会員制ビジネスに潜む「落とし穴」を避ける方法 | 「サクセス」by田村真二

会員制ビジネスに潜む「落とし穴」を避ける方法

 

SPORTEC2019サイトより

 

 

こんにちは。田村真二です。

 

 

いよいよ本日(7/9)から3日間、「スポルテック2019」が東京ビッグサイト・青梅展示棟で開催されます。

 

 

スポルテックは、日本のスポーツ・健康産業の拡大を推進する日本最大のスポーツショー。私も毎年欠かさず訪問しています(会場で私を見かけた際には、ぜひ声をかけてくださいね)。

 

 

話しは変わりますが、あなたのクレジットカードの利用明細のうち、財布からカードを出さずに行った利用分の請求はどのくらいありますか?

 

 

たぶん携帯電話会社やクラウド利用などから毎月請求があるのではないでしょうか? WOWOWやアマゾンミュージックなどへの支払いもあるかもしれませんね。

 

 

要するに、私たちの関心も支払いも、モノの「所有から利用」へと確実に移行しているということです。それに加えて、日本は本格的な人口減少社会に(これから)突入するため、これまで以上にモノが売れなくなることが確実視されています。

 

 

ひと言で言えば、消費の中心が製品からサービスに移行しつつあることに加えて、毎月(あるいは年払いで)お金が定額課金(時に料金が変動する場合もある)で「自動引き落とし」されつつあるということです

 

 

フィットネスクラブやスイミング・テニススクールのような「会員制」の月会費は、まさに定額制サービスそのもの(流行りの言葉で言えば、サブスクリプション)。

 

 

会員が入会しさえすれば利用の有無に関わらず、退会するまで毎月定期的に会費が自動引き落としされるという(大半の小売業者や飲食業者からすれば)夢のようなシステムです。

 

 

しかしそこには、会員制ビジネスならではの「落とし穴」が潜んでいます。

 

 

 

会員制ビジネスと非会員制ビジネスの違い

 

 

前職時代に小売店で働いていたときのことです。

 

 

毎月の売上予算を達成するために販売計画作成、店出しや商品整理、レイアウト変更、在庫管理や商品発注、接客やレジ打ち、進物包装、ときにはメガホン片手に声を張り上げタイムサービスやイベントなどを行っていました。

 

 

そうした仕事や作業自体は楽しいものでしたが、当時、何が大変だったかといえば、月が替わるとその日から、売上を「ゼロ」から積み上げなければならなかったことです。

 

 

しかも、その状態が何カ月も何年も延々と続くので、気が休まる暇はひとときもありませんでした。

 

 

しかしその後、社内の人事異動でフィットネスクラブやスイミングスクール(と映画館)を運営する店の店長になって愕然としました。

 

 

なぜか? 翌月の収入(売上)の9割前後は、前月中にほぼ確定していたからです。それだけではありません。余程のことがない限り、数カ月先の売上まで「読めた」のです。

 

 

理由は、前者(小売店)のビジネスモデルは「日銭型」で、後者(フィットネスクラブ)は「定額課金型」の違い、ただそれだけです。

 

 

私は思いました。「ビジネスモデルの違いだけで、天と地ほども違う」と。

 

 

小売店時代はお客様に来店していただくために、毎日レイアウトや演出変更を行い、常に売り場を変化させていました(そうしなければお客様は飽きて来なくなるからです)。

 

 

一方で、フィットネスクラブは1週間や1ヶ月間館内をほとんど何も変えなくても、会員数や収入に大きな変化はありませんでした。

 

 

この違いは、双方のビジネスモデルを経験しないと実感できないと思いますが、会員制ビジネスに関わった当初は、正直、「何てラクなビジネスだろう」と私は思いました。

 

 

ですが、会員制ビジネスにもマイナス面は当然あります。「落とし穴」といってよいかもしれません。

 

 

 

会員制ビジネスの落とし穴

 

 

会社も人も仕事がラクになれば、自ら変化を起こそうとは思わなくなります。

 

 

しかし、そうした状態はライバルが不在、あるいは、それほど努力せずとも生き残れる状況下でのみ通用するものです。実際、そうした「古き良き時代」は過去にフィットネス業界でもありました。

 

 

でも、ライバルの数が増大した今は違います。2018年末時点のフィットネス施設数は5,818軒と過去最高となり、同様に、新規開業数も過去最多の533軒を記録しました。

 

 

 

 

 

こうした時代には、会費が自動引き落としされることが仇となり、仕事を先延ばしする、施設やサービスの改善を怠るなどして、会員数や入会見込み客を減らしてしまっているフィットネス企業も少なくないようです。

 

 

しかし、本当の意味でこのこと(=変化への対応スピード遅れ)に気づいている経営者や店舗責任者はわずかです。

 

 

例えば、会員数が減ったのは自社のせいではなくライバルが増えたから、と考えていたとしたら、それはまさに変化への対応不足の表われそのものです。

 

 

会員数や見込み客減少の真の原因は、毎月会費が自動引き落としされる会員制であることに甘んじて、同じことや同じようなことを何カ月も何年も続けてきたからです。

 

 

このように、一見すると、会員制ビジネスは安定収入をもたらす優れたビジネスモデルに見えます。しかし一方では、安定ゆえの大きなリスクが潜んでいるのです。

 

 

例えば、会員が退会する理由はさまざまですが、多くの調査データから「利用が減った・利用しなくなった」が大半です。

 

 

退会理由に「忙しくなったから」と書く人は多くいますが、真因は、クラブやジムに「飽きたから」ではないでしょうか(もちろん本当に忙しくて来れない人もいるとは思いますが)

 

 

おそらく原因は、会員が来館したくなる、あるいは、継続したいと思う動機を(一人一人に)提供することを怠ったからでしょう。そして、新規会員獲得に血眼になる・・・

 

 

会員制(定額サービス)ビジネスの落とし穴が、まさにここにあるのです。

 

 

 

会員満足度向上策と会員継続策が練られているか

 

 

では、会員制ビジネスの生死を分けるポイントとは何でしょうか。一部の優れた経営者や店舗責任者は次のように考え実行しています。

 

 

いかに会員を飽きさせず、継続してもらえるか。そのためのスタッフ教育、新しい仕かけ、サービス向上策、会員一人当たり単価を上げるアップセル・クロスセル、フロントエンドやバックエンド商品の開発と販売。そして、年に数回の小リニューアルや、数年に一度の大規模リニューアルの実施など。

 

 

会員制倉庫型店のコストコは小売業ではありますが、「会員制」を取り入れて大成功しています。面白いのは、営業利益のほぼ同額が「会員年会費」だということです。

 

 

つまり、コストコが商品を安く提供できる理由は、小売業に会員制ビジネスを取り入れたことで(安定収入の)会費収入を得て、商品自体から利益を得なくても儲かるビジネスモデルになっているということです。

 

 

言い換えれば、コストコは会員を集めて維持するために、毎日一生懸命売場づくりや商品管理を行い「会員に継続してもらうために商品を売っている」ということです。

 

 

この方法、ネット販売巨人のアマゾンと似ていると思いませんか?

 

 

それもそのはずです。ジェフ・ベゾスは、コストコ成功の理由を聞くために、2001年に創業者ジム・シネガルに自ら会いに行き、学びを自社に取り入れたそうですから。

 

 

今や定額課金のサブスクリプションは、あらゆる業種、あらゆる企業(や団体)が採用していますが、成功の鍵は、サブスクリプションモデルというだけではなく、いかに会員を飽きさせず、継続してもらえるかどうか。

 

 

フィットネスビジネスも同じです。低来館者やゼロ来館者を放置することなく、対象者一人一人に向けた来館促進活動を行うことはもちろん、顧客起点のマーケティングを行う必要があるでしょう。

 

 

 

それでは次号をお楽しみに。

 

 

追伸

いよいよ明日(7/10)は東京ビッグサイトで講演会を行います。ご参加の皆様、会場でお会いするのを楽しみにしていますね!