ガンパウダー・ミルクシェイク | kazuのブログ

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球春到来!コロナ禍の3年目、昨年に引き続き今年もなんとか選抜高校野球が開催されました。しかし、今年は開会式が初日の対戦校6校のみ...。中途半端やなあ、晴れ舞台です。なんとかみんなが胸を張って行進出来るようにできんかったんかいな。もうこんなことが日常化しつつあるような感じがしてしょうがない。子供たちまで巻き込みたくない。これはここに自分の思いのたけをコロナ禍以来ずっと書き綴っていることです。そして今回も出てしまいました。昨年あたりから甲子園の常連になりつつある近畿代表、京都国際高校が野球部内でクラスター発生。出場辞退となってしまいました。繰り上がりで補欠校となっていた滋賀県の近江高校が出場。そして昨日、すでに一回戦を突破した広島の名門、広島商業が同じく部内でクラスターが発生、2回戦を辞退することになりました。対戦相手は強豪・大阪桐蔭でした。選手たちは本当に無念でしょうね。こんな事いつまで続けるんですか?本当に、本当に、もうこれで最後にしてほしい!切に願います!気を取り直して...それから、それからついに、プロ野球も開幕です!我がタイガースは昨年の雪辱を果たすべく、覇者スワローズと対戦!4番佐藤が3安打、ベテラン糸井が豪快な一発、藤波が7回を3失点に抑える好投!結果は8-1で快勝!えっちゃうの?...からの―...8-10の逆転負けぇ~。あちゃー。やっばりスアレスの抜けた穴は大きい。リリーフ陣が総崩れ。笑って泣いて悲喜こもごもの球春ですが、気を取り直していきましょう。

もやもやを解消してくれる本日ご紹介の映画は「ガンパウダー・ミルクシェイク」

ガンパウダーって「火薬」のことです。ミルクシェイクは女の子の好きなあのあまーい飲物。この題名が示す通り、バニラシェイクをすすっているような女の子が拳銃、機関銃をぶっ放し、ナイフを振り回し、果ては全身凶器となってアホでマヌケでヘタレでワルな男どもをなぎ倒すハードクライムアクション。古くからの映画ファンはノスタルジックにサムペキンパーの血の映像美に浸り、ヤングな皆さんはタランティーノのバイオレンスワールドに酔う。まさに女はエラい、男はアホと言うフェミニズムの極致を行った作品。出てくる男は善人が一人もなし!すべてがクズでカスな奴ばかり!なのに、男の私が観てなぜかこの爽快感!「おっさん、お前はMか?」と言われそうな男にとっては情けなくも痛快極まりない作品です。

サマンサは闇の組織〝ファーム(会社)〟の抱えるトップの殺し屋である。彼女の母スカーレットも「ファーム」の凄腕の殺し屋だった。だが15年前、サマンサの目の前である男を殺した後、サマンサの前から忽然と姿を消した。スカーレットを助け、サマンサの面倒を見たのは「ファーム」への出資者たちと殺し屋たちの仲介をするネイサンである。ネイサンの元で母の後を追うようにトップの殺し屋となったサマンサは今日も仕事を片付け引き上げようとしたとき標的となった男の仲間たちがやって来た。サマンサは瞬時に全員を片付ける。情報ミスだったが「大量殺戮」となってしまった「仕事」にネイサンはぼやいたが、息つく暇もなく次の仕事が待っていた。次の仕事は「ファーム」の金を横領し姿を消した経理係を見つけ出し、始末して金を取り返すこと。経理係の潜伏するホテルを突き止めたサマンサに男は懇願した。

 

「見逃してくれ、娘を拉致され、その犯人たちに命令された」

 

だがもみ合ううちに銃が暴発し男は重傷した。尚も男は懇願する。

 

「頼む、金をもって娘を助けに行ってくれ」

 

組織の制止を無視し、男を病院に連れていったサマンサは娘エミリーを助けるべく現場へ向かい、誘拐犯たちと対峙。エミリーは助け出したが犯人たちは金をもって逃亡。サマンサは後を追ったが犯人たちは途中で仲間割れを起こし全員死亡。その際、火薬に引火し金は吹っ飛んでしまう。

一方、「ファーム」でも一大事が起こっていた。サマンサがやってしまった「大量殺戮」の中に別の強大な犯罪組織のボス、マカリスターの息子がいたのだ。「ファーム」はマカリスターと諍いを起こしたくなかったためサマンサの居所をリーク。そして「ファーム」もサマンサを抹殺するため3人の殺し屋を送り込む。

エミリーを連れて病院に向かったサマンサだったが時すでに遅く、エミリーの父は既に死亡、そこへ「ファーム」の放った3人の殺し屋がサマンサたちに襲いかかる。腕に麻酔注射を打たれ、両腕がまともに使えないながらもサマンサは3人の殺し屋を始末する。隠れ家へ逃れたサマンサとエミリーだったが2人を助けてくれたのはなんと15年ぶりに出会うサマンサの母スカーレットだった。そこへ今度はマカリスターの子分たちが急襲。3人が逃れた先はスカーレットの昔の仲間たちが経営する「図書館」だった。図書館とは名ばかりの武器の販売店。経営するのは図書館員のマデリン、フローレンス、アナメイの3人の女性。いずれもスカーレットの元仲間。殺し屋のOBたちである。そして遂にマカリスターの手下たちが「図書館」に襲いかかる。一歩も引けない女たちのバトルが始まる...。

この作品には今までのコアな映画人たちへのオマージュがいっぱい含まれています。例えば知っている人は知ってるだろうし、感づいた人は感づいていると思いますが病院での銃撃戦、私はマカロニウエスタンの名作「続・荒野の用心棒」へのオマージュじゃないかと思いましたね。あのフランコネロ扮する天才ガンマン・ジャンゴが手を砕かれながらも、最後墓場で敵を迎え撃つ。手を砕かれてどう対決するかと言うと手を包帯でぐるぐる巻きに固定して、銃のフレームを食いちぎって外し、墓場の十字架にトリガーを押し付け、あとは固定した手で撃鉄を叩きつける。ラストはそれだけで相手を全部倒してしまいます。「漫画やがな」と思うなかれ、中学生の頃はかくいう私もこの1シーンに夢中になったものです!(男の子はいつの時代もほんまアホやねぇ)

そして、この作品のクライマックス、ダイナーでの殺し屋マダムたちのまさにカオスな殺戮シーン、凝固した血液がスローで飛び交うこの映像は絶対、サムペキンパーへの憧れ、殺戮のアイデアはタランティーノへのリスペクト。監督さんはナヴォットパプシャドって言う何とも覚えにくい珍しい名前の人。イスラエル出身の監督さんらしいです。何でも彼の作った「オオカミは嘘をつく」って言う作品が評判らしい。ちらっと題名に聞き覚えがあるような、ないような一度観てみましょう。ん?釜山国際映画祭でクエンティンタランティーノが絶賛。R15指定...。なるほど、大体どんな映画かわかります。

 

覚えにくいけどこの監督さんの名前、憶えときましょう。そしてこの作品には主演のヒロインを演じた若いカレンギランの八面六臂の大活躍もさることながら、彼女を取り巻く素敵なマダムが多数出演しておられます。レナヘティ、テレビ版のターミネーターでサラコナーを演じてました。アクション作品にはぴったりです。カーラグギノ、なんだかんだといろんな作品に出てます。よお見かけますこの人。ミッシェルヨー、香港のアクション映画からボンドガール、そしてハリウッドへ、ピアースブロスナンと出ていた007がもう遠い昔なんやねぇ。何を隠そうこの私と歳が一緒、誕生日も一週間違い、こういった作品には欠かせませんね。最後はアンジェラバセット、この人もいろんな映画によう出てはります。ティナターナーを演じたかと思えば「ミッション・イン・ポッシブル」に「ブラックパンサー」。とにかく顔が怖い!クライマックスのダイナーでの乱闘シーンではバニラシェイクの入ったグラスに男の顔面を叩きつける、歯をむき出したその形相!鎖でも食いちぎってまいそうです。これをスローで撮ってるからたまりません。夢に出てきそう...。

1人のヤングレディと4人のマダムが暴れ回るこの作品、脚本?そんなんいらんわ、R指定?好きにせえ!、キミィ道徳的にねぇ、危ないからあっちいっとれ!兎にも角にも、焼けのやんぱち、日焼けのなすび...カオスです!とにかくカオスな作品です。

けど、そんな中でもレディやマダムたちが少女に時折見せるやさしいしぐさ、ああこれが母性本能と言うものか!やっぱり女性映画だわ。