フレージャーvsフォアマン 金メダリスト対決! | BOXING MASTER

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輪島功一選手の試合に感動、16歳でプロボクサーを志し、ボクシング一筋43年。ボクシングマスター金元孝男が、最新情報から想い出の名勝負、名選手の軌跡、業界の歴史を伝える。

モハメッド・アリ(米)に初めて黒星を与え、世界ヘビー級王座を防衛したジョー・フレージャー(米)は、10ヶ月の時間を空けた1972年1月15日、テリー・ダニエルス(米)を相手にリングに上がり、楽々20万ドル(7200万円)を稼いだ。


長いブランクの影響と、アリに勝った気の緩みもあったであろうフレージャーのウェイトは、キャリア最重量の97.7キロ。アリ戦より4.5キロ増えていた。


「アリとの再戦はいつ?」


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ファンの関心をよそに二人はマイペース。世界1位アリは72年4月、来日してベトナム戦争帰りのマック・フォスター(米・30勝(30KO)1敗)と対戦し15回判定勝ち。期待外れな試合に終わったが、ファイトマネーは40万ドル(1億4千4百万円)。


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王者フレージャーは5月25日ネブラスカ州オマハで、世界ノーランクのロン・スタンダー(米)相手に防衛戦に臨む。4ヶ月前に負けたばかりのスタンダーは、世界戦初開催となる同地の人気選手だが、所詮ローカルファイター。


しかも、ボクシング・スタイルがフレージャーと同型とあってはなす術もない。酒場の殴り合いのような凄惨なファイトは、4回終了後ドクターの勧告を受け入れストップ。思うさま、殴られ続けたスタンダーの顔面は、ごらんのような有様。


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それでも地元の1万人のファンは、タフネスを発揮し、ダウンを拒絶し続けた挑戦者に満足した様子だった。フレージャーのウェイトは、98.7キロ。


打倒フレージャー。再起したアリは精力的にリングに上がる。72年度6試合目となる11月の対戦相手は、統一世界Lヘビー級王者ボブ・フォスター(米)。フレージャーの持つヘビー級王座への挑戦(70年11月)は、あえなく2回で屈していたが、ヘビー級進出の野望は捨てていない。


フォスターは54戦49勝(42KO)の強打と、アリより高い長身を活かした左ジャブで、アリの左マユを切り裂き、かく乱する。しかし、ウェイト差20キロの差はいかんともしがたく、7度のダウンを奪われたあげく、第8ラウンドでアリのKO勝ちとなった。


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アリ、フレージャー、二人のヘビー級ライバルと戦ったLヘビー級王者は、「アリはフレージャーほどパンチがないし、彼には勝てないだろう」。アリのギャラは25万ドル(9千万円)。フォスターは半分の12万5千ドル(4500万円)。


アリが高いギャラで稼ぎまくるのに対し、強すぎる王者フレージャーは試合に恵まれない。それでもフレージャーがあわてないのは、アリとの再戦が決まれば、前回以上の大金を稼げるからだ。「二人してその時をまっている」と、まことしやかなうわさも流れた。


1972年終わり。世界ヘビー級ランキング1位はWBA、C共にアリ。共に2位に付けていたのがジョージ・フォアマン(米)。フレージャーが金メダルを獲得した東京オリンピックの4年後、メキシコ五輪のヘビー級金メダリストである。プロ入り以来の戦績は37戦全勝(34KO)。


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フォアマンvsウェップナー。プロ4戦目。


悪行続きで高校を中退するはめになったフォアマンは、17歳でオレゴン州の少年保護施設へ送られた。ここで大工、電気工などの仕事の技術を覚えたフォアマンは、翌年カリフォルニア州プリーサントの施設へ移る。そして、ここでボクシングと出会う。


メキシコオリンピックは翌年に迫っていた。「ジョージ、ボクシングで金メダルを取らないか」。ニック・ブローダス氏の言葉に乗り気ではなかったフォアマンだが、練習用のテニスシューズをプレゼントされるとトレーニング場に顔を出すようになる。


フォアマンが米国代表となるまでのアマキャリアは16勝4敗。恐るべき才能というか、運の強さというのか、一発勝負のオリンピック予選を、ボクシング・キャリア僅か1年の元非行少年が勝ち抜いてしまった。


キャリア不足をささやかれたオリンピックでも、フォアマンはその強打で勝ち進み、見事金メダル獲得。リング上で米国国旗を振りかざす愛国者的行動は話題を呼んだ。「ベトナムでは、なぜ黒人ばかり死ぬんだ」と言っていたのはアリである。


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迷わずプロ入りしたフォアマンは、カリフォルニアのディック・サドラーの下で鍛えられる。ここにはサドラーの教え子、元世界ヘビー級王者ソニー・リストン(米)がいた。リストンとのスパーリングで、フォアマンは本当のボクシングを覚えていく。


ボクシングを始めて2年目の69年6月、フォアマンはプロデビューを果たす。以来、”フォアマン方式”と言われる「楽に勝てる相手」ばかりを選んだ慎重なマッチメイクで、金メダリストは育てられていく。グローブをはめてからまだ2年では、これも当然といえるのかもしれない。


KOの山を築きながら「ボクシングを覚えていった」フォアマンが、プロ入り3年を経過した時、サドラーマネはいよいよ世界挑戦”を視野に入れる。


カリブ海中央に位置するジャマイカ。当時全く聞いたこともない島国が、”国威発揚”を掲げ、世界ヘビー級タイトルマッチ誘致に動いた。首都キングストンの4万人収容の国立競技場が試合場だ。王者フレージャーのファイトマネーは85万ドル(約2億5千5百万円)。挑戦者フォアマンは37万5千ドル(約1億1千2百万円)で、タイトルマッチは契約。試合日は、1973年1月22日と決まった。


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フレージャーにとっては、アリ戦前の一稼ぎにしては大きすぎるファイトマネーが魅力だった。そして、「誰にも負けるわけがない。今まで誰にも負けなかったんだから」と言う自信がチャンピオンにはある。


29戦全勝(25KO)のチャンピオン。37戦全勝(34KO)の挑戦者。4万2千人の大観衆は、かたずをのんで世界ヘビー級タイトルマッチのゴングを待つ。


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