意味がわかると怖い話2676 「置き傘」 | こちら、きっどさん行政書士事務所です!

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最近の天気予報はあてにならない。 

今日も一日中晴れだと言ってたくせに、夕方にはこの大降りである。 

駅から家まで徒歩10分ほどの距離なので、傘も差さずに帰ればびしょ濡れだろう。 

暗い空を見上げて溜め息をつき、ふと駅の傘立てを見た。 

そこには、一本の青い水玉模様の傘が立っていた。 

地獄に仏とはこの事か。 

俺は迷いなくその傘を差して、家へと歩きだした。 

あんな防犯性の無い傘立てに置いてるくらいだ、取られるのも覚悟の上だろうさ。 

そんなことを思いながら歩いていると、コンビニの前で声を掛けられた。 

「すいません、その傘に入れてもらっていいでしょうか?」 

見ると、一人の女性がコンビニ前で雨宿りしていた。 

長い黒髪でやや俯いているため、目元はよく見えない。 

割と美人だったので、俺は快く受け入れた。 

聞くと、彼女はどうやら俺の家の近くに住んでいるらしい。 

俺の家の前に着くと、彼女はお辞儀をして雨の中へと走っていった。 

玄関口で軽く傘の雨滴を払い、そのうち駅に返しに行こうと傘立てに差した。 



二日後、またしても予報士は外してくれた。 

曇りはするが雨は降らない、なんて抜かして、思いっきりどしゃ降りじゃないか。 

徒歩10分だがタクシーでも呼ぼうか、などと思いながら何気なく傘立てを見た。 

そこには、また水玉模様の傘が一本取り残されていた。 

この間借りた傘はまだ返しに来てない。 

盗られた人が、また懲りずに置いていったのだろう。 

悪いが今日も使わせてもらおうかな。 

白地に青の傘を差し、駅を出る。 

するとまた、コンビニの前で声を掛けられた。 

一昨日と同じ女性だ。 

この雨だと二人入ると半身が濡れそうだったが、置いていくのも酷なので入れてあげた。 

前と同じく、女性は俺の家の前で別れ、走り去っていった。 

彼女もあの予報士による犠牲者なんだろうな。 

ウチの傘立てに同じ傘が並んだ。 


翌日、今日は朝から雨だったが、帰りに電車の中に傘を忘れてきてしまった。 

駅員さんに聞くと、俺の乗った電車がこの駅に戻ってくるのは1時間半後らしい。 

駅構内でそんなに時間を潰すのも馬鹿らしいし、濡れて帰るか。 

そう思いながら、ちらと傘立てを見てみる。 

またあの傘だ。 

二度あることは三度ある、ってか。 

この傘の持ち主はボランティアでこんなことやってんのかな。 

まぁいつもの様に借りさせてもらいましょう。 

シトシトと雨を降らす曇天に傘を向けて差し、歩きだす。 

するとまたまたコンビニ前で呼び止められた。 

どういう偶然なのか、またあの女性だ。 

もはや顔見知りみたいなものだし、いつも通り傘に入れてあげた。 

ウチの傘立てに、水玉模様の傘が三本になった。 



翌日の朝、今日も一日中雨だ。 

駅に俺の傘が届けられている、という連絡が昨晩来ている。 

どうせだし、この三本の傘を駅の傘立てに返しておこう。 

しかしこの傘、駅前以外でも最近どこかで見たんだよなぁ…… 



その日の帰り、俺は傘を差して帰ろうとした時、もはや習慣のように傘立てを見ていた。 

朝三本置いたはずの傘が、一本だけになっている。 

どういうことだ? やはり一本は元々置き傘なのか? 

なんとなく傘立てに近付き、その傘の柄を握った時、俺は思い出した。 

そうだ……この傘、たしかコンビニの傘立てにも…… 

俺は急に寒気を感じ、自分の傘を差して走りだした。 

そしてコンビニ前を横切る時、俺は見てしまった。 





青い水玉模様の傘を差す、あの女性の不気味な笑顔を……

 

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