売上・利益増大につながるフィットネスクラブ経営戦略 | 「サクセス」by田村真二

売上・利益増大につながるフィットネスクラブ経営戦略

 

こんにちは。田村真二です。

 

 

国内フィットネス業界の2018年売上高は業界史上最高値の4,786億円を記録し、前年比104.0%を達成しました。

 

 

今月から来月にかけては、大手企業を中心に’20年3月期の上期決算が発表されますが、成長軌道を維持することはできているでしょうか?

 

 

近年、ジム・スタジオ・プールなどを併設した総合業態をとる既存の大型フィットネスクラブの業績が、かつてと比べて低迷、または悪化する傾向がみられます。

 

 

たとえば総合クラブを全国に多店舗展開することで業績を拡大してきた業界大手3社合計の2018年度売上高は前年比98.9%、営業利益は同86.3%といずれも前年割れとなりました。

 

 

各社ともスイミングスクールを中心にスクール部門が伸びた一方で、大人対象のフィットネス部門は伸びを欠きました。

 

 

背景には、利便性と割安料金の24時間営業のジムの出店増加、パーソナルジムやダイエット専門ジムの成長、ホットヨガや暗闇系プログラムなど小規模目的志向の専門スタジオなどのけん引が挙げられます。

 

 

こうした中、総合業態を柱とする大手・中堅企業の中にも、24時間営業のジム展開(やジムエリアのみ24時間営業化)、スタジオのホットプログラムや暗闇ワークアウトプログラムの導入拡大などの対策を進めているところが増えています。

 

 

ただこれらの対策は、先行する専門業態企業の業態や商品・サービスを取り入れるという意味で(一部企業の取り組みを除き)「差別化」や「独自化」ではなく、「同質化」といえます。

 

 

したがって、(業績面で)短期的にはプラスになったとしても、中長期的には同質化競争が激しさを増し、体力勝負になる可能性が高いといえます。

 

 

そのため総合クラブなどの既存業態が、会員数を維持拡大する難易度はより一層高まることでしょう。そこで私なら、経費をほとんど増やさない「この方法」で売上・利益の増大に取り組みます。

 

 

 

会員数第一主義の落とし穴

 

 

会員制ビジネスにおける売上高の要素は「会員数」と「客単価」です。つまり、ある月の売上高は(会員外売上を除けば)「会員数×客単価」になるということです。

 

 

したがって、売上高を増やすには会員数だけに注目するのではなく、客単価にも目を向けることが(会員数と同様に)重要になるということがわかります。

 

 

このことを理解しておかないと、会員数を増やすことだけに意識が向きすぎてしまいます。その結果、競合出店の影響により会員数が減ると不安に駆られてしまう、会費の安い会員を増やして全体の客単価を下げてしまうというケースが見られます。

 

 

会員数が減って売上が減るのならまだわかりますが、会費の安い会員ばかりを増やした結果、「会員数は増えたけど売上は減ってしまった(が、内心安心している)」という、笑うに笑えないケースもあります。

 

 

要するに、「会員数」だけにしか目が向いていないからこういったことになってしまうのです。これでは近い将来、「格安業態」の普及を始めとした本格的競争時代には太刀打ちできなくなるでしょう。

 

 

 

明暗を分けた2つの総合クラブ

 

 

ある総合クラブは、商圏内に24時間営業のジムを中心に1年余りで競合が6店舗出店しました。その影響で会員数が1割減った結果、売上も1割減少しました。

 

 

別の総合クラブでも同様に、複数の競合出店の影響で会員数が1割減りましたが、売上(会費収入)は以前と変わっていません。両クラブの違いは、客単価に目を向けた施策を行っていたかどうかでした。

 

 

売上高は「会員数×客単価」です。客単価が同じで会員数が1割減れば売上も1割減ります。しかし、会員数が1割減っても客単価が1割アップすれば、売上は同じです。さらに、会員数が同じで客単価が1割アップすれば、売上は1割増えます。

 

 

フィットネス事業に携わっている方ならおわかりだと思いますが、会員数が1割減っても経費はほとんど変わりません。その程度なら、人件費や水道代などの経費にはさほど影響しないからです。

 

 

しかし、利益の減少額は想像以上に大きくなります(だから会員数が減ると多くの経営者は「大変だ~」となるのです)。

 

 

一方で、客単価が1割アップすれば経費も大きく増えるかといえば、多くの場合それほど増えません。それどころか経費はほとんど変わらない場合も少なくないですから、利益は大きく増えます。

 

 

ところが、これまで会員数第一主義で取り組んできたベテラン経営者の方ほど、このことが実感として湧きにくいのです。会員数はもちろん重要ですが、客単価も会員数と同様に重要なのです。

 

 

 

客単価が上がれば売上・利益は(大きく)増える

 

 

フィットネスクラブの客単価を上げるとは、会員1人当たりの月間支払額を増やすということです。下のグラフを見てください。

 

 

 

 

グラフはフィットネスクラブ全国平均の客単価(青)と当社クライアント先B社の客単価(オレンジ)です。2011年時点ではどちらもほぼ同じでしたが、2017年時点ではB社(19,622円)が全国平均(8,287円)に対して約2.4倍客単価がアップしています。

 

 

この間、全国平均客単価はほぼ横ばい、つまり客単価アップ施策はほぼ行われてこなかった一方で、B社は客単価アップ施策を行ってきた結果、客単価大幅アップに成功し売上・利益を増大させました。

 

 

つまり、会員数を増やさなくても客単価を上げることで売上・利益の増大につなげることができるということです(実際にはB社は会員数も増えています)。

 

 

重要なのでもう1度言います。会員数を1割アップさせるのも、客単価を1割アップさせるのも、どちらも売上は1割アップします。そして、前者(会員数増)よりも後者(客単価アップ)のほうがはるかに簡単、かつ、はるかに早く実現可能なのです。

 

 

 

でも、どうやって客単価をアップさせるのか?

 

 

客単価アップの重要性はわかったけど、どうやって客単価をアップさせるのか? と疑問に(知りたいと)思う人もきっといらっしゃるでしょう。

 

 

それはコンサルの重要ポイントであり、企業秘密だから教えることはできません。とは言いませんのでご安心ください。

 

 

フィットネスビジネスで客単価を上げる方法は初級から上級まで様々あります。以下に私とクライアントがこれまで実際に取り組んできた方法をいくつかご紹介します。

 

 

1.アップセリング

例)今ある会員種別の中で、単価の高い会員種別の入会および在籍比率を高める。

 

2.クロスセリング

例)会費以外のオプション商品(レンタルタオルやウェア、レンタルロッカー、サプリメント、パーソナルトレーニングなど)をサブスクリプション型で単品またはセット販売する。

 

3.会費を値上げする(但し上手に行うこと)。

例)価値を高めてすべての会員種別の月会費を数百円~2000円程度値上げする。

 

4.低~中料金の有料グループプログラム(期間限定)をつくって販売する。

例)少人数制グループプログラム(〇カ月集中ダイエット等)/数千円~3万円程度。

 

5.レギュラー月会費の2~10倍程度の会員種別商品をつくって販売する。

例)レギュラー月会費が1万円なら、2万円、3万円、5~10万円の会員種別(サブスクリプション型)をつくって販売する。

 

6.高額商品をつくって期間限定で販売する。

例)2カ月集中ダイエット15~30万円など。当社クライアントの中には、6カ月120万円(プラスオプション有)の高額商品をつくって販売しているところがある(売れています)。

 

 

客単価アップ取組みで忘れてはならないこと。それは、「会員満足につながる」かどうかです。上記施策はいずれも、会員に、クラブライフをより満足していただく(同時に客単価をアップさせる)ために行うことなのです。

 

 

そのためには、単に同じことを繰り返すのではなく、商品やサービスを常にアップデートさせる必要があります。また、内容によってはたとえ総合クラブであっても、会員への「個別対応」が必要になりますから働き方を変える必要が出てきます。

 

 

要するに、客単価アップ取組みの本質は、「会員満足向上」と「生産性向上」に直結する「働き方改革」取り組みだということです。そしてこれは本来、(小規模フィットネスに比べて)会員数の多い総合クラブにこそ今必要とされるものなのです。

 

 

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