治療方法を免疫治療に変え投薬する薬も変わりました。血液検査だけですが、腫瘍マーカーの数値が下がったとのこと、まだ一回目が終り、二回目の治療が行われただけですがまずは一安心。このまま「厄介者」が小さくなってくれることを祈るばかりです。
さてさて、世間様がそろそろ動き出した今日この頃ですが待ってましたとばかりにコロナ・オミクロン株とやらも同時に動き出しました。オミクロン株とやらが動き出したと同時に政府分科会を始めとする医者モドキ、学者モドキのような病原体もまたぞろ動き出し、人流抑制、控えい控えいと黄門様張りにの賜り始めました。「ええかげん、仕事させよー」と呆れるばかりの我々ですが、まあまあ、ここは人流ではなく我々のお怒りモードを抑制しようと先日観に行った映画がこれ、「キングスマン-ファーストエージェント」。
キングスマンシリーズの「事の始まり」を史実、虚実をごったまぜにして、ヨーロッパ史の20世紀初頭に暗躍した謎多き人物たちを登場させた痛快活劇風の作品となっております。
なぜ、キングスマンは結成されたか?創始者は誰か?どんな信念で?そんな表話、裏話を描く一方、キングスマンの誕生を史実にあわせて作り上げているから近代ヨーロッパ史のファンにはたまらない仕上がりになっています。(実在した人物の搭乗の仕方は無茶苦茶なんですがストーンヘッドの方々はむきにならず有名人の登場だけを楽しんでくださいね)
と言うことで、「キングスマン」の基礎を築いたイギリス貴族のオックスフォード公爵とその忠実なる僕たちがヨーロッパ史の闇に暗躍するラスプーチン、マタハリ、レーニンらとそれを束ねる謎の男、「羊飼い」らと闘う様はクライマックスまで面白さとバカバカしさが満載です。
1902年 南アフリカにおけるボーア戦争の最中、イギリス貴族オックスフォード公はイギリス軍基地を訪問中、自分と幼い息子の目の前で妻エミリーを敵の銃弾で失ってしまう。エミリーは息を引き取る間際、オックスフォードに「あの子に二度と戦争を見せないで」と言い残す。
それから12年、息子コンラッドは立派に成長したが、妻エミリーとの約束を守ろうと反戦主義を貫くオックスフォードの心とは裏腹に愛国主義者のコンラッドは「国のために戦いたい」と言う思いが日に日に強くなっていった。折しもイギリスは風雲急を告げるヨーロッパの戦雲の中に引きずり込まれようとしていた。いとこ同士であるイギリス国王ジョージ5世、ロシア皇帝ニコライ2世、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世が反目し合い始めたのである。他の二人に劣等感を持っていたヴィルヘルム2世が軍備強化を始めたのである。だがこれには仕掛け人がいた、自らを「羊飼い」と名乗る男を首領とした「闇の狂団」なる組織である。目的は唯一つ、ヨーロッパ全土を戦乱の渦に巻き込むこと。「羊飼い」はヨーロッパ各国へ自らの配下を解き放つ、ロシアの怪僧ラスプーチン、女スパイのマタハリ、ドイツの預言者エリックヤンハヌッセン、共産主義者の革命家レーニン等、いずれも20世紀のヨーロッパ史を暗躍した人物ばかりである。その中にセルビア人青年ガブリロプリンツィプがいた。彼は「羊飼い」の命令を受けサラエボを訪問中のオーストリア皇太子フランツフェルディナンド大公の命を狙う。大公の危機を察知したイギリス軍上層部は大公の護衛をオックスフォード父子に依頼、爆殺を試みたプリンツィプに対しコンラッドの気転で一度は大公の命を救うものの一行が路地に迷い込んだところを大公夫妻はプリンツィプに射殺されてしまう。
大公暗殺がきっかけとなりヨーロッパの大戦危機は免れないようになる。増々軍への入隊希望を強くするコンラッドにオックスフォードは遂に「秘密の仕事」を打ち明ける。彼のもう一つの顔、戦争を阻止するためオックスフォードはヨーロッパ中の貴族の使用人の中に密偵を潜り込ませ政府には属しない諜報機関の一大ネットワークを築いていた。メイドのポリーや執事のショーラは諜報活動や戦闘技術に長けた優秀な部下だったのである。各国からの情報により最も大きな元凶はロシア皇帝に取り入る謎の僧侶ラスプーチンだと言う情報を掴む。オックスフォード一行はロシアに向かう。大戦を必死に食い止めようとするオックスフォードと国に殉じたいと願うコンラッド、彼ら父子の運命は...。
前作までの作品は何というかイギリスの「名産品」007のパロディ的要素が強かったけど今回はどこか一味違いました。歴史上の「闇の人物」を大挙出演させ創始者オックスフォードの心の奥底に秘めておきたい負の部分が描かれており、元々は決して正義でないことも語られています。ふざけた要素も抑え気味に何といっても再度ヨーロッパ近代史を勉強したくなります。背景は第一次世界大戦前夜から大戦へと突入していく様を描き、地獄のような「西部戦線」の模様も描かれていく。本項の主役オックスフォードを演じたレイフファインズは今更ながらいい役者さんですよねー。華々しく売り出したのがスピルバーグ監督の「シンドラーのリスト」で演じたあの悪役ドイツ将校なわけですが狂気じみた悪役もできれば今回のような善人もできる。でも厳格ヨーロッパ紳士って言うのが見事にはまるかな?
勿論これをこのまま鵜呑みにする人はいないと思いますが充分勉強にはなります。より難解なヨーロッパ史において近代の世界大戦に発展してしまう展開には学校の歴史授業では決して教えてもらえないようなこともあり、抜けていたパーツがピタリとはまるようなことも...。例えば授業でラスプーチンなんて教えてもらえないですよ。映画や小説でたまに登場する得体のしれない男。自分がこの名前知ったのは学校卒業してからですからね。ラスプーチンに興味を持って色々調べると、予言、魔術を使うとか、2mを超える長身でひげは伸び放題、風呂は一月に一回程度しか入らないとか、僧侶であるくせに女にだらしないとか、それでいて宮中の女性に非常に持てたとか、その理由はと言うと、え、その、何が凄い持ち主であったとか...当然、学校の世界史の授業ではそんなこと教えません。
その他、女スパイ、マタハリも、私がマタハリなんてけったいな名前知ったのは日本史で川島芳子のことを知ったのが先のきっかけです。「東洋のマタハリ」なんて呼ばれてたからね。マタハリ?マタハリってなんやってもんです。まあこんなんは雑学に過ぎないんで試験に出るとかなんとかは関係ないんやけど、まっ、いろんな人と会話するときには損はしないということです。こんな風に映画と言うのはいろんなことを教えてくれるし、知識を得るきっかけにもなります。自分にとっては学校卒業してン十年になりますが唯一の先生であります。

