こちらは美しいのですが…北海道、あちこち走っています。あらためて北海道は広い。

 

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 日本ボクシング連盟の運営に疑義が提起されています。

 

 日大アメフト部の危険タックル問題は第三者委員会の報告がまとめられました。聞き取りに対し部員の全員が「自由に発言できる雰囲気がない」と回答。報告では内田監督らの指示によってタックルが行われた、と認定しました。その上で責任者である日大理事長の責任を問うています。

 

 この記事の前に、日大アメフト部の問題について書いた記事で、

 

 「理事長はこれを危機だと認識していない」

 「したがってこの件についての危機管理は日大的には存在しない」

 

 と書きました。(日大には危機管理学部がある、というオチつき)

 

 女子レスリングの栄監督のパワハラ問題は組織的なものではなく、栄監督個人の問題だったので構図はシンプル。これも栄監督がパワハラを理解しておらず、したがって自分がパワハラをしたという認識がないのだと思います。よく理解していないから頭の下げ方もおかしいしその後の行動もちぐはぐ。挙句に大学からコーチを解任されています。(「あれでよく世間を渡ってこれたものだ」という学長のコメントつき)

 

 日本相撲協会の場合は旧弊に縛られた協会VS改革者貴乃花親方、という対決の構図でわれわれは見てしまったけど結局、貴乃花親方はその器ではなく、自壊した印象。

 

 なぜスポーツ界にこのような不祥事が続発するのでしょうか。

 

  1.  世間が狭い …レスリングなどマイナーなスポーツはそもそも競技人口が少ない。いきおい、競技できるチームも限られる。どうしても慣習にしばられ「前からこうだから」という雰囲気が醸成されやすい。
  2.  選手は入れ替わるがコーチや役員はベテラン …必然的に選手より大幅に年上。「経験を積んだオレのいうことが絶対」になりがち。
  3.  中途半端な実績 …日大アメフト部も今回のボクシング連盟も競技で実績を残している。ますます、「いややり方を変えましょう」と言いずらい。
  4.  カネがからむ …連盟は運営費があります。日大アメフト部もそれなりの予算を持っていたはずです。そしてスポーツの日本連盟、協会は一般財団法人や公益財団法人になっているケースがほとんどです。日大アメフト部は大学から独立した組織、ということなので任意団体、という位置づけでしょうか。これが株式会社なら決算内容は税務署のチェックを受け、会社のカネを勝手に引き出して使った、などの場合、実際に使った人間に課税がされ税務的な処分がされます。もっと悪質なら背任や横領、ということで地検が動く事案になります。これら特殊法人はどうしても目が届きにくくなります。
  5.  もっと、もっと …カネを自由にできる旨味を知ってしまうと当然それを放したくなくなります。逆に「グッズ制作会社をつくろう」「競技に使用する道具の検定制度を作り検定料をとろう」など「もっと」「もっと」になっていきます。
  6.  イエスマンの登用 …したがってその競技の未来を考えた提言をしたり、「連盟の無駄を削りましょう」などと提案する人間は「不要」。逆に組織のトップをよく守ってくれる部下が登用されることに。
  7.  ガバナンスの欠如 …一般財団法人や公益財団法人には出資という概念がありません。理事長の暴走をけん制するのは理事会であり、理事会が腐るのを防ぐのは評議員会ですが株式会社のような明確なガバナンスのルールがありません。つまり株式会社において、取締役会で社長が解任されたるなど暴走したらしっぺ返し、という内部で自浄作用が働く仕組み弱いのです。
  8.  コンプライアンス …競技団体の長や幹部はその競技の経験者がなることが多い。その競技のことは知っているかもしれないが社会常識を身に着けているかどうかというとそうではない。カネのゆるい使い方をしても「何か悪いんでしょうか」「自分のために使ったんじゃないし」という反応になりがち。
 
 スポーツ中継ではスポーツマンシップにのっとった、フェアプレイをわれわれは目にします。ついつい、競技団体もさぞやフェアに…という思い込みが生じますが実際はそうではありません。上記でわかるようにスポーツは腐る、のです。
 
 今回の日本ボクシング連盟のケースでも強化費を本来支給された選手から採り上げ、他の選手に分配していた、という事実が明らかになりました。山根会長の弁明は、強化に使っており、流用していない、問題はない、です。
 
 2013年、公益財団法人全日本柔道連盟で同じような流用疑惑が持ち上がり、大問題に発展しました。
 
 独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)から全柔連の指導者に支給されていた120万円の助成金のうち、40万円を全柔連の強化委員会の指定した口座に振り込ませ、強化留保金として飲食費などに使われていた、というものです。組織ぐるみで裏金を作っていたわけです。裏金である以上、きちんとした帳簿もなく、いついくら使われたかは不明。
 
 徴収した金額は6000万円を超えていました。全柔連は事態を甘く見、留保金口座の残金2000万円余りをまず返金し、残りは全柔連の預金から返還しようとしました。
 
 それに対し、監督庁である内閣府は「公正な組織運用を行い非営利組織である、ということで公益法人制度を作っている。法人税法上も優遇しており、その結果として留保された正味財産を個人が使ったカネの補填にあてるなどとんでない」と態度を硬化させます。
 
 当時の上村全柔連会長の弁明、発言は、
 
 「私は知らなかった」
 「以前から企業からの協賛金を集めてプールし、懇親会費などに充てる習慣があった」(何か悪いんですか?)
 「私的流用はない」(再び、何か問題でも?)
 
 そして第三者委員会が設置され、強化費を振り込め、という全柔連からの指示があること、振込先の口座の通帳を全柔連が保管していたことから組織的な対応で極めて不適切な取り扱いであった、という結論が出されます。国は全柔連に対する補助金交付を凍結、全柔連は窮地に立たされます。
 
 第三者委員会の報告の中で、全柔連の理事会が機能しておらず、一部議案を理事長先決で実行していたこと、同時期に提出された内閣府に対する暴力問題についての報告書の内容がずさんであったこと(被害者は調査の結果0~2名、と)、などガバナンス問題に飛び火していきます。公益法人として組織が機能していないことがわかれば公益法人の認定取り消し処分が待っています。柔道というスポーツが日本で存続できるかどうかの瀬戸際に追い詰められたことになります。

 

 しかし、全柔連側の対応は、

 

 「上村会長は辞任の準備はあるが組織改革に意欲も持っている」

 「第三者委員会報告に対し全柔連の言い分をまとめた意見書の提出」(第三者委員会側は「理由なく報告を否定するもの」と一蹴)

 「上村会長を含めた幹部から上申書を提出、ガバナンス問題はない」 

 

 この混乱を見て、現場のコーチらから、今の全柔連では無理、価値判断ができていない、との批判も出始めます。

 

 内閣府は最終的に上村会長を呼び出し、

 

一、暴力などの不当行為に依存せずに選手を適正に育成する「技術的能力」の回復と確立
一、必要な費用を適切に計上し、助成金などを受ける場合はコンプライアンス(法令順守)を徹底する「経理的基礎」の回復と確立
一、問題のあった助成金6055万円を速やかに返還し、全柔連に生じた損害について責任者に賠償請求を検討する
一、8月末までに一連の不祥事について責任の所在を明らかにし、適切な措置を講じて体制を再構築する

  

 と、実質的な上村会長の辞任要求を含めた厳しい条件をつきつけます。

 

 全柔連問題が持ち上がったあと、各競技団体に強化費の流用がないかを確認させたところ、日本フェンシング協会、日本カヌー協会などでも同様の問題があったことが解っています。

 

 日本ボクシング連盟の山根会長が就任したのは2015年。この騒動を横目で見ていたはずなのですが…

 

 おそらく、「全柔連の時と違い、遊興費には充てず、他の選手の強化に使った!」と胸を張ると思います。強化費は「その」選手の強化に使われるべきもの。他の選手に流用されたのでは支出に当たって審議をする必要もありません。

 

 山根会長は「生中継なら意見を述べても良い」と言っているようですがおそらく墓穴を掘ることになると思います。日大アメフト部の内田監督の記者会見の時と同様、「あれならやらない方が」と言われるのではないでしょうか。