こころとからだのしくみ、入浴の効果、入浴の作用、お湯がからだに与える影響、簡単ではありますがご紹介させていただきたいとお思います。



 <入浴、清潔保持に関連したこころとからだの基礎知識>・・・清潔保持の生理的意味
①入浴や清拭は、心身機能を高めるとともに身体を清潔に保ち、爽快感や満足などを得ることができる。
②からだを清潔にするのは人間の基本的欲求の1つである。入浴の効果には以下のものがある
③人間は外気温や体温の変化に対応して恒常性お保ち生活している。抹消の温度受容器は皮膚に、中枢の温度受容器は脳にある。皮膚はさまざまな感覚(触覚、圧覚、痛覚、温覚、冷覚)を受容し、脳に伝え、外部刺激から身を守り、内部環境を維持する役割を担う。皮膚はからだの表面をおおい外界と接しているため汚れやすい。



 <清潔保持に関連したこころとからだのしくみ>
①お湯の温度が中温(38~41℃)の場合は、副交感神経の働きが促進され、心臓の拍動は低下し、血圧も低下する。筋肉も弛緩するので、ゆったりとできリラックスする。

 *副交感神経:内臓の働きを高め、からだを休ませる方向に向かわせる神経


②清潔にすることにより、さっぱりとした爽快感をもつことができる。心肺に負担をかけられない場合は、首までお湯に入らずに半身浴やシャワー、清拭など、他の方法を考慮する。
 
<機能の低下・障害が及ぼす入浴、清潔保持への影響>
①入浴の際は、からだを保護するものがなく、血流も豊富になるので、大事故につながる転倒は回避しなければならない。
②麻痺がある場合は、麻痺側の感覚や機能が健側とは異なる。半側に麻痺のある場合は、空間の失認を伴うことがある。また、装具を用いて歩いている人は浴室内では外すので、歩行能力を把握し適切な移動手段を選択する。麻痺側の冷感を訴え、長湯を希望する人が多いが、本人の意向、顔色、時間、受け応え時の様子など総合的に判断して、浴槽に入っている時間を決める。個人差があるが、5~10分程度を目安にする。
③入浴中に脳出血などが起こりやすいのは、部屋間の温度差や湯温による温度刺激など、循環器に及ぼす負担が大きいためである。このように急激な温度の変化が、からだに及ぼす影響のことをヒートショックという。血管が肥厚したり、弾力を失うなどの血管壁の変化や高血圧の疾患がある場合は、血圧が急激に変動する状態を避けなければならない。
④入浴ではお湯に入ると血圧が上昇し、やがて温熱効果で血圧は下降する。これらの温度変化は血管を著しく伸縮させるとともに、血圧や脈拍を大きく変動させる。これにより、脳梗塞や、脳出血を引き起こし深刻な事故につながることがある。
⑤家庭内の不慮の事故死の原因は、浴槽内での溺死溺水が多い。事故死に分類されていない脳出血や心不全などの病気や熱傷に分類された人まで含むと、年間1万2000人以上の高齢者が風呂場で亡くなっている計算になる。部屋間の温度差、浴室のお湯の温度に十分な注意が必要である。
⑥心臓や呼吸器に障害がある場合は、温度変化以外に水圧による影響を受ける。交感神経を刺激する熱い湯温を避け、水圧による負担を避けた半身浴やシャワー浴など、からだへの負担が少なく清潔にできる方法を選択する。


 *交感神経:からだを活動・緊張・攻撃などの方向に向かわせる神経で、手に汗を握ったようなときに、より働いている神経


入浴場では当たり前ですが生活者様は裸でいるので最新の注意を払い、安全第一を考え介助していただきたいと思います。最後に、現場で働かれている方に少しでもお役に立てればと思います。




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