本当に日が長くなってきました。特に夜明けが早くなってきたのはウレシイですね。朝、身づくろいをしているときに真っ暗なのと日の光があるのとでは全然気持ちが違います。人間はもともと小動物で夜行性だったはずですがいつから日の光を好むようになったんでしょう??

 さて、最近読んだ2冊から中小企業経営についての雑感です。

 まず、最近売れているこの本から。本の主旨とずれている抜粋のしかたかもしれませんが、

 「もう日本の手本はない。日本自身が世界の手本になっていくのだ」という部分が印象に残りました。日本の外にモデルを見出すのではなく、日本の風土、日本人の気質にあった経営や経済成長を「自信を持って」目指すべき、と私なりに解釈しました。

2022―これから10年、活躍できる人の条件 (PHPビジネス新書)
2022―これから10年、活躍できる人の条件 (PHPビジネス新書)

 次にこの本です。

 この本は日本の金融機関を概観する本ですので以下の抜粋もこの本の主旨からははずれます。

 「日本の金融機関が手本としてきたモデル、例えばマーチャントバンクはその有効性が怪しくなってきた」とします。

 確かに振り返ってみればリーマンショックやユーロ危機などを見ると一時は高収益をあげるもののその後は不良債権の山…後始末は国費投入というモラル的に不健全極まりないものになっています。

 最近の日経ビジネスに、「欧米の銀行から周回遅れだったはずの邦銀だが、欧米各行がどんどん脱落していったために結局先頭を走る形になっている」という分析記事が載ったこともあります。

 メガバンクはメガバンクの、地方金融機関は地方金融機関の、新しい経営モデルを模索しなければなりません。

大解剖 日本の銀行―メガバンクから地銀・信金・信組まで (平凡社新書)
大解剖 日本の銀行―メガバンクから地銀・信金・信組まで (平凡社新書) 

 ここまでが前フリになります。

 では日本の中小企業はどうすればいいのでしょう。

 実はかなり前から日本の中小企業の経営のお手本は「なくなっている」のだと思います。

 高度成長期からバブル前後まで、大企業を先頭にしたピラミッド型の元請=下請=孫請け…という共同体がありました。その中にいれば苦しいながらも売上を作れた時代もありましたが、デフレ不況が続き、大手が倒産したり事業譲渡をしたりする時代になりました。「大手の下にいれば安泰」という時代はとうに終わっています。

 この10年ほど、「○○経営のすすめ」的な本が大量に出版されました。それぞれ的を得た部分があります。しかし、「○○経営2」が出るものはあまりなく、時代の方がどんどん進んでいってしまうという実態を伺わせます。

 最初にご紹介した本の著者である神田昌典氏にして一時会員2000社を抱えるコンサルタントでしたが、

 「これは違う!」ということで会を解散したエピソードが同書に書かれています。

 読み手である経営者にとっては、「こうしろ!」と力強く言い切って欲しい心理が働きます。その辺がこの手の本が売れる背景なのだと思います。

 中小企業にとってまだいいのは、「同じ地域」「同じ業種」など手本に出来る企業があることでしょうか。でもそのマイルストーン役の企業も5年先、10年先はどうなっているか…?

 じつは大企業や金融機関だけでなく、中小企業も、

 「自分自身が経営モデル」という時代に突入しているのだ、と改めて言葉で認識しました。