東の大国、二万四千、大和の国はほぼ二万、
    いやそれ以上か。 この二大国に挟まれんとしている
   駿河の国。その命運をかけた使者。
    道参の右腕の光秀が、その使者を買って出たのである。
 「 おおよ! 光秀、おぬし行ってくれるか?」
 「 は、この使者、殿のお気持ちを一番良く理解している
   わたくし以外に、居ないと思われますれば。」
 「 かたじけない、、、光秀、これはの、いよいよ駿河の国の
   生き残りをかけた使者、何としても明日を開きたいのじゃ。
   頼んだぞ!」
 「 は! さすれば、一刻を争うことにござりますれば、
   私はこれにて!」
 「ん!」
   吉勝は、下がってゆく光秀をじっと見つめていた。
  建国時からの大重臣衆であり、彼の右腕でもあった
  明智日向の上、光秀。
   ”光秀なれば大丈夫であろう、頼んだぞ!”
  吉勝は心の中でそう叫んでいた。

   光秀は、渡り廊下で、竹千代に東大国への婚礼の
  延期の使者のことで耳打ちした後、馬を走れせて、
  居城である安土城へと向かっていった。

   安土城、駿河の国の西に位置し、西側の大備(おおぞなえ)
  を一手に担う城である。 白縫城が質素なだけに、この安土城が
  駿河の国では、一番城らしい城でもあった。
   光秀が安土城に着いたのは、もう夕刻近くであった。

 つづく。次回をお楽しみに! ナウシカ