先日の貴種流離譚の中に出て来た≪鉢かづき姫≫を調べてみました。

 

 

 

これは、御伽草子に載っているとの事だったのですが、おとぎ話とか日本昔話の中でも珍しく、人物像や土地柄が具体的なんです。

参照⇒鉢かづき姫の物語/寝屋川市

大阪府寝屋川市のHPに、とても詳しく載っていました。

同様のお話として、各地で語られるものが多い中、ここまで具体的っていうのは実話に基づいているからではないだろうかと思ってしまいます。

 

舞台は河内の国 、交野郡寝屋に寝屋長者と呼ばれる人物がいたそうです。

名は、備中守藤原実高

ね、超具体的w

鎌倉時代の話みたいです。

この名家に嫁いできたのが摂津の国鳴海の里の芦屋長太夫の娘で照見という女性。

こちらも物凄く具体的です。

この二人から生まれたのが、【初瀬】という名の女の子です。

この夫婦は、初めなかなか子宝に恵まれずに、大和国の初瀬寺(長谷寺)の観音様に祈願したそうなんです。

参照⇒大和国長谷寺(桜井市初瀬)

↑ここかなぁ・・・多分そうですよね。

 

ここまでは実話っぽいのですが、ここから不思議なお告げが観音様からあります。

この娘に鉢を被らせるようにというものです。

なぜなんだろう・・・??

初瀬が14歳になったころから母の照見は病がちになり、死の床で母は観音様から頂いた鉢を娘に被せて息を引き取ります。

その鉢は、頭から決して外れないという魔法なんだか呪いなんだか分からない仕掛けになっています。

スケバン刑事の鉄仮面伝説みたいですw

その後、父は後添えに浅路という女性を迎えます。

 

ここから、シンデレラや白雪姫のような展開になります。

継母は美しいけど意地悪で、娘に嫌がらせをして父に娘の悪口を吹き込ませて家から追い出してしまうんです。

鉢を被らせるのも不思議なんですけど、わたしにとってもっと不思議なのは、後妻の口車をマルッと信じて、大切な自分の娘を信じないで探しもしない父親です。

 

美貌の後妻は意地悪で、父親は娘を信じないというのも、物語では定番の流れです。

この枠組みにも名前が付いているんじゃないでしょうかねw

落窪物語もそうですよね。

過去記事⇒ペロー童話シリーズ【シンデレラ】

 

家を追い出された初瀬は入水自殺をしようとするんですけど、鉢が浮いてしまうので死ぬことはかないませんでした。観音様の計らいでしょう。

だけど、鉢なんてかぶっていたら重くて沈みそうですけど・・・

その後、山陰三位中将に命を救われて風呂焚き番として雇われることになります。

また具体名が出ました!

 

そんな彼女に中将の四男が惹かれて恋仲になるという流れに。

鉢を被っていてみすぼらしいなりをしている風呂焚き少女に、お坊ちゃんはなぜ声を掛けたのか。キッカケをしりたいところです。

本当は高貴な身の上なのに、貧しい風体になって下働きに身をやつしているところを見初められるというのも、割と定番な流れです。

神話にもみられます。

 

結婚を認めて欲しい四男ですが、もちろん反対されます。

しかし、嫁比べで勝てば、結婚を許すということになります。

名家にふさわしい家柄のお嬢様と初瀬の教養対決をさせようというわけです。

とても勝ち目はないと考えて、駆け落ちしようとする晩、初瀬の鉢が割れて美しい素顔が現われます。

外見の美しさのみならず、琴の演奏、文字の美しさ、歌を詠む教養も備わっているし、

鉢の中からは金銀や着物などの宝物が湧いて出るというおまけつき。

観音さまのご加護、ここに極まれり。

無事に嫁比べに勝利した初瀬は祝福されて四男と結婚することが出来て幸せにくらしましたとさ。

 

ちなみに鉢かづき姫のイラストは、こういう鉢というよりお椀を被ってるようなものがほとんどなんですけど・・・

 

これだと、顔、見えてるよね。