「未来の年表」「未来の年表2」に続く、少子高齢化日本の未来を描く著者3作目。
 
 本の内容とまとめを概観します。北海道関連の記述が少ないので原資料から捕捉してみます。
 
 北海道の少子高齢化は日本の平均レベルから上振れる、非常に厳しいものになるからです。(拙ブログ2018.10.03「北海道の少子高齢化、過疎化は日本レベルとは違う」)
 
 いつも引き合いに出しますが日本全体の労働力人口が減り始めたのが平成9年。日本全体の労働力人口の減り始めである平成12年より前のことでした。
 
 総人口が減り始めたのも平成9年。日本全体として減少に転じた平成20年より10年以上前でした。
 
 減少率だと秋田県などが上位にきます。北海道の人口の減り方の特徴は、北海道は人口が多い(令和元年5月現在528万人)割に減少ペースがはやいことが上げられます。平成29年1年間で31,268人の人口減となっていて減少人数の絶対数でみると日本一となっています。毎年に名寄市(2015年人口29,048人)や伊達市(同34,995人)の人口が消えている計算になるのです。

  別の統計からですが、2040年には、北海道の半数以上の自治体で総人口が5千人未満になります。地域ブロック別にみると、2040年に総人口が5 千人未満の自治体が最も多くなるのは北海道(109)、中部(58)、九州・沖縄(53)、東北(40)の順であり、これら4 ブロックで総人口が5 千人未満の自治体の70.2%を占めます。ブロック別…とはいえ、北海道ブロックはそのまま北海道の数字になりますので都道府県別にみると北海道がダントツの多さで人口5千人未満の自治体を抱えることになります。上記の数値を計算し直すと、日本の人口5千人未満の自治体のうち29.5%が北海道に集中することになるのです。しかもそれらが道内に散在することなります。
 前二作と比べこの本では、人口動態を都道府県、県庁所在地、政令指定都市、さらにその中の区ごとにより細かく予想します。
 その中で語られる北海道、札幌市の将来とは。
➀札幌は札幌以外の道内の市町村から若者人口を吸い上げるがその若者は結局さらに東京に吸われる、という構図がある。道内各地から進学就職で札幌に人が集まるが、もともと札幌で育った人たちの多くは進学就職で東京に流出する。このあと札幌市の人口が200万人の大台に乗るかどうか微妙な状況。ピークを打ったあとの市の総人口はあまり減らないが若年層が減り高齢者が増える。つまり2030年頃に札幌にいる人がそのまま老化していくイメージ。また病院や介護施設を求めて高齢者が流入するケースも多い。札幌在住の子供たちが地方から親を呼び寄せるパターンだ。
②2035年、札幌市の高齢者人口(65歳以上)の割合は34.6%に達し、政令指定都市の中で神戸に次いで2番目となる。その時の札幌市の65歳以上人口は666,522人と予想される。札幌という町の中に静岡市並みの人口の老齢者がいるイメージとなる。札幌の場合、この66万人の高齢者のうち406,160人が75歳以上になり、75歳以上人口の比率が多いという特徴が出る。この年までに要介護となった人々に十分な受け入れ施設を準備できるか。
③区ごとにみると、2035年、札幌市南区の高齢化率は45.9%。厚別区は43.4%、清田区は41.4%となる。これらの区では率だけ見ると限界集落と呼ばれてもおかしくない状態になる。札幌は2035年までに「北のシルバータウン」となる。
④80歳以上人口の伸び率(2015年→2045年)は札幌市清田区で254%に達する。
⑤2045年、歌志内市の人口は813人となる。(山崎注平成31年住民基本台帳上の人口では神恵内村の861人が北海道最小だがこれを下回る水準となる)
⑥出生数が回復するかどうかはその市町村の25-39歳の女性人口に左右される。2015年比2035年で減り幅が大きいのは札幌市清田区△44.7%、札幌市南区△44.4%、札幌市厚別区△41.3%。これらのエリアでは少子化が加速する。札幌市全体ではこの数字は△24.2%と見込まれ都心部ではあまり減らないが周辺に位置する区では激減していく。
⑦道内に目を向けると2015年比2045年でこの年代の女性の数の減り幅が大きいのは、歌志内市△93.0%、沼田町△86.4%、剣淵町△85.2%など。ここまで減ると地方公共団体としての未来を描くのは非常に厳しくなる。
以上、この本から北海道関連の要点をまとめました。
以下、元の資料となった、「将来人口推計」の数字に直接あたってみます。この本の中ではあまり北海道の状況に触れられていないからです。
➀2045年、人口1万人を割る道内自治体は全179市町村のうち142。人口1万人を割ると金融機関の支店がなくなる。(拙ブログ2016.5.23「商圏を維持するための人口は」)
②そのうち120自治体は5000人を割る。学習塾、パチンコ店、病院の維持が困難に。
③さらにそのうち88自治体は3000人を割る。コンビニ、歯科診療所などが維持の限界に。
④人口3000人を割る自治体で2045年の25-39歳女性人口を見るとほとんどが二ケタとなり人口の自然増は難しい状況となる。そこまで行ってしまうと出生数は加速度的に減り、自治体の維持が難しくなる。(そもそも産婦人科の病院をもとめてどこまで行けば良いのか…)
⑤最大の問題はこれら142の自治体が北海道全体に点在すること。ある程度密集していれば対策も考えられるがそうでなければ自治体を廃することも検討しなければならない。実際には自治体を廃止する、ということについて規定整備はされていない。
 今の今でもJR北海道をどう維持するかはっきりしたプランが描けていない。例えば特例法を作るなどして今後5年、10年のプランは描いたとしてもこの2045年の人口推計に対応するような将来像は描けるのか。
 学校や病院、介護施設など基本的なサービスは維持できるのか。そもそも役場は維持できるのか。(首長、議会議員、職員ともなり手が不足する)
 道路、橋など基本的な公共インフラの修繕、維持はできるのか。
 過去何度か書いていますが(私の周囲にもそれを楽しみにしている方々もいっぱいいるのはわかっていますが)そんな中で札幌五輪をやっている場合なのか。上記の通り、「衝撃に備えよ!」というレベルの少子高齢化がくるのに、五輪におカネを投下している場合なのだろうか。使うなら札幌を含め自治体の維持にカネを使うべきなのではないか。
 この現実から目を背けないで将来を考えなければならないのです。
 

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