「カルトの洗脳を解く手法は『別の洗脳』」とはよくいわれるが | 偕楽園血圧日記

「カルトの洗脳を解く手法は『別の洗脳』」とはよくいわれるが

 今日も一日風が強い。
 東北の雨もやまないし、こちらは台風が接近しているという。
 暑さも相変わらずだし。早く落ち着いた気候にならないものか。


 さて、いろいろ書きたいことがあるのだが、とりあえず今日は「本日の脱獄王」から。

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 旧奈良監獄から脱獄したみたい!? 気球でふわり、秋イベントで計画


(写真、朝日新聞デジタルより。旧奈良監獄の運動場から飛び立とうとする気球。後ろに見える赤れんがの建物が収容棟=2022年8月2日、奈良市般若寺町、富岡万葉氏撮影)

 旧奈良監獄(旧奈良少年刑務所、奈良市般若寺町)が一般公開される今秋のイベントで、気球体験が目玉企画の一つに予定されている。脱獄気分を味わえるかもしれない?
 旧奈良監獄は2024年に超高級ホテルに生まれ変わる。ホテル運営者の星野リゾート(長野県)が、11月にも改装工事を始める。1908(明治41)年に建てられ、重要文化財に指定された建造物は耐震工事を施され、内装がホテル仕様になる。

 気球体験は年1回のイベント「奈良赤レンガフェスティバル」の企画として、初めて催される。フェスティバル実行委員会の一人、吉野泰司さん(62)は「朽ちた細部も含め、建てられた当時の姿をそのまま見られるのは今秋が最後の機会です」。
 2日には、気球の試験飛行があった。
 関係者に公開された気球は監獄の裏手にある運動場から飛び立った。目の前にある旧奈良監獄の収容棟が少しずつ遠ざかり、上空約20メートルの高さでストップ。「まさに大脱獄ですね」。参加者から声が上がった。
 ただ4、5人乗りのかごのすぐ上では高度調整用のガスが燃えていて、かご内部の温度は操縦士の男性によると「80度くらい」。日光とガスの熱気で汗だくになり、華麗な脱出劇とはならなかったようだ。無風だと上空30メートルほどまで浮上でき、放射状に並ぶ建物の全景が見渡せるという。

 フェスティバルは9、10月の週末を中心に約1カ月間、開かれる。元刑務官によるガイドやプロカメラマンが指導する撮影会、受刑者が作った製品の展示即売などが予定されている。
 申し込み方法は公式ホームページ(http://former-nara-prison.com/)に順次公開される。(富岡万葉)
 朝日新聞デジタル 8/4(木) 12:00

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 アニメでは定番だな、気球を使った脱獄(笑)。

 実際問題、気球のように自力で高速移動できないもので逃げたところで地上から丸見え。よほど辺鄙で追跡できない地形の方に逃げていかない限りはずっと追いかけられるし、やがては降りなくてはならず。
 つまるところはルパン三世」の17話「罠にかかったルパン」のようになってしまうだけだが。
 しかし、熱気球ってそんなに熱いのか。アニメだったら髪がアフロになる演出が入るところだな(笑)。


 ところで「脱獄」といえば、(2009/04/29の記事、No TV,Bad TBS)で、フランス領レユニオン島の監獄からカルト教の教祖が仲間のヘリで脱獄したというニュースを取り上げたことがある。
 あの後この脱獄囚は捕まったのだろうか?
 しかしフランスの「カルト認定」集団というのはものすごいな。

 そんなフランスを「見習え」という人間が、この頃やたらとメディアでもてはやされている。
 今回話題になった統一教会のことで、流星のようにテレビに出てきた弁護士が、

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 フランスのカルト認定には10の指標があります。例えば、「精神的不安定化をもたらす」「法外な金銭要求(献金など)をする」「重大な訴訟問題を抱えている」「通常の経済流通経路からの逸脱(高額な物品販売など)」などが当てはまると、カルトに認定される可能性があるということですが、大阪大学大学院法学研究科の島岡まな教授によると「あくまでも指標で、一つでも当てはまったら即カルト認定ということではない。相談件数や被害者数によって臨機応変に変わる」ということです。

Q.フランスの「反カルト法」のような法律を、日本で導入することは可能なのでしょうか?
(紀藤弁護士)
「これはガイドラインを作ることですので、他の政党の皆さんも言われていることです。ガイドラインを作ることと、それを法制化するということのレベルの問題をどう考えるかということだと思います。ガイドラインが出来るのであれば、それは法律できっちり決めといた方が、むしろ情報公開されていますから、どの団体でも『こういうことに当てはまるとまずい』ということも分かります。フランスでは、このカルトの10の指標に当てはまると、公安調査庁みたいな組織の被調査団体に入るんです。いわば監視をしているのですが、その監視の前提に、この10の指標があるだけで、もしこの監視が嫌なら裁判を起こせばいい、ということにもなるわけです。つまり、ちゃんとルールは公開しておいた方が結局、被調査団体においても争う手段があるという意味で、曖昧にするより、むしろ公開した方がいいというのが私の考え方です」

 読売テレビ 8/11(木) 14:00配信「【独自解説】『仏の「反カルト法」を日本にも』紀藤弁護士が指摘する“トラブル団体”対応の問題点とやるべきルール作り」より

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 と「カルト法を作れ!」と主張しているのだ。

 うん。新興宗教など統一教会に限らず怪しいところが多いので、そういう法律を作ることができるというのならば、悪いことではない。「怪しい整体師」に引っかかった元横綱もいたから、「組織」に限らず、個人でやっているようなものも対象にして。
 ついでに共産主義団体も仲間に入れて取り締まってやれば、マスメディアが「市民団体」とごまかしているような集団も一層できていいだろう。

 だが、そういうものは憲法第二十条

「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

 との兼ね合いもあるので、なかなか整備が難しい。
 我が国は「誰か/何かをその考え方で排除するようなことをしない」ということを国の運営の基本ルールにしているのだ。

 この弁護士は、「あくまでも指標で、一つでも当てはまったら即カルト認定ということではない」などといっているが、ならばなおさらその適用が恣意的になる可能性を秘めている。
 フランスは元々カトリックを「国教」とする歴史を持つ国で、かつてその社会は魔女狩りを「正当化」していたということを忘れてはいけない。さらには今でも「テロリストとみればその場で射殺もOK」。
 イスラム教徒が公共の場でヒジャブをかぶることすら禁止しているような国の法律が、どうして手本になると思っているのだろう。

 こんな人間が詭弁を弄しているものを、

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 橋下徹「ミヤネ屋」で紀藤氏に徹底論破される「同じ弁護士なのに」と呆れ声

 8月8日に放送された『ミヤネ屋』(日本テレビ系)で、元大阪府知事の橋下徹氏(53)が全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹氏(61)に論破されるシーンがあった。ネットでは橋下氏に対して呆れる声が上がっている。
 連日、“旧統一教会と政治家の癒着”について取り上げている『ミヤネ屋』。そこで、この日はカルト認定をするために10の基準を掲げるフランスの反セクト法、通称「反カルト法」を引き合いに出し「カルト宗教を取り締まる法律は、日本でも実現するべきか」について議論が交わされていた。

 司会の宮根誠司(59)らと共にスタジオ出演していた橋下氏。中継先にいた紀藤氏の「反カルト法のような法律を導入すべき」という提言に、「反カルトというのは、あくまでも宗教に絞った規制。でも、(信者が)信じているのはしょうがない。だから教義内容や内心に踏み込むのは危険」と返した。
 すると紀藤氏は「教義に踏み込まない」という橋下氏に対して「’70年から’80年代で欧米で議論されていた、40年前の議論を蒸し返している」といい、「基本的には信教の自由には立ち入らない。諸外国の常識で、カルト規制法もそう。そしてカルト規制法は団体規制なので、宗教団体に限らない」と述べた。
 しかし、橋下氏は「日本では団体に対する規制は慎重になっている。治安維持法で特定の団体や思想を弾圧した経緯があるので」とコメント。そして「日本は、個別に摘発して解散に追い込むというやり方。だから反カルト規制法というものは作れません」と持論を展開した。
 ところが紀藤氏は「難しいからできません、では政治家は成り立たない」と指摘。「他の国では、免税資格を取り消すことと法人格を取り消すことは違う。団体を解散させることも違う。3つの段階がある」といい、「基準を当てはめた時に、どの段階のことをやるのかという議論はきめ細かく進めたほうがいい。解散命令の基準になりうるものも作るべき」と反論した。
 その後、橋下氏が「“難しいから”ではなく危険だから。中国もロシアも弾圧に向かっている。その反省をもとに団体に対する規制は慎重になろうというのが日本のやり方」と語り、2人の応酬は終わった。ところが、この“舌戦”がネットで話題を呼ぶことに。
(中略)
《どうやら紀藤弁護士が鋭すぎて。橋下も同じ弁護士だとすっかり忘れてた》
《橋下さんはソワソワ、スタジオから周りの岸さんなどコメンテーターや宮根さんに目配せして同意を得ながら、話を無理に広げて時間稼ぎをしながら。かたや紀藤弁護士はモニター画面から一人、悠然と待ち、聞かれたときだけ端的に切れ味鋭く》
《同じ弁護士でもこうも違うものなのか》

 女性自身 8/9(火) 15:50

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「論破」と持ち上げる人間がいて、それをまた「多くの声」であるかのように記事にするいつもの「トラッシュ週刊誌」。まったく彼らは自分たちがどれだけ危険な主張をしているか気が付いているのだろうか?

 以前にも書いたように、私個人としては「統一教会など韓国人がキリスト教を出汁にしているただのただの詐欺集団。そんなもの取り締まってしまえ」とも思う。
 が、「俺がそう思うからあいつは悪」が政治やらマスメディアの扇動やらで決められるようなことがあってはならないのだ、わが国では。橋下氏が言っているのはそういうことである。
 これが通るのならば、特定勢力のキャンペーンでいくらでも「その勢力にとって不都合な組織」が潰せることになる。

 それこそマルティン・ニーメラー牧師による詩、

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    ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった 私は共産主義者ではなかったから

    社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった 私は社会民主主義者ではなかったから

    彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった 私は労働組合員ではなかったから

    そして、彼らが私を攻撃したとき 私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった

— マルティン・ニーメラー財団による詩の日本語訳

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 をそのままなぞって。


 紀藤弁護士は「内心に立ち入るのではなく行為をなんたら」といっているが。それならば(2022/08/02の記事、「成功したテロ」を作ってはいけない)で書いたように、安倍政権が「霊感商法も消費者保護の対象として、簡単な手続きで返金措置が求められる」という法改正を行っている

 山上実行犯の母親が高額の寄付をしていたことをして「寄付の制限」や「課税」をいう者たちもいるようだが、つい最近、法隆寺が、

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「予想を超える支援」法隆寺クラファン終了 1億5千万円超集まる

 世界遺産・法隆寺(奈良県斑鳩町)が6月に始めたクラウドファンディング(CF)は7月29日夜、終了した。1日時点のCFウェブサイトによると、延べ7453人から1億5697万5千円が集まった。
 収入の柱は拝観料という法隆寺がコロナ下での減収を受け、境内整備費などの支援を募り始めたのは6月15日。9日目の23日には目標額2千万円の5倍に当たる1億円が集まっていた。
 法隆寺によると、境内整備費のほか、一時的に止まっている未指定文化財の修理などにも充てるという。
 大野正法執事長は「予想を超える大勢の方に支援していただき、ありがたい。(支援者の)コメントからも法隆寺を大事に思っておられることが伝わった。支援の声にどう応えるか、寺としても考えていきたい」と話した。(米田千佐子)
 朝日新聞デジタル 8/2(火) 11:26

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 こんなことをしていたことを思い出せばわかるように、新興宗教ではないところでも結構財政的にはきついところはある。
 宗教課税をすると、そういうところも維持不可能になる。
 まさかここで「俺はあれは認めるからいい。あれは認めないからダメ」ができるとは思うまい?

 いや、いま頭を沸騰させて「統一教会叩き」をしている人間は「できる」と思っているのかもしれない、それを。
 まさに「ナチスに同調したドイツ人」のように。
 そして後で「自分たちも騙された被害者だ」というのだろう。
 まさに「カルトの元信者たち」のように。