後楽園ホール 坂田VS吉田 | BOXING MASTER first 2006-2023

BOXING MASTER first 2006-2023

輪島功一選手の試合に感動、16歳でプロボクサーを志し、ボクシング一筋45年。ボクシングマスター金元孝男が、最新情報から想い出の名勝負、名選手の軌跡、業界の歴史を伝える。

「ジャッジ、カツラギ59-58、吉田」

思わず大笑い、後に怒り。「何だそれ~」「何考えてつけてんだよ」

残る二人は59-57、60-55坂田。6ラウンドテクニカル・デシジョンの結果です。試合後、大竹マネジャーが審判部の内田顧問にクレーム。「選手は命賭けてやってるんだから、しっかり見てくれないと困る」

結論としては、「ああいうのは使えないよ」「使わない方がいい」。これジャッジの事ですね。必ず振り分けの世界戦ルールと、振り分け基準が明確ではない日本の付け方の違いが、あいまいすぎるからだと思うのですが・・・。

4ラウンドの内1回は”10-10”と付けるのが、暗黙の日本式採点スタイルになっていると感じていますが、そうでない場合も多々あり、スコアが割れるケースが再三です。

全てのラウンド振り分けるのか、ポイントを得る基準を満たしたラウンドのみ、その選手にポイントを与えるのかを、明確に示した方がファンの為にも良いんではないでしょうか。

さて試合の方は、試合開始から吉田選手が足を使いながらサークリング、そしていきなり右アッパーを振るう。「パーラやろうとしてるのかなぁ」「いきなりあんなの当たる訳ないだろ」

1回目、坂田選手いい動きでした。「最近じゃぁ一番いいな坂田。今日は調子いいだろう」「中ではずして、たくさん打って来い。相手、大振りだから」

2回目終盤、バッティングで吉田選手が左目上をカット。「あんまり突っ込むと損しちゃうよ。頭気をつけて、ジャブ使って動け」前半では、負傷ドローになってしまいます。

3、4回目と同じような展開。坂田選手パンチは貰わないが、攻撃も単調、単発。確実に当ててはいますが、吉田選手は体の力も強く、くっつけば押してきます。

吉田選手の側にしてみれば、2回目にカットした傷で止められる事も考えられ、飛ばすだけ飛ばそうという感じではなかったでしょうか。ワイルドなパンチを振り回してきます。今日の吉田選手、やる気満々で闘志も十分。

5回目、吉田選手が右目の上もカット。疲れを見せ始めた吉田選手。「だいぶ疲れてきたな」「あれだけ大振りで、空振りしたら疲れるよ」

この回のインターバル、坂田選手が「やりにくいですね」と、漏らす。すると大竹マネジャー「何言ってんだ、いつまでもいい人やってんじゃあないよ」「相手に合わせてばっかりいるなよ」「くっついたら押しのけてでも打って来い」

これで気合が入った坂田選手、攻めの回転が速くなります。しかし、ここでドクターストップ。試合終了となってしまいました。ちょっと尻切れトンボみたいな結果になってしまいました。残念・・・。

セミに登場の松崎博保選手は、長岡知治(花形)選手と対戦。試合開始早々のジャブの突き合いで、長岡選手が勝る。「オイ大丈夫かよ」「ジャブ当たんないとまずいねぇ~」

しかし1回目終盤、左フックカウンターで見事にダウンを奪います。以後、ねっちりしつこく松崎選手らしい攻めで、長岡選手を圧倒。この日は、左フックが良く当たる。上下の打ち分けもうまくなってきました。

そして8回目、連打に継ぐ連打で追い掛け回し、最後は左フックカウンターがドンピシャり。これはグッド・タイミングでした。長岡選手、しばらく立ち上がれず担架で退場となりましが、長岡選手の健闘も光りました。

元OPBF・Lフライ級王者で世界タイトル挑戦経験もある山口真吾(渡嘉敷)選手が、9ヶ月ぶりの再起戦。対戦相手は、山口紳一(F・I)選手。前戦で初黒星を喫しましたがここまで8勝(2KO)1敗2分。

”トカちゃん”こと渡嘉敷勝男会長を練習生から手解きし、入門から僅か3年で世界王者にまで導いたのが、F・Iジムの福田洋二会長。この試合、師弟対決となりました。こういうのは異常に燃える渡嘉敷会長です。

が、1回目真吾選手がダウンする波乱の幕開け。「舐めてんのかなぁ~」

2回目以降、真吾選手がこの失点を取り返そうと追い掛け回します。「ラスト取れば負けはないだろう」と見ていましたが、最終8回に真吾選手が意地でダウンを奪い返し、猛攻する中で試合終了。

採点は真吾選手にダウン以外の失点はなく、文句なしの判定勝ち。

今西秀樹(ワタナベ)選手と対戦した中辻啓勝選手は、前半こそスピードと手数で上回ったものの、次第に今西選手のプレスに巻き込まれ、後半は全てのラウンドを失って判定負け。

最後までスピードと手数で対抗したかったところですが、キャリアの差でしょうか。今西選手の方がポイントの取り方知っていましたね。

佐藤洋太選手はF・Iジムの殿村雅史選手と対戦。お互い7勝2敗同士。4KOは佐藤選手、殿村選手は3KO。

この試合は6回戦。5ラウンドまでは間違いなく佐藤選手優勢。そしてラストラウンド開始。

開始早々から殿村選手が猛攻、ロープを背に耐える佐藤選手。逃げ回る足取りも怪しいくらい効いている。あと1発入ればストップされても仕方のない場面が続く中、試合終了。

判定は文句なく佐藤選手でしたが、コーナーでの様子がおかしい。コーナーポストにもたれている上体が、横倒しに・・・。そのまま担架で退場となりました。その後佐藤選手、幸い大事には至らず、回復しました。良かった。

この日、二人の選手が担架で退場しました。命懸けで戦っている訳です選手達は・・・。

そんな事もあって冒頭の大竹マネジャーの言葉になるわけです、「選手は命賭けて戦っているんだから・・・」「これじゃぁ、勝負賭けられないよ」