なんと美しい屈斜路湖。

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昨日の阿波踊りで「実行委は、収支改善を理由に総勢1800人の踊り手が1か所の有料演舞場で踊る総踊りを中止し、計4か所の有料演舞場に踊り手を振り分けることを決めたが、主要な踊り手グループでつくる「阿波おどり振興協会」(山田実理事長)が反発。協会は「楽しみにしているファンは多く、観客の要望に応えたい」として、13日夜、所属の全14グループ約1400人が、有料演舞場近くの歩行者天国の路上で約30分間、総踊りを行った。」(読売オンラインより)
 
 「会場外で踊らないで」「警備も何もしていない、事故が起きたらどうする」という徳島市職員と「それでも踊る」という山田理事長とのやりとり、ニュースでも流れた。ぱっと見、「規制しようとする権力側」と「それに抵抗する市民」という構図になるが背景はそれほど単純ではない。

 今年3月30日、昨年まで阿波踊りを主催していた公益社団法人徳島市観光協会の財務体質を問題視した徳島市が破産を申し立てた。通常、破産は破産する法人や個人が自分で申し立てるのだがこの場合、債権者である徳島市が申し立てている。債権者申立による破産では予納金は割高になりかつ申立人である債権者の負担となる。また債務者本人は「やれる」と言っているのに外部から「破産しろ」というわけで手続きは長期化する傾向がある。

 徳島市は毎年の阿波踊りの赤字を補填し続けていた。赤字補填のための金融機関借入は直前に4億3000万円に達し、徳島市が保証をつけていた。徳島市は観光協会の再建は困難として金融機関から債権譲渡を受け、おそらく最大かつ唯一の債権者の立場に立った上で債権者申立による破産に進んだ。破産時の負債総額は3億8000万円。ここまでやるわけだからそれなりの決定を経ているわけで徳島市がこのあと譲歩したり、観光協会が再び阿波踊りの主催をすることはない。

 遠藤徳島市長は2016年3月に当選。2017年6月、市議会で観光協会の累積赤字が4億円超であることを明らかにした。2017年11月、弁護士や公認会計士で調査団を組織し観光協会の財務内容を精査、調査団は2018年2月、観光協会による阿波踊り運営継続は困難、という結論が出ていた。

 市の破産申し立てについて観光協会は不本意、として自分の主張をるる述べている。(日経ビジネス「敗軍の将兵を語る」2018.4.23)いわく、共催の徳島新聞が良いチケットを持っていき、売れ残ったものを前日に戻してくる、同じく徳島新聞が広告手数料を取るので協会の取り分が少なくなった、など。また、ずっと赤字だった収支も2017年には2443万円の黒字になった、と。

 負債総額3億8000万円を利益で弁済していったとして15.6年。一般企業ならこれくらいの感じでおカネを借りているところは確かにいっぱいある。

 おカネを補填していて実質債権者の立場にあった徳島市。公益社団法人の設立認可を出していた徳島県。「敗軍の将兵を語る」では「2016年度の立入検査では概ね適正」と判断されていた、と観光協会は憤るが、万が一「適正でない」と判断されればその時点で組織は解体されるわけでその一事をもって「手のひらを返した」とは言えない。おそらくガバナンスや経理の透明性などに多々問題があった中で観光協会はなんとか徳島市と徳島県に目こぼしされながらやってきたのでは、と推測する。

 もう一方の共催者・徳島新聞はネット版2018.4.12で「敗軍の将兵を語る」に対して詳細に反論している。

 さて、主催者団体を徳島市が解体し、今年の阿波踊りは徳島市と徳島新聞が主催した。

 今回の総踊りをめぐるトラブルは、総踊りを行う会場を分散させ、まんべんなくチケットを売りたい、という市と例年通りみんなで踊りたい、という踊り子側が対立したもの。市はもちろん収入増加を念頭においている。手続きを踏み、最後破産制度まで使って自らがいままでの負債をかぶる以上、赤字は出せない、という強い意識があったのだろう。

 行政がいろいろな行事をやる中でまず考えるのは「事故のないように」。今回総踊りをした場所は警備体制も観客と踊り子との仕切りもない。市の管理下にない場所で勝手に踊り、もし事故があったら?市として「やめて」というのは当たり前。札幌のYOSAKOIそーらんのチームが大会期間中に勝手に場所を選び演舞を始めたら?そりゃ、「やめて」と言われるだろう。歩行者天国の場所を選んでやったようだが本来の使用目的外だから本当なら警察出動!となってもおかしくない。

 踊りを末永く継続し維持可能なイベントに、というところは徳島市も踊り子側も一致しているはず。直前に観光協会の破産というごたごたがあった今年だけの特殊事情(打合せ、根回しの不足)と思いたい。

 ひるがえればわが札幌のYOSAKOIそーらんも財政的に危ない時期があった、と(財界さっぽろ2018年7月号)。阿波踊りの一件は決して対岸の火事ではない。阿波踊りに今年起きたことは将来YOSAKOIソーランに起きないとは限らない。

 最後に阿波踊りVSYOSAKOIソーラン、対比してみると…

 人口  徳島市26万人  札幌市196万人
参加チーム  
阿波踊り 有力33連ふくめ約1000連 YOSAKOIソーラン 274チーム

観客   阿波踊り120万人 YOSAKOIソーラン 188万人

 あと、個人の感想だが、YOSAKOIソーランは参加規程が非常に細かく決められている。演舞時間、チームによる画像撮影と利用についての制限、などA4 15枚におよぶ。YOSAKOIは「鳴子を使う」「ソーラン節を一節でも使う」を満たせばあとは自由!というイメージがあるが実際はがんじがらめ、といっても良い。だからこそ、道外チームも海外チームも同じルールの中で演舞できる。実際に有力チームであっても勝ち続けることは困難で道外勢が優勝をさらうこともある。また規制一方ではなく、「出場を検討しているチームにはこのような支援があります」という参加に道を開く努力もしている。

 一方阿波踊りは伝統があることを背景に細かい規定がなく、どうしても有力連の発言力が強くなりがちなんだろう、と思う。