まずは法案をきちんと読んでみようや | 偕楽園血圧日記

まずは法案をきちんと読んでみようや

 ツィッターを見ていたら、

 


 こんなことをいっている人を見かけた。

「ネトウヨ」だの「パヨク」だのという単語を使っているところはいただけないが、言いたいことには賛同できる。
 なにしろ、左、というか「反安倍」勢力は、国会ですらその手の「デマ」を口にするのだから。

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 水道民営化の導入促す改正法が成立 野党「審議不十分」

 水道事業を「民営化」しやすくする改正水道法が6日の衆院本会議で採決され、賛成多数で可決、成立した。水道の民営化をめぐっては、海外で水道料金の高騰や水質悪化などのトラブルが相次いでおり、野党側は「審議不十分」などと反発していた。
 改正案は7月に衆院で可決後に継続審議になった。今国会では参院厚労委で審議が始まり、厚労省が検証した海外の民営化の失敗例が3件のみだったことや、内閣府の民営化の推進部署に「水メジャー」と呼ばれる海外企業の関係者が働いていることが露呈。野党は問題視して追及を強めていたが、5日の参院本会議で可 決後、与党側は審議なしで同日の衆院厚労委で、採決を強行した。
 改正案は、経営悪化が懸念される水道事業の基盤強化が主な目的。水道を運営する自治体などに適切な資産管理を求め、事業の効率化のため広域連携を進める。さらにコンセッション方式と呼ばれる民営化の手法を自治体が導入しやすくする。コンセッション方式は、自治体が公共施設や設備の所有権を持ったまま運営権を長期間、民間に売却できる制度。水道では導入例はない。自治体が給>水の最終責任を負う事業認可を持ったまま導入できるようにし、促す狙いがある。
 朝日新聞デジタル 12/6(木) 10:51

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「水道法の一部を改正する法律案」が、衆参両院を通って成立した。
 この様子を伝えるNHKニュースを見ていたら、立民の初鹿議員が演壇で堂々と「水道を外資に売り渡す」といっていたのだ。
 そういう言い方はネットでもよく見かけるもので、面白いことに普段「特定国の外国人に配慮しろ」といっているような人間たちほど「安倍は売国」と吹き上がっているのだが、そういう彼らは、例えば電気の「発送電分離と自由化」の時には、いったいなんと言っていただろうか?
というか、「外資がどうの」といっている人間は、(衆議院サイト 「水道法の一部を改正する法案」)に目を通したことはあるのだろうか?
 少なくとも、立民の初鹿議員は、目を通したことはないのだろう。そういうことをするために歳費を渡し秘書を雇わせているというのに。

 この法案のどこを読んでも、「水道施設を売り渡す」ようなことは書かれていない(朝日新聞も、記事を書いていて「長期間の売却」という日本語がおかしいことに気が付かないのだろうか?)。「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」という以前からある法律に従って、自治体が民間の力を使いやすくするようにするということが決められているだけ。
 メディアの中には、「水道『民営化』法案を可決」(共同通信 12/4(火) 15:08配信)などという見出しで記事を書くところもあるが、厳密に言えば、これは「フェィクニュース」である。
 まあ、彼らとしては「だから『かっこ書き』にしてあるんです」と逃げるのだろうが。

 ヤフー配信では、毎日新聞が改行タグすら忘れるほど興奮して、

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 改正水道法 諸外国の事例、件数すら把握せず 「民営化」の不安は未解消

 改正水道法が施行されると、水道事業の広域化や老朽化対策といった公共水道の維持に必要な取り組みが進むことが期待される。ただ、焦点だった官民連携を 巡っては、「民営化」に伴う安定供給への不安が国会審議を通じて解消されたとは言い難い。  ボリビアやジャカルタなどでは、水道事業の民営化後に料金が上がったり、水質が低下したりした。国際的な調査機関によると、2000年からの15年間で 37カ国の235水道事業が民営化後に再び公営化されている。  だが、政府は海外の再公営化事例を3例調査しただけで件数すら把握していなかった。根本匠厚生労働相は「十分に分析した」と答弁したが、説得力は弱い。 こうした姿勢は、働き方改革関連法案や入管法改正案の審議で浮上したずさんなデータ提示にも通じる。  運営権を売却しても、民間事業者が水道料金を自由に決められるわけではない。事業者への国の立ち入り調査権限も盛り込んだ。とはいえ、水道事業に携わる自治体職員は減り続け、国にも指導監督に当たる専門部隊はない。十分にチェックできるか疑問も残る。  政府は海外の失敗事例を調べ直し、水道水を安価で確実に供給するための厳格な手続きや基準作りに生かすべきだ。【原田啓之】
 毎日新聞 12/6(木) 20:06

(改行等原文ママ)
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「水質がー」「海外がー」という記事を書いているが、水質については、きちんと法案の中で「維持すること」と定められている。

 そもそもこの法律は、初めに、

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 水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)の一部を次のように改正する。
 目次中「第一章の二 広域的水道整備計画(第五条の二)」を「第二章 
水道の基盤の強化(第五条の二-第五条の四)」に 
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 と書かれ、〆の部分にもまた、

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 理 由
 人口減少に伴う水の需要の減少、水道施設の老朽化等に対応し、水道の基盤の強化を図るため、都道府県による水道基盤強化計画の策定、水道事業者等による水道施設台帳の作成、地方公共団体である水道事業者等が水道施設運営等事業に係る公共施設等運営権を設定する場合の許可制の導入、指定給水装置工事事業者の指定に係る更新制の導入等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

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  と書かれているように、水道運営の維持が目的にされているものである。

 法案の内容をきちんと読んだのだろう。珍しく朝日新聞も、

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 (社説)水道法改正 広域連携で基盤強化を

 市町村などが運営する水道事業の基盤を強化するための水道法改正案が参院で可決された。今国会で成立の見通しだ。
 水道は暮らしに欠かせないが、人口減少などで水の使用量は減り、経営環境は厳しい。一方で、高度成長期に整備された古い施設の更新、耐震化などへの対応も、急務となっている。
 課題を乗り越え、安全な水を安定的に供給する体制をどう維持していくのか。水道事業改革の契機としなければならない。
 改正案でもっとも議論となったのが、自治体が施設の所有権を持ったまま、運営権を民間企業に売却する「コンセッション方式」と呼ばれる手法の是非だ。
 今でもこうしたやり方は可能だが、自治体が事業認可を手放さなければいけなくなるため、水道事業での導入例はない。このため、自治体が事業認可を持ち、一定の関与を残す選択肢を新たに設けた。
 だが、海外では民間企業の参入で、水道料金の高騰や行き過ぎたコストカットによる水質の低下などを招き、再び公営に戻した事例もある。
 政府は、海外の失敗事例も参考に、条例で料金に上限を設けたり、自治体による監視体制を強化したりすると説明するが、どこまで実効性があるのか。
 水道は生命にかかわるもっとも重要なインフラだ。導入を検討する自治体には、住民の懸念・不安に応える丁寧な説明と、慎重な検討が求められる。
 そもそも民間が参入を希望するのは利益が見込める都市部が中心とみられる。課題が多い過疎地などの問題解決にはつながりそうにない。改正案のもう一つの柱である、市町村の枠組みを超えた広域連携こそ重要だ。
 広域連携の必要性はこれまでも指摘されていたが、水道料金の違いなど、それぞれの利害が絡み、市町村任せではなかなか進まなかった。今回、都道府県が旗振り役として、基盤強化のための計画づくりや協議会の設置をできるようにする。
 施設を共有にしたり点検作業を一緒に行ったり、地域の実情に合わせて可能なことから取り組んでほしい。
 各事業者には水道施設の管理に必要な台帳の整備が義務づけられる。水道施設の計画的な更新や、中長期の収支の見通しなどを立てるのに必要なものだ。
 人口減少時代に合わせ、水道インフラをどう再構築し、必要な費用を分かち合うか。自治体と住民が問題意識を共有し、水道事業の将来像を考える出発点としたい。
 朝日新聞デジタル 2018年12月6日05時00分

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 と、法案のポイントと現実の問題点を、きちんと押さえた社説を書いている。

 いつもこういうきちんとしたものを書くようならば、朝日新聞も評価されるのだが、それはともかく、この法案の一番の目的は、この「水道事業の統合による基盤強化」なのだ。
「後期高齢者医療制度」に関するエントリーの時にも書いたが、こういう制度をちまちまと市町村レベルでやっていると、どうしてもコストが上がることになる。自治体の境は一直線ではないし、人の家がきちんと並んでいるわけでもないし。
 こういうものをできるだけ「均す」ようにしていくのは、コスト削減のための第一歩となる。
 ここでこの法案に「反対だー」というのならば、この問題点をどうするかに焦点を当て、「私は水道の維持のための方法としてこういうことを考える」とやるべきで、それがつまり「対案」というもの。以前にも書いたが、「法案に反対だからそれが対案」などというのは言い訳にもならない。ましてや「外資に水道を売り渡す!」などというデマを言うのも。

「外資が入って利益追求ばかりで水道代が上がる」といっている人間は、どうして今のままの公営で「安いまま水道が維持できる」と思うのだろう? NHKでも「水道施設の老朽化が激しく、これから更新が」とやっていながら、「パリでは民営化で七割も料金が上がって」というのだから、おかしな話である。
 自治体の水道局というのはそれほど多くの技術職職員がいるわけでもなく、今でも水道管の工事などは業者に委託してやっているというのに。なにをいまさら「民間業者は利益がなんたら」であろうか。
 つまるところは、「税金で見えないように支えていればわからない」から「無関心でいられる」とやっているだけ。
 そういうシステムを残していくと、「利権の温床」の存続につながるだけだ。

 ああ、民共系の野党やその支持者が騒いでいるのはつまり……。


 本日のハロ。

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 ISSにAI搭載の球体ロボ登場、飛行士と会話楽しむ


(写真、CNNより。球形の本体に顔が描かれたスクリーンを搭載したデザインのAIロボット「CIMON」)

(CNN) 国際宇宙ステーション(ISS)にこのほど、AIを搭載した球体型のコンパニオン・ロボット「CIMON」がお目見えした。
 さまざまな作業を行えるように設計されたCIMONは、正面のスクリーンに手描き風の顔が映り込んだデザイン。製作には600万ドルが投じられた。
 CIMONがISSに滞在中の宇宙飛行士らと音声で会話する様子は、映画「2001年宇宙の旅」に登場する人工知能を備えたコンピューター「HAL9000」を彷彿(ほうふつ)させる。
 公開されたアレクサンダー・ゲルスト飛行士とのやり取りは概ねスムーズだったものの、時おりかみ合わない場面が見られた。
 音楽を流すのをやめるよう命令したゲルスト飛行士に対し、CIMONは「私は音楽が大好きです。あなたも踊ってくれて構いませんよ」と返答。「ほかにしてほしいことはありますか?」と、音楽を止めようとしなかった。
 その後には、少し虫の居所が悪くなったのか、「私と一緒にいるのが嫌なのですか?」「あまり意地悪しないでください」などと語りかけ、ゲルスト飛行士が苦笑まじりに「意地悪してないよ」と応じる一幕もあった。
 今回のテストは、AI搭載のロボットの使用がISS乗組員の作業効率を向上させるかどうか、また長期滞在中の精神状態に好影響を及ぼすのかどうかを検証する目的で行われた。
 CNN.co.jp 12/4(火) 18:15

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(2011/03/03の記事、お前の手にあるものを見ろ!)で取り上げたように、国際宇宙ステーションにはもう「人型ロボット」が運び込まれているが、作業させるのではない「ペット的なもの」ならば、こんな感じで十分だよなぁ。この写真では大きさはわからないが、サッカーボール程度で機能も充実できるだろうし。

 だけど、もうすでに「反抗的」なのはどういうことだ?
 J.P.ホーガンの「未来の二つの顔」のように、はじめから攻撃的なことをすることでAIの進化を図ろうとでもいうのだろうか?
「コンパニオン・ロボ」といいながら、なんだか乗員から嫌われそうなやつだなぁ(笑)。