川崎市の水道料金は大都市の中で非常に安価に抑えられています。
なぜそれでも水道事業の経営を維持できているかといえば、主に2つの要因があります。
【1】新築時など新しく水道をひく時の加入金収入【2】工業用水道事業で使用される水の一部を供給する際の料金収入
これらの収入によって市民が支払う料金を安価に抑えられています。
工業用水の状況変化
ところが今、工業用水道事業が大きな岐路に立っています。
それは工業用水の需要減少と管路の老朽化です。
これに伴って、工業用水の料金制度見直しを検討しているのですが、あわせて、工業用水道事業の費用の大部分を占める【2】の単価設定見直しも検討が行われています。
【2】の料金は、水道事業から見れば収入ですが、工業用水道事業から見れば費用です。
どちらも市が経営しているので、高くても安くても市民には関係ないのではないかとも思えますが、そうではありません。
単価を高く設定した場合、水道事業は増収となり市民の水道料金を安価に抑えられる一方で、
工業用水道事業としては費用増となるため、その増加分を賄うために企業が支払う工業用水の料金を上げなくてはなりません。
そして現在検討が行われているのは、その逆で、単価を安く設定して企業の負担を抑えられないかということです。
この場合、市民が支払う水道料金の値上げに繋がる可能性が出てきます。
制度見直しの見える化を
6月初旬に議会へ提出された資料には、「工業用水道事業の採算を考えると、【2】の単価設定を現在の3分の1にすることが最も有利である」との記載がある一方で、
水道事業へどの程度の影響が予想されるのか、市民の水道料金への影響の有無などについては記載がありませんでした。
単価についてはある種の「言い値」で決められることが慣例となっているため、その妥当性について十分な検証と市民への説明が必要です。
川崎市が他都市に誇れる安価な水道料金を死守できるよう、引き続き調査と提案を行ってまいります。