中小フィットネス企業の顧客ターゲット戦略 | 「サクセス」by田村真二

中小フィットネス企業の顧客ターゲット戦略

 

 

 

こんにちは。田村真二です。

 

 

 

先週、東京駅に向かう電車の中であるフィットネス企業の社内広告を目にしました。

 

 

いわゆるブティック型スタジオなのですが、数年前に都内で1号店をオープンするや否や大ブレーク。現在店舗数を拡大中の新興企業です。

 

 

広告を見ると①入会金無料、②初月月会費無料、③グッズプレゼントなど魅力的な入会特典が掲載されていました。私は思いました。「この企業でも入会金無料だけではなく、初月月会費無料までしなければ入会者を獲得するのが難しくなってきたんだな」と。

 

 

また、全国でチェーン展開中のあるヨガスタジオでは、入会キャンペーン特典(3カ月間の月会費割引)の条件として入会から1年間の継続義務を謳っていましたが、今夏からその条件を「2年間」に引き伸ばしました。

 

 

2012年以降、フィットネス業界は右肩上がりの成長を続ける一方で競争が激しくなった結果、既存企業においては新規会員獲得や会員継続の難易度が高まっていることがうかがえます。

 

 

そんな中、フィットネス企業の経営者や店舗責任者の方に「顧客ターゲットは誰ですか?」と私が尋ねると、こう答える人が多くいます。

 

 

「3キロ(とか5キロ)圏内の人です」。

 

 

また、月の入会予算が50名でチラシを5万枚新聞折込み(またはポスティング)する場合「獲得したい50名は誰ですか?」と尋ねると、無言になって考え込む人が大半です。

 

 

実はこれらは、誰でもない、ということです。できるだけ多くの人を会員にしたいという熱意から、顧客ターゲットを絞らずにできるだけ広い市場に対応しようとするのです。

 

 

一見、理にかなっているように思えますが、少なくとも競争市場においてこれは大きな間違いです。

 

 

フィットネス企業に限らず、経営者や店舗責任者の多くは、潜在的な顧客を1人でも多く獲得したいがために、顧客ターゲット市場を絞ることをためらいます。気持ちは察しますが、これはマーケティング初心者によくある間違いです。

 

 

しかし、こう考える人もいるかもしれません。「顧客ターゲットを絞ったら入会者が減るのではありませんか?」と。

 

 

その可能性はありますが、少なくとも中小フィットネス企業にとって、それは間違ったマーケティング方法です。なぜなら大企業と違い、投資に対する効果が十分に得られるほど「標的」に当てるだけの矢(=資金)がないのですから。

 

 

中小フィットネス企業のマーケターとして成功するには、狭い顧客ターゲット市場(ニッチと呼ばれる)にレーザーのように鋭く焦点を当てる必要があります。

 

 

 

ニッチを定めてニッチを狙う(ニッチinニッチ)

 

 

「ニッチ」とは、①あるカテゴリーについて、②細分化したサブカテゴリーを、③さらに細分化した部分のことです。

 

 

たとえば、①として「美容と健康市場」について考えてみます。これは非常に大きな市場と範囲が広いカテゴリーです。

 

 

エステサロンでは、②のサブカテゴリーとして美顔、脱毛、脂肪吸引、マッサージ、セルライト除去、スパ、酵素ドリンクなど、さまざまなサービスを提供することができます。

 

 

フィットネスクラブのサブカテゴリーなら、スタジオでのさまざまなレッスンプログラム、トレーニングマシンを使ったジムでの運動、(管理)栄養士による栄養指導、エステサロンなどと組み合わせ複合メニューなど、さまざまなサービスを提供することができます。

 

 

これらのサブカテゴリーの1つ、仮に「美容と健康をサポートするトレーニングマシンを使ったジムでの運動」を選んだとしたら、これはニッチになり得ます。

 

 

中小フィットネス企業(小規模フィットネス)の場合なら、「女性のみを対象にした24時間営業のジム」「ダイエットの女性専用パーソナルトレーニングジム」に焦点を当てると、さらに範囲が絞り込まれます。これがニッチの中のニッチ市場です。

 

 

なぜ市場をそんなに限定する必要があるのかと思っている人もいるかもしれません。その理由はこうです。

 

 

1.中小フィットネス企業におけるジム経営では施設や人、資金などが限られているため、焦点を当てる範囲を広げれば広げるほどマーケティングメッセージがぼやけてしまい、潜在客から気づかれなくなってしまうから。潜在客には、「これは私のためにあるものかもしれない」と思ってもらう必要があります。

 

 

2.サブカテゴリーの「トレーニングマシンを使ったジムでの運動」市場には、より規模の大きな施設や強いライバルたちがいるから。彼らと同じ土俵で戦う限りあなたに勝ち目はない。勝つためには独自の(小さな)市場で一番を目指すことが大切です。

 

 

こうすることで、競争条件が不利な会社でも経営効率を落とさずに経営ができ、相対的に有利になれるのです。

 

 

要するに、中小フィットネス企業におけるマーケティングには、まず狭い顧客ターゲット市場を選ぶ必要があるということです。

 

 

誤解のないように言えば、八方美人はマーケティングの失敗につながりますが、幅広いサービスを提供してはいけないということではありません。

 

 

カテゴリー、サブカテゴリーごとにニッチを定めてマーケティングを行う分には問題ありません。このようにすれば、広い範囲で顧客ターゲットにしていてはできない方法でカテゴリーや地域を広げることが可能になります。

 

 

 

ニッチを狙うことで単価を上げることができる

 

 

ちょっと考えてみていただきたいのですが、もしあなたやあなたの家族が脳梗塞で倒れたとしたら①町医者と、②脳外科や脳卒中の専門医のどちらに治療をしてもらいたいですか?

 

 

当然、専門医ですよね。それでは脳外科医の専門医に診てもらう場合は、町医者よりも診察代が高くなるのは当然だと覚悟しますか? もちろんそうですよね。

 

 

間違いなく専門医の方が町医者よりもかなり高額になることが予想されますが、それでも金額の多寡では判断しないはずです。

 

 

フィットネス業界の場合なら、ライザップがいい例でしょう。ライザップが登場する前までは、一般的なフィットネスクラブの月会費は1万円前後で通いつづけてもらうことが前提でした。

 

 

ところが「結果にコミットする」ライザップの料金は、2カ月集中ダイエットで298,000円(+入会金5万円)と業界常識を打ち破る高価格でした。斬新なビフォー・アフターのテレビCMの効果もあり入会者が殺到しました。

 

 

どうして業界常識をはるかに上回る金額にもかかわらず、多くの顧客がライザップに殺到したのか? そこがニッチを相手にすることの強みだからです。

 

 

脳梗塞の治療であれ2カ月集中ダイエットであれ、専門的なサービスは普通のサービスを提供する何でも屋でいるよりもはるかに高く売ることができるのです。

 

 

専門家は価格(の低さ)で勝負せずとも引っ張りだこになるのです(ただしマーケティングを上手く行えばですが)。専門家はその顧客ターゲット市場における特別な問題を解決するため、高い金額を支払ってもらえるのです。

 

 

その逆に、全員を顧客対象にしようとするチラシを作って5万部撒くのは、自らすすんで専門家ではないことを広く伝えてしまっているということです。ターゲットを広げれば広げるほど「専門性」や「特別感」がなくなり、価格や特典だけで判断されてしまうのです。

 

 

もう一度言います。中小フィットネス企業の経営者やマーケターの多くは、顧客ターゲットを広くすればするほど会員を多く獲得できると思っていますが、それは誤解です。

 

 

入会者を増やしたいのであれば、まずは自社の強みを発揮できるニッチ分野で「専門家」か「一位・一番」になることを決めることです。するとその瞬間から、顧客ターゲットが絞り込まれ、自然に誰を除外するかが決まります(このことは重要です)。

 

 

最後に1つ質問します。「あなたの会社の強みを発揮できるニッチ分野は何でしょうか?」。今日はこのことについてぜひ考えてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

それでは次号をお楽しみに!

 

 

追伸

フィットネス事業で自社の強みを発揮できるニッチ分野を作るのならこのプログラムがおすすめです。

 

儲かるフィットネス事業構築の仕組みづくり