「 何と仰々しい!」
     道参吉勝が、眉間にしわを寄せた。
  「 殿、 あるいは、これは、、、。」
  「 そんな事はあるまい。 時綱はともかく、
    執政を握るは司の上国光じゃ! 自分の顔に
    泥を塗るような事は、まずあるまい。」
  「 しかし、 これはまるで戦、
    我が国の重臣どもが黙っておらぬと、、、。」
  「 光秀、 重臣たちにの、
    くれぐれも騒ぐなと伝えよ! 今が肝心な時ぞ!」
  「 は! かしこまってございます。」
   
    光秀は吉勝の意を皆に伝えるため、足早に下がって行った。
   そして光秀を見送りつつ、独りになった道参は、腕を組み鋭い
   眼差しで東の空を見つめていた。
 「 勘助の言う通りであったわ、小心者めが!」

    翌日、時は卯の刻
   続々と到着する兵二千を国境に残し、物々しい程に武装した
  兵二千に守られ、時綱が白縫城に付いたのは巳の刻(午前十時)
  近くであった。
   その様子を見つめる城に集った重臣たち。 
  口にこそ出さなかったが、皆への字に口を結び厳しい顔つきで
  この様子を見ていた。
 「 皆の者落ち着け! まずは時綱殿を待とうぞ!」
  そう言いつつ、まづは道参が皆と居る大広間に、どっかと腰を下ろした。
   それを見て、重臣たちも渋々座り始め、市姫も道参の
  後ろに控えた。

   つづく。 いよいよ時綱登場! 次回をお楽しみに! ナウシカ