★無理なく人手不足を解消する中小企業のための人材戦略 |  ☆サクセス

★無理なく人手不足を解消する中小企業のための人材戦略

 

 

こんにちは。田村真二です。

 

 

たった1人の人間が、国や会社をガラリと変えるほどの影響力を示すことがありますよね? アメリカのトランプ大統領やマイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏のように。

 

 

前職時代のことですが、1店舗で年商50~100億円を超える小売店の新店および既存店数店で働いていたことがあります。

 

 

規模の大小および新店・既存店を問わず、店長1人が変わっただけで店の雰囲気を始め、社員の意欲や働き方がガラリと変わったことを私は何度も目にしました。

 

 

つまり、それほど経営者や店舗責任者の影響力は強いわけで、同じ人でもどの会社のどの店の誰の下で働くかで、仕事や人生に与える影響が大きく変わるということです。

 

 

特に人が介するサービス業の場合は、顧客と接する現場で優れたサービスを生む連鎖は、現場の従業員からではなくトップから始まります。

 

 

顧客と接する従業員がやりがいを持って働いてくれていれば、自ずと雰囲気も明るくなりますし顧客にも伝わります。しかしそれは自然にできるものではありません。

 

 

経営者や店舗責任者が情熱を持って会社や組織内外に「ビジョン」(企業のあるべき姿)や「ミッション」(企業の存在目的・理由)を浸透させ、従業員を中心とした企業文化の醸成に努める必要があります。

 

 

 

企業はあるべき姿・存在目的を示す義務がある

 

 

企業は何のためにあるのか、という議論は昔からあります。

 

 

アメリカのビジネススクールでは、「企業は株主のもの。経営者は株主に雇われていて、株価や利益の最大化が使命なのだ」と教えているところもあります。

 

 

確かにその一面は否定できません。経営者がどれだけ優れた考えや先見性をもっていたとしても、株主の意向で「退場」を命じられることも実際にありますから。

 

 

でも、(株主である)デイトレーダーの中には、株を買っても数分後には売ってしまう人たちも多くいます。彼らは企業の理念や戦略、どんな商品やサービスを提供するかには関心がありません。関心事はただ1つ、買った株が上がるかどうかです。

 

 

アメリカのアップルやスターバックスのような超一流企業でさえ、創業経営者からバトンを受け取ったCEOが、株式市場の意向を汲み取り、短期的な売上・利益志向に突き進んだ結果、企業存続の危機に陥ったことがあります。

 

 

しかしこれは上場企業に限った話ではありません。非上場企業の多くの同族企業でも、株主(同族)の中には報酬や配当さえしっかりもらえればそれでいい、と考えている人も少なくありません。

 

 

でも私は、それはちょっと違うのではないかと思うのです。社長1人だけや家族だけの会社なら、お金や利益を増やすことを目的としても構わないと思います。

 

 

でもそうでなければ、企業の目的はお金以外の何か、つまり会社のビジョンやミッションが大事になると思うのです。お金や利益は、ビジョンやミッションを実現するための手段として必要なのです。

 

 

前職時代にあるフィットネスクラブを(赤字経営により)閉鎖することになり、会員向けの閉鎖説明会を開催していたときのことです。

 

 

私は多くの会員から、「このクラブが閉鎖されたら困る」「このクラブでの運動のおかけで健康が支えられてきた。閉鎖されたらどうすればいいのか」という切実な声に触れ、いかにフィットネスクラブ事業が人々の、健康維持や増進に貢献する、真に価値あるビジネスなのかを痛感しました。

 

 

(公的機関ではない)民間企業は、どれだけ人々に役立つ事業に取り組んでいたとしても赤字のままでは経営を続けることはできません。言うまでもなく企業を存続させるには、お金や利益が必要です。

 

 

経営コンサルタントとして私が人々の健康維持増進に貢献する企業の経営を支援する目的も、素晴らしい活動に取り組んでいるにもかかわらず(中小企業を中心に)多くはほんのわずかな利益しか上がっておらず、赤字の企業も少なくないからです。

 

 

とはいえ、企業の本質的な目的はお金や利益を得ること自体ではなく、企業活動を通じて世の中に何を提供するか、どのような価値を提供するかにあります。国内外や規模の大小を問わず、優れた企業の多くは、常にそれらを世の中に発信しています。

 

 

 

企業は誰のものか?

 

 

アメリカのビジネススクールでは、「企業は株主のもの。経営者は株主に雇われていて、株価や利益の最大化が使命なのだ」と教えているところもありますと述べました。

 

 

しかし、米経営者団体ビジネス・ラウンドテーブルが昨年8月に出した声明では、「企業は株主だけではなく、すべてのステイクホルダー(利害関係者)の利益を追求する」と宣言しました。アメリカの企業(でさえ)も「変化を迫られている」ということです。

 

 

実際、株主への利益を最優先する従来のやり方が格差を招いたと批判を浴び、アメリカを始め世界の企業は今、社会や環境により配慮した経営(ESG)が求められていると言われています。

 

 

世界最大の投資運用会社、米ブラックロックCEOのラリー・フィンク氏によれば、「世界の労働人口の約3割は(1980年代~00年前後に生まれた)ミレニアル世代だ。彼らはベビーブーマー世代と価値観が異なり、企業理念や存在意義を重視する傾向がある。世代交代は社会に大きな変化をもたらすだろう」と述べています(2020年2月9日付日本経済新聞より)。

 

 

 

人が辞めないことが問題になる会社

 

 

流通・サービス業界で従業員満足度調査などを行うMSコンサルティングによると、「日本の小売りや外食を含むサービス業の店舗で1年間に退職する従業員の割合が26%に上る」とのことです(2019年3月29日付日経MJより)。

 

 

つまり、サービス業の店舗で働く従業員の4人に1人が1年間で辞めているということです。これでは、辞めた従業員の穴を埋めようと新たな従業員を採用しても定着しない、人手不足が解消しない「負のスパイダル」状態と言えます。

 

 

一方で、日本のスターバックスには約3万人のスタッフがいて、ほとんどが非正規社員(アルバイト)だそうです。それにもかかわらず、なぜあれほどフレンドリーな接客ができるのか、と疑問に思うことはありませんか?

 

 

以前、元スターバックスCEOの岩田氏からこんな話を聞いたことがあります。

 

 

(ここから)

 

スターバックスのスタッフは、心からスターバックスのミッション「人々の心を豊かで活力あるものにするために一人ひとりのお客さま、1杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」を理解していて、実現したいと思ってくれている。

 

 

決して給料が高いわけではありません。スターバックスでは、大体10店舗に1人、エリアマネジャーと呼ばれる人がいます。あるとき、経営会議で「エリアマネジャー100人が3年間で3人しか辞めなかったのは問題だ」という議論が起きました。

 

 

つまり、スターバックスでは人が辞めないことが問題になるのです。

 

(ここまで)

 

 

私もよく行くスターバックスは、人が辞めないことが問題になる会社だと知り「やっぱりそうだったのか」と納得しました(ただし国内の店舗に限ってのことですけど)。

 

 

そう言えば昨年3月、米国の優良フィットネス施設を視察訪問した際、館内の壁に「OUR MISSION(私たちのミッション)」を掲示していた施設がいくつかありました。

 

 

 

「OUR MISSION」を館内に掲示するアメリカのフィットネスクラブ

 

 

日本のフィットネスクラブではほとんど見かけることはありませんが、米国の優良施設は「やはりミッションを大切にしているんだな」と思いました。

 

 

「スタッフや会員がいる場所にミッションを掲示する」。小さなことかもしれませんが、大切なことではないでしょうか。

 

 

 

経営者・店舗責任者の役割

 

 

ジム・スタジオ・プール・お風呂などの設備がある総合型クラブは、施設や内装、トレーニングマシンやレッスンプログラム内容、会員種別や料金体系など、同業他社とそれほど代り映えしないところが多くあります。

 

 

近年、ジム単体ながら総合型クラブよりも割安で年中無休の24時間ジムが急増した結果、既存の総合型クラブやジム・スタジオ型クラブで会員数や収入を減少させているところが多くあります。

 

 

もちろんただ手をこまねいて傍観しているわけではなく、さまざまな対策を試みていると思います。しかし、業績は一向に上がらず苦しい経営を余儀なくされているようです。

 

 

実は、マーケティングやセールス方法を変えることで会員数や収入を増やすことは(短期的には)可能です。

 

 

例えば(チラシやサイトなどの)広告を変えるだけで、見込み客を倍増させることはそれほど難しいことではありません。オファー(特典)を強化すれば入会率も上がるでしょう。

 

 

しかし中長期的には、業績優劣の違いを生み出すのはそこで働く人たちであり、会員に対する気持ちや働き方を変える必要があります。

 

 

では、似たようなクラブやジムが数多くある中で、一体何が人の違いに影響を与えるのでしょうか?

 

 

そのクラブやジムで働く人たちが、(スターバックスと同様)会社と自分自身に心から誇りを持って仕事に取り組むことができるかどうか大きな違いを生むと私は考えています。

 

 

そのためには経営者を始め、よき責任者(マネジャー・店長)の存在が要となります。

 

 

よき責任者はビジョン・ミッション実現に向けた発言や行動をとります。また、チームメンバーと積極的に交わるとともに、1対1での話し合いももちます。なぜなら、人が会社を辞める主な理由の1つが、上司(や同僚)との関係にあることを理解しているからです。

 

 

会社を辞める理由が給料だけが理由であることは少なく、上司の理不尽に思える発言や指示、不満や失望、人間関係が原因であることのほうが断然多くあるのです(そうですよね?)

 

 

 

採用は「優秀な人」より「ビジョン・ミッションを共有できる人」

 

 

「昔と違って最近の若い人はすぐに辞めるから困る」と嘆いている本人(経営者や責任者)にこそ、問題の本質が潜んでいます。

 

 

スターバックスのスタッフが会社を辞めない(大きな)理由の1つに、もともとスターバックスは「会社を辞めにくい人を採用している」と私は思います。

 

 

スターバックスに入社する人たちの大半は、初めからスターバックスの仕事をスムーズにできる人ではないと思いますが、スターバックスのことが好きであり、価値観が合う人たちであることは確かではないでしょうか。

 

 

多くの会社(とくに中小企業)は、スタッフを採用するとき、「優秀な人材」を採用しようとします。ですが、(人手不足に困らない)一部の会社は違います。

 

 

むしろそうした(優秀に見える)人材を採用しません。求める人材は、「ビジョン・ミッションなど会社の価値観に合う人」「一緒に働く人たちと馴染めそうな人」です。

 

 

仕事に必要な知識やスキルは入社後に教育すれば身に付けることができますが、上の2つは教育では身に付けることができません。なぜなら、「人間性」に関わることだからです。

 

 

私はコンサルタントとして複数の会社の内部に精通していますが、問題を起こして退社する人の大半は、採用決定者によれば、入社時には優秀だった(ように見えた)人であり、かつ上の2つに懸念があった人でした。

 

 

短期的には「即戦力」として会社の役に立つ人が、中長期的には「問題児」となって会社を去るケースは案外多くの会社で見られるのではないでしょうか。

 

 

要するに、人手不足を解消するには「採用」と「教育」がカギだということです。加えて、経営者や責任者が情熱を持って社内外に「ビジョン」や「ミッション」を浸透させ、従業員を中心とした企業文化の醸成に努める必要があります。

 

 

あなたの会社ではこれらの取り組みが行われているでしょうか?

 

 

 

 

それでは、次号をお楽しみに!

 

 

 

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