昔ばなしのお話をいたしましょう。
果たして、昔むかし…なのか。
それとも、今のいま…なのか。



あるところに仙人のような者がおりま
した。何千年?何百年?生きているの
か当人さえも分からない程でした。
仙人のような…というのは、自らそう思い
込んでいるからです。仙人になったつもり
とでも言いましょうか。まぁ、そのままで
この話を続けていきましょう

彼は山奥のかすみがかったひと気のない
ところで、とても長い間たったひとりで
生きてきました。誰とも話すことなく、
何者にも煩わされることもなく。
あるとき、そこに通りがかりの旅人が 
やってきました。その旅人は心を病んで
いたようで、仙人は快く話を聞き説いて
あげました。旅人は話し終わると、喜び
いさみ帰っていきました。
喜んだのはその旅人だけではありません
でした。その仙人も旅人から喜びを与え
られたのです。そのとき彼は久しぶりに
幸せな気持ちでいっぱいでした。

そして、山奥のたったひとりの彼の生活
に変化が起き始めました。先刻の旅人か
らの評判が広がり、その仙人のもとへ、
ちらほらと旅人がやってくるようになり
ました。やってきた者達はみな仙人と話
をし励まされて帰っていく、とても良い
関係を築いていました。
しかし、それでは終わりませんでした。
仙人にある欲が芽生え始めたのです。

もっと多くの人に広めたい…
もっと多くの人に慕われたい…

幾日か経った頃、仙人のまわりを囲んで
いた白いもやに、真っ黒なもやが混ざり
始めました。その中からあるものが姿を
現し、仙人に問うたのです。

お前は私に従うか
従うのならば願いを叶えてやろう

おかしいですね。
神様はそんなことは仰いません。
従わせるとは、なにものでしょう…

その仙人はその言葉を信じました。自分
の思いを叶えたかったからです。そして、
その指示通りに動き始めました。
すると、物事がとても早く進むのです。

これは本物だ
私は選ばれたのだ

と信じて疑うことはありません。

本物に選ばれた?そのようなことを考えることが、
おかしいですよ。一体どこで間違ってしまっ
のでしょうか。

それからというもの、その仙人のもと
には日々迷える旅人がやってきました。
仙人は以前は明るい道へと導いていまし
たが、それではみながすぐ去ってしまい
ます。
黒いもやの中の存在の言葉に従い始めて
からというもの、もやのかかった同じと
ころばかりを案内するようになりました。
まるで、

ここにとどまれ、ここから去るな。

と示しているかのようでした。
このまま山奥のもやの中で、ずっとさ迷
い続けていたら、旅人達は一向に明るい
道へは辿り着けません。それでも旅人達
は仙人を信じ続けていましたが、ある旅
人がふと気づきました。

この方は私を頂へ連れて行く(導く)こと
はできないのではないか。
                      
そう気づけた者達は、仙人から離れてい
きました。すると、なんということで
しょう。もやが瞬時に晴れて、今まで
同じところをずっとさ迷っていたのだ
ということがはっきりと分かったのです。

私は今まで何をやっていたのか…

旅人はひとり、またひとりとそこから
去っていきました。仙人は繋ぎ止める
ためにいろいろ手を施しました。
しかし、目覚めたものには効きません。
仙人はこれからどうするのでしょうか。







この先はこれからの物語です。
どうなっていくのでしょう。私は解決法
を知っていますが、ただ行く末を見守り
ます。
誰しも自由なのです。繋ぎ止めるのは
おかしいと思いますよ。
お守りをそのように使ってはバチが当た
ります。贈り物とは真心を込めるもの
です。