う手法となります。配当利回りなど株価の下支え要因が手掛かりになります。すでに評価を集めている好業績銘柄を狙うならば、10月高値を奪回したものや、これから奪回しつつあるものが狙い目でしょう。
昨日「投資タイミングとしては難しい局面になりました」と記しましたが、株価指数の動きは依然方向感を欠いた状況が継続しています。

日経平均は、上昇したとはいえ上げ幅は1円未満。前日同様に上げ幅を縮小する内容で、金曜日のオプションSQ算出日を見据えた取引内容でしょうか。5日移動平均線(9811.63円)をキープしていますが、前日からの上値を切り下げたのは気になるところです。

また、メガバンクら金融関連の伸び悩みも株価指数の上げ足を欠く要因となっています。米国市場で金融株が順当に上昇し、「銀行業など金融関連の順張りに妙味があります」と記した昨日配信版通りの内容が期待されましたが、物色の広がりは前場に限られ、後場には上げ幅を縮小するなど盛り上がりを欠きました。

これにより、メガバンクなど時価上位銘柄の影響度が大きいTOPIXは下落。5日移動平均線(872.87ポイント)を下回り、再び200日移動平均線(869.77ポイント)との攻防が懸念材料となっています。

経済指標では、内閣府が本日寄り付き前に発表した9月の機械受注統計によると、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民需」は前月比10.5%増となり、市場予測の4.1%増を大幅に上回りました。ただ、物色は設備投資関連の一角に留まり、全体相場を押し上げる材料にはなっていません。

また、中国の経済統計では、中国国家統計局が発表した10月の工業生産と小売売上高は伸びたものの、中国本土株式市場は盛り上がりを欠きました。海運業などの物色につながりましたが、中国関連もテーマ性を欠いている状況です。

今晩の米国市場は、ベテランズデーの祝日のため債券市場が休場。株式市場は通常取引となりますが、相場の基調が変わるような大きな変動は起こらない可能性が高いでしょう。同様に為替相場の影響も限られます。

株価指数が弱含んでいる状況では、引き続き売り戦略が有効でしょう。個別銘柄の株価水準からは、戻り売りが中心となりますし、値幅は取りにくいことから、短期視点で取り組みたいところです。

買いの戦略としては、個別中心の展開となります。といっても、新興市場の銘柄には換金売りが出ており、東証1部上場の好業績銘柄を拾うのが基本スタンスでしょうか。指標面で割安感のあるものや、配当利回りなども手掛かりとなります。
米国株の大幅続伸で買い気の強まった株式相場ですが、株価指数が伸び悩んだことで、投資タイミングとしては難しい局面になりました。

前営業日に鈍い動きを見せたメガバンクが復調したことは好感できますが、代わって輸出関連が伸びを欠くなど、なかなか全体相場の「歯車」がうまく噛み合わない状況と言えます。

日経平均は、5日移動平均線(9806.16円)が上向くなど、上値志向を強めましたが、ローソク足は上ヒゲ陰線となるなど、なかなか強気転換とはいきません。金曜日にオプションSQ算出日を控えていることも作用しているでしょう。

昨日配信版で取り上げたTOPIXですが、注目処となっていた200日移動平均線(869.49ポイント)上はキープしたものの、5日移動平均線(874.67ポイント)を下回って取引を終えています。日経平均と同様に上ヒゲ陰線となったローソク足の形状もマイナス面ではないでしょうか。

米国株に目を移しますと、ダウ平均が年初来高値を更新。ナスダック指数、S&P500ともに年初来高値を射程圏に捉えていますが、ダウ平均が4営業日で450ドルほど上昇しており、やや買い疲れが出る頃と見ます。

やはり注目ポイントは、今晩の米国市場でしょう。東京市場では、大引けにかけて米国株の反落を先取りする形で伸び悩みましたが、今晩の米国市場で利益確定売りをこなしつつ、底堅さが見られるならば、日本株も上値を試せそうですし、今晩に限っては「結果よりも内容」が重要となります。

また、アメックスやバンカメ、JPモルガンら金融株の動きも国内メガバンクの物色持続性に関わる意味で注目しておきたいところです。

投資戦略としては、今晩の米国市場で金融株に底堅さが見られれば、銀行業など金融関連の順張りに妙味があります。ただ、メガバンクなどには決算発表を残している銘柄も多く、短期視点で臨みたいところ。一方で、米国市場で景気連動業種の物色が継続すれば輸出関連銘柄の出番もありそうです。

本日上昇したとはいえ、株価指数のチャート形状から、引き続き売り戦略も有効でしょう。先の決算でアク抜けを示したものには、新規の材料性がなくなる頃ですし、好業績銘柄で伸び悩んでいる銘柄よりも業績回復の途上にある銘柄が狙い目となりそうです。
米国株続伸や為替の円高一服により、物色意欲を取り戻したかに見えた株式相場ですが、株価指数は方向感に欠ける内容となりました。

本日は保険業が賑わいましたが、メガバンクの動きは鈍く、金融関連はまちまちの動きに。輸出関連も選別色が強まるなど、今は「相場の先導役」を欠いた状況でしょうか。

日経平均は、5日移動平均線(9792.60円)を奪回しましたが、上値を追う状況とはならず、同線に引き寄せられるような動きを見せました。テクニカル指標も手応えのある強調材料が見当たらない状況となっています。

米国市場を見ますと、株価指数は月初をボトムに復調傾向を辿っています。ただ、中期視点では7月安値から見たトレンドラインが先月末の調整によって割り込んでおり、月初のボトムを深押し局面に「レンジ相場入り」の様相が強まってきました。

市場関係者の間では、TOPIXの動向が話題となっています。本日終値は870.67ポイント。辛うじて200日移動平均線(869.22)を維持しましたが、同線を割り込むと先行きの悲観論が強まると見られています。

TOPIXの性質を見ますと、東京証券取引所一部上場の全銘柄の時価総額を指数化したものですから、時価総額上位の影響度が大きいという特徴があります。年初来の安値近辺にあるメガバンクや直近で売り込まれたJT<2914>の下げが指数を押し下げていると言えるでしょう。

明日以降も「TOPIXの200日線攻防」が注目ポイントとなりそうです。米国株が安く終わった状況などでは警戒感が強まりそう。仕掛け的な動きを見据えて、TOPIX先物もポイントとして見ておきたいところです。

投資戦略としては、引き続き売り戦略が有効でしょう。TOPIXの動きを横目で見ながら、時価総額上位銘柄でさえない動きを見せているものを売り込みたいところです。

買い戦略としては、個別好業績銘柄が軸となります。また、全体に方向感を欠く状況が続きますと、新興市場銘柄で値動きの軽い銘柄に資金が集まりそうです。仕手株の出番もあるかもしれません。
米国でダウが1万ドルの大台を突破しても、日本の株式市場はいまひとつ盛り上がらない。6日(金)の株価は、日経平均こそプラスで終わったが、TOPIX はマイナスで引けている。10月6日を底として、11月5日を2つめの底とするダブルボトムを意識したいところであるが、チャート的にも非常に不安定な感じが否めない。25日線は下向きに転じ、25日ボリンジャーバンド、マイナス1σのレンジを脱せないでいる。10月安値の時も今週の下げも、日経平均は窓を空けて下落しており、改めて株式市場では、上昇するのは緩やかなカーブを描くのに対して、下落するときは垂直に近い角度で急降下するものだと見せつけられた形である。

別に材料があって下落したわけではないというのが性質が悪い。米国の株安に引きずられる形で下げたのはいいが、米国が回復しても日本の株は買いづらい…… という意識が海外の機関投資家に根強く残っていることが問題なのである。その要因のひとつが、6日、日本経済新聞が報じたような邦銀の増資観測である。

これは、本文で何度も指摘してきたことで、9月も野村證券が行った大規模な公募増資の要因として指摘してきたことだが、前回ピッツバーグで行われたG20金融サミットでほぼ合意がなされた、新BIS規制による増資懸念がいまだに根強く燻っているのである。

G20金融サミットの合意内容をもう一度指摘しておくと、銀行経営の健全性の目安になる自己資本規制の強化を義務化。2012年末までを目標に導入するという合意がなされている。銀行に財務基盤の強化を促し、金融危機の再発や経済の動揺を防ぎたいという狙いから、銀行資本の「質」と「量」を高めようというのである。

自己資本比率を高めなければならないというのはいいのだが、国際決済銀行(BIS)総裁会議では、金融機関が持たなければならない中核的自己資本は、「普通株と内部留保に限る」としており、自己資本のすべての項目を完全に開示することが盛り込まれている。これが「新BIS規制の導入」である。

つまり、自己資本の「質」を重視しているのである。メガバンクがこれまで大量に発行してきた優先株による資本調達は、「中核的自己資本に含めない」という方向で合意がなされている。日米欧などの銀行監督当局で構成するバーゼル銀行監督委員会によれば、優先株や優先出資証券は原則として新基準に当てはめることができなくなる。あくまでも、資本としての質が高いとされる普通株と内部留保を足し合わせた自己資本が一定水準を上回るということが求められているのだ。

これらは、去る9月5日にロンドンで行われたG20財務相・中央銀行総裁会議での合意に沿ったものであり、いきなり突然飛び出てきた話ではない。具体的な数値目標すらまだ無いので何とも言えないのだが、野村證券が増資を行った理由として、2009年3月期の自己資本比率を野村證券がバーゼル銀行監督委員会が定める基準で自主的に算出した数値では18.1%だったという説明がされている。

ということは、少なくともそれ以上の「量」と「質」の両面での自己資本比率の強化が求められるということになり、野村證券とメガバンク3行を比べると、増資を行わざるを得ないのでは……という推測は成り立つ。

しかし、繰り返すがこれは今降って沸いて出た話ではない。11月6日に日本経済新聞朝刊が改めて報じただけであり、投資家の間ではもうかなり前から織り込まれている話である。現に、本文中でも増資懸念がある以上、メガバンクは買われづらいと言い続けてきたではないか。

だが、メガバンクに関しては日本航空の再建問題もあって、必要以上に売り込まれてきたという背景もある。返済猶予法案というやっかいな代物も抱え込まされたという背景もあった。しかし、返済猶予法案も骨抜きになり、日本航空の再建も国税を注入するということで決着が付きそうだ。

それでも、銀行株は勧めづらい。信用の売り残は増えてきたとはいえ、機関投資家が逃げたあとに残された個人投資家が信用買いを進めてきたからだ。三菱UFJの信用の貸借倍率7.25倍にまで膨れ上がっている。

ただし、これだけ増資観測がなされていていることから、増資による一時的は1株の希薄化と株価下落はある程度織り込んできたと思われる。NECの大型公募増資もアク抜けとなり、株価は大幅高となった。

東京証券取引所が6日発表した10月(5~30日)の投資部門別売買動向をみても、東京、大阪、名古屋3市場の1・2部合計で、外国人投資家は2カ月ぶりに日本株を買い越した。買越額は7302億円。9月は1242億円の売り越しだっただけに、これは大きな変化だと言えるだろう。

もう、ここまで来れば増資→1株価値の希薄化→ショック安ということにはならない可能性が高い。一時的に下げる場面もあるかもしれないが、アク抜けになって、本格反騰へと向かう材料に捉えられるだろう。金融株が安定すれば、不動産なども安定し、自動車などの他の産業にもポジティブな材料となる。

野村證券の大型公募増資のときに、ゴールドマンサックス証券は、「増資目的は防御ではなく攻撃」であると評価した経緯もある。日興シティやメリルリンチが「想定外の増資」として「売り」スタンスに変えたのに対して、ゴールドマンサックスが評価するレポートを発表する一方で、大和総研では「押し目買い」のスタンスを取っていた。現在の野村證券の株価を見れば、どちらが正解だったのか、自明の理ではないだろうか。

たしかに、金融株……それもメガバンクは買いづらい。公募増資を仕掛けるタイミングを計っていると思われるが、株価が低迷しているなかで公募増資を行ったところで調達金額が満たないということになりかねない。株価がある程度リバウンドしたところで、改めて公募増資を……という思惑であろう。

そのときに、株価は一時的にはショック安になるかもしれない。ただし、今の株価には増資による希薄化懸念は相当に織り込まれているのは確かだ。メガバンクが公募増資を行い、売りが殺到し、信用貸借倍率が改善したところが、絶好の買い場とも言えるだろう。