フィットネス運営にも役に立つ「リッツ・カールトン流苦情対応」 | 「サクセス」by田村真二

フィットネス運営にも役に立つ「リッツ・カールトン流苦情対応」

 

こんにちは、田村真二です。

 

 

6月も後半に入り、あと2週間ほどで1年の折り返しを迎える時期になりました。

 

 

今週は1年で昼間が最も長い夏至(22日)の週。東京の日の入りは19時ころとなり、スーパーなどでは夕方のピークが遅くなるため、売場の維持や生鮮食品の値下げのタイミングを変えると言います。

 

 

このように、小売業や飲食業などでは、季節(や天候)の変化に伴う人々の変化にいかに対応するかで、顧客満足度や売上・利益に大きな影響を与えます。

 

 

言うまでもありませんが、フィットネスサービスにおいても会員や見込み客の変化にいかに気づき、いかに対応するかは、会員継続や会員獲得の結果を大きく左右することになるでしょう。

 

 

特にサービス業においては、ほんのわずかの(と思われる)対応の違いが、会員や見込み客の満足や不満に直結するということが日常的によく見られます(代表的なものの1つに、「苦情対応」があります)。

 

 

私の好きなホテルの1つで顧客サービスの高さで有名な「リッツ・カールトン」では、全従業員に「苦情対応」についての2時間の講座の受講を義務付けているそうです。

 

 

今から紹介するのは、その講座で教えている内容の一部です。顧客に直接応対するビジネスに携わるすべての方に参考になると思いますので紹介します。

 

 

 

リッツ・カールトン流苦情対応の基礎の基礎

 

 

①軽く扱わない

お客様からの苦情がどんなにバカげていると思えても、笑ったり、陰でからかったりしてはいけない。そんな気持ちを一瞬でも表情に出してはならない。あなたの目の前にいる人にとって、それはきわめて深刻な訴えなのである。

 

 

②自分のこととして引き受ける

苦情を言われたら、自分の問題として受け止めなさい。即座に、「申し訳ありません」と言いなさい。その問題を引き起こしたあなた個人であろうとなかろうと、そんなことは一切関係ない。その瞬間、あなたは会社を代表しており、あなたの発言は会社の見解であるとわきまえなさい。

 

 

③「私が」と言う

別の担当者や部署を持ち出して話を進めてはいけない。「私」を主語として話しなさい。「そうでしたか、担当者の者に手違いがあったそうです」などという言い方は、百害あって一利もない。すでにカッカしている人が、もっと不満を募らせるだけだ。生じてしまった失敗や誤解を、自分に責任があるという態度で引き受けなさい。

 

 

④ゆるしを求める

ためらわず「どうかおゆるしください」と言いなさい。「私たちを」ではなく「私を」と言うことが大切だ。罪を自ら背負うということだ。これは高ぶった相手の感情を鎮めるうえで大きな効果がある。そう言われた苦情客が、「いいや、ゆるさない」と答えるだろうか。殴りかかる客がいるだろうか。まずそんな人はいない。

 

 

⑤こちらの都合を押しつけない

たとえば、会社のマニュアルを持ち出してきて、「弊社のガイドラインでは、それについては・・・」などと説明してはならない。ポリシー14-8-3に何と書かれていようと、腹を立てている人にとっては知ったことではない。

 

 

⑥専門知識を誇示しない

自分に専門知識があるところを示して、例えば、「そうなった原因は、システムがある特定のシグナルを認識して・・・」などと話してはならない。苦情客にとっては、あなたが何を知っていようと、システムがどのように設計されていようと、関係のない話だ。彼らが知りたいのは、自分がこのトラブルで被った痛みを、あなたが感じてくれているかどうかなのだ。自分の話を聞いてもらい、腹を立てるのはもっともだと同意してほしいのだ。

 

 

⑦物取りのための苦情だと思ってはならない

何か(例えばお金)が欲しくて苦情を言っていると決めつけてはならない。ほとんどの場合、彼らはただ話を聞いてほしいだけだ。心のモヤモヤを取り除きたいのだ。自分の意見を尊重してほしいのだ。多くの場合、それだけで留飲を下げてくれる。

 

 

以上は、新刊『伝説の創業者が明かすリッツ・カールトン最高の組織をゼロからつくる方法』(ホルスト・シュルツ/ディーン・メリツ著)からの引用です。

 

 

苦情対応の「基礎の基礎」でこれですから、「中・上級編」の内容は一体どのようなものかは知る由もないかもしれません。

 

 

いずれにしても、「苦情対応には最高レベルの注意を払う」。これが、リッツ・カールトン流苦情対応の基本中の基本です。

 

 

 

田村が経験したスイミングスクール生の親御さんからの苦情

 

 

私もこれまで(あなたと同様)様々な苦情を受けた経験があります。

 

 

確かに、気分を害して苦情を言ってくる人は、ただ話をきちんと聞いてほしいだけの場合がほとんどでした(私自身が顧客のときも同じです)。

 

 

その際、親身に耳を傾けて「本当に申し訳ございませんでした」と言えば、大抵は怒りを収めてくれましたが、私には苦情対応で忘れられない体験がいくつかあります。

 

 

例えば、前職時代にスポーツクラブ事業の責任者をしていたときのことです。あるスミングスクール生の親から、クラブの店長宛てに次のような苦情がありました。

 

 

「子供が昨日プールレッスンに参加した夜、腰が痛いと急に言い出し、先ほど医者に行ったところ『プールレッスンに原因があるのではないか』と言われました。どうしてくれるのですか」。

 

 

当時20代後半の店長(私は30代前半)は、自分がどう対応したらいいかわからず私に連絡をしてきました。

 

 

「これは店長任せではらちが明かないだろう」と思った私は、「今から店に行くから、先方に上司と一緒に訪問する旨を伝えておくように」と伝え、すぐさま私は(本社から約5時間の場所にある)店に向かいました。

 

 

(余談ですが、当時私は13~14店舗を統括する立場でしたが、こうした苦情対応訪問を1~2ヶ月に1回ほどの頻度で行っていました)

 

 

約束した時間に先方宅へ訪問してご両親から話を伺ったところ、幸いすでに子供の腰の痛みはほぼなくなっていたのですが、ご両親が気にされていたことは、子どもの後遺症を含めた将来への不安でした。

 

 

そのため、子供の将来に何かあったら会社として責任を取ってほしいということを何度も言われました(最初は大変お怒り状態で)。

 

 

正直、スクール生の腰の痛みが(時間も経っていたため)レッスンが直接原因かどうかはわかりません。なぜ医者が、「プールレッスンに原因があるのではないか」と親御さんに伝えたのかもわかりません。

 

 

しかし大事なことは、(ご両親の立場に立って考えれば)今は原因究明が先なのではなく、子どもの腰の状態や後遺症を含めた将来への不安だということです。

 

 

そこで私は、「私では判断致しかねますから本社にいる上司に確認してみます」、とは言いませんでした。そんなことをしても、「この人(会社)は頼りにならない」と信頼されないだけですから。

 

 

私は、「もしお子様に将来何かありましたら、私宛に連絡してください」と伝えました(「私が解決します」とは伝えていません)。するとご両親は、ホッとした顔で「そのときはよろしくお願いします」と言いました。

 

 

こうして文章にするとあっという間に感じますが、実はこの間、私と店長は3時間正座を続けていました。話を終えて立ち上がる際、(幸い私は何とか立ち上がれたのですが)店長は足にしびれを感じ、顔を赤らめ、約1分間立ち上がることができませんでした。

 

 

 

リッツ・カールトン流苦情対応は全てのビジネスに役立つ

 

 

今思えば、当時私は、リッツ・カールトン流の苦情対応のいくつかを(完全ではありませんが)実行していたと思います。

 

 

但しそれは、前職時代に上司の苦情対応を近くで見ての学びや、自分自身の苦情対応経験(20代は小売店の売り場で働いていて様々な苦情を受けていた)からです。いわば、経験からの学びでした。

 

 

もし、リッツ・カールトンのようなマニュアルがあり、きちんと講義を受ければ、入社したばかりの新人でも(20代の店長でも)苦情対応のイロハを知り、会社の方針のもと、個人の判断で対応できる範囲は確実に広がるでしょう。

 

 

前述の通り、リッツ・カールトンでは、苦情対応についての2時間の講座を設けて全従業員に受講を義務付け、かつ、修了証書も発行しているとのことです。

 

 

 

苦情はチャンスでもある

 

 

信じられないかもしれませんが、製品やサービスに不満を抱いた顧客やクライアントの中には、対応次第でその会社へのロイヤリティ(=信頼)が生まれることがあります。

 

 

私にもこんな経験があります。アマゾンでコードレスイヤホンを購入したところ、とてもいい製品だったのですが、半年ほど使用したら左のイヤホンから音が聞こえなくなってしまいました。

 

 

購入価格は約3万円。1年間の製品保証期間中でしたので、製品メーカーに電話で伝えたところ、親切な応対とすぐさま返金に応じてくれました。私は思いました。「このメーカーは信頼できる」と。

 

 

私は、製品そのものは気に入っていたのですが、また故障すると嫌なので、同じメーカーの別のイヤホンを購入しました。もし、電話をしたときの印象が悪ければ、そのメーカーから購入することは(仮に製品自体は良くても)なかったと思います。

 

 

そう考えると、苦情はチャンスでもあるということです。

 

 

しかし一方で、どれだけ顧客と良好な関係を築けていたとしても、その関係は保証されているわけではありません。

 

 

来月あるいは数カ月後にまた同じ問題が起これば、お客様はこの会社の製品(やサービス)は当てにならない、と考えるかもしれません。そうなれば、もう一度最初から信頼関係構築の努力をし直さなければなりません。

 

 

つまり、すべての苦情やトラブルは、信頼関係を強化するか、棄損するかのいずれかということです。

 

 

苦情やトラブルは、いつ、だれが対応することになるかはわかりません。そう考えると、リッツ・カールトンのように、どの会社や団体も、苦情対応についてのマニュアルを完備し、講座を設けて、全従業員に受講を義務付けことが肝心です。

 

 

 

それでは次号をお楽しみ。