重臣衆が退散して、誰もいなくなった大広間で、
   立ったまま遠くを見ながら腕組みをし、やおら道参が大和の国
    のことについて、光秀に尋ねた。
 「 わたくしも前々から、気になってはおりましたが、、、
   如何せん、外から見ていたのではさっぱり分かりませぬ。」
 「 ん!」
 「 中心に位置する熊野の当主、熊野謙次殿を私も
   多少なりと存じておりますが、、熊野殿とてもう
   四十半ばに近い年頃のはず、今になって急激に領土を
   広げるなど、考えにくいことにございます。」
 「 されば、なおの事! ここ2~3年の間にのう、ここまで
   大きゅうなったには、、、何かわけがあるはずじゃ、
    わしもそれを知りたい。」
 
 東の大国との縁談話が、消えかけた、いや反故となって
しまった今、駿河の国に迫りつつあるもう一つに大国、大和の国
のことが頭をよぎるのは、当然と言ってよいことであった。
 「 内情を探らねば、なりませぬな。」
   光秀の眼が、きらりと光った。
 「 それも、気の利いた者にのう、、、
    できることであれば、、、、、。」
   遠くを見つめる道参の眼も、光を帯びて来た。
  その目の光の何たるかを、早くも感じ始めた光秀。
 「 大殿! この使者、東の大国との同盟が成ませなんだ今、
  以前にも増して駿河の国の全権を担う、大事な使者
  でござります。」
 「 ん!!」
 「 大殿、この使者、不肖ながらこの私めに
    お任せくださいませぬか?」

 つづく。さてどういう展開となります事やら、次回をお楽しみに!
                    ナウシカ