やっとリーグワンを直で見ることができた | Stadiums and Arenas

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スポーツ観戦が趣味の筆者が、これまで訪れたスタジアム・アリーナの印象を綴るブログです。


日本ラグビー界がプロ化してから、2度目のラグビーシーズン。2019年のラグビーワールドカップの後にプロ化の機運が生まれながら、コロナウイルス感染拡大の影響で流れが滞り、2021-22シーズンにようやく始まったプロリーグですが、このシーズンは生観戦ができませんでした。ちょうどシーズンが始まったタイミングでコロナウイルスの感染が爆発し、積極的にスポーツ観戦がしづらい状況になっていましたし、2022年3月に引っ越しを控えていたこともあって、気が付いたらタイミングを逃し、1年目のシーズンはまったく会場に足を運べず。

そういった事情もあり、2022-23シーズンこそは絶対に見に行きたいと思っていましたが、ここまで3試合に足を運ぶことができました。すべて別のチームのホームゲームでしたので、それぞれの印象をつづりたいと思います。

静岡ブルーレヴズ
記念となるリーグワン初生観戦は、不思議なご縁で2022年年末に旅行した静岡県での、静岡ブルーレヴズのホームゲームでした。

この日がブルーレヴスのホーム開幕戦だったこともあって、地元の名産品を会場で展示しながら、試合和えには歌手の方を招いてショーを行うなどの催しをしていました。ブルーレヴズがもともとヤマハのラグビー部が母体となって作られたことから、ヤマハのレース用バイクのエンジン音を鳴らしながら選手が入ってくるという演出が面白かったです。

3チームのホームゲームを見ましたが、ブルーレヴスが一番会場の演出にはこだわっていたと思います。自分達はもう実業団なのではなくて、お客さんを楽しませるためにあるプロのスポーツチームなんだという意識が強く感じられました。そのための方法はまだ試行錯誤していますが、それを試みていること自体に意欲が感じられます。実業団時代は、なかなかタイトルには恵まれないチームでしたが、数年経った後にリーグワンでもトップクラスのファンベースを持つチームになるかも?チームの実力も、この日は王者・埼玉ワイルドナイツを相手に終盤までリードして、もしかしてアップセットになるかと思わせるような試合でした。




2022年12月25日、静岡ブルーレヴズ埼玉ワイルドナイツの試合より。

東芝ブレイブルーパス東京
続いて見に行ったのは、東芝ブレイブルーパス東京のホームゲームでしたが、このチームがメインの本拠地として使用している味の素スタジアムではなくて、等々力陸上競技場での試合でした。

あるいは味の素スタジアムではもう少し趣向が違うのかもしれませんが、ブレイブルーパスは、主催者側の派手なパフォーマンスはあまりなく、この辺りは東芝府中ラグビー部時代から質実剛健の気風が強いブレイブルーパスらしい。ただ、応援歌を作って流したり、太鼓の演奏に合わせて選手が入場したり、ピッチ周辺に集音器を設置して、ピッチの声が客席に届くような工夫を凝らしたりと、こちらもいろいろと新しいことを試そうとしていました。




2023年1月7日、東芝ブレイブルーパス東京静岡ブルーレヴズの試合より。

三菱重工相模原ダイナボアーズ
その次に見に行ったのは、三菱重工相模原ダイナボアーズの試合でした。リーグワン1年目は2部からスタートしながら、今期1部に昇格し、序盤戦の台風の目になりました。トップリーグ時代も、あまり最上位リーグに定着できていなかったチームだったので、今期序盤戦に勝ち星を伸ばしたことは多くの人を驚かせました。

このチームは、専属のチアリーダーがいて、試合前やハーフタイムのショーで盛り上げるという、バスケチーム的な演出をしていました。そして、今までプロバスケの試合をさんざん見てきましたので、チアのパフォーマンスも結構見てきているつもりですが、その中でも他の会場では見たことのない独自の構成がなされていて、見ごたえがありました。ダイナボアーズは、正直実業団的なカラーが残っているのかなと思っていたのですが、プロチームとして娯楽性にもこだわっていると思います。

また、会場の相模原ギオンスタジアムの交通の便が少し微妙なところなので、大きな駅へのシャトルバスも運行してくれて、こう言った配慮も非常にありがたかったです。スタジアムは、芝生席を除いて7000人以下しか収容できない小規模な競技場ですが、ここまでの平均観客数も4000人以下ですし、これぐらいだったらむしろ大きなスタジアムだと歓声が分散して味気なくなってしまう。小さなスタジアムだったからこそ、いい雰囲気でした。






2023年2月5日、三菱重工相模原ダイナボアーズコベルコ神戸スティーラーズの試合より。一番上が、選手入場のシーン。中・下がハーフタイムのチアリーダーのパフォーマンスと、オーロラビジョンの映像(ちょっと遠かったので……)。

もちろん、日本国内のラグビーを盛り上げていくという意味で、まだまだ正直課題は多い。これまで見たすべてのチームに、プロチームとして新しいことを試していこうという意欲は感じられますが、まだ試行錯誤の段階だとは感じます。バスケなどの屋内競技では、照明やレーザーなどを使った派手な演出ができますし、体育館やアリーナだとショーがスタンドから近いのですが、屋外競技はどうしてもそのあたりが劣ってしまう気がします。かといって、試合前やハーフタイムにコンサート並みの演出のために必要な設備を持ち込むなんて無理ですしね。あるいは、屋外競技は屋内競技以上に、スタンドのファンの自発的な働きかけがないと盛り上げにくいものなのかもしれません。

そして、これは少しプロと呼ぶには恥ずかしすぎるんじゃないの、と思わされるところも、ラグビーにはまだあります。チケットを見せる入場口に長蛇の列ができて、入場まで10分近くかかってしまったり、あと会場の食事の出店の回転が悪くてこちらも買うまで20分くらいかかるところも多かったです。キッチンカーの数が少ないというよりも、出店を出している人達が慣れてなくて、食べ物提供の流れ作業ができていない感じでした。ですが、多くのお客さんを呼び込んで、キッチンカーの宣伝もするのであれば、これはいただけません。お昼前後の試合開始だったので、会場で食事を調達できると見越して会場まできたのに、結局試合開始までに食べ物が買えず、2・3時過ぎまでお昼を食べずの観戦を余儀なくされました。このような状況は、アマチュアであれば仕方ないですが、プロのサービスとしては失格です。

お客さんの入りも、一番最初に見たブルーレヴスの試合は9000人が入っていましたが、ブレイブルーパスの試合は5000人以下で、ダイナボアーズの試合は3600人ほどでした。やはり、ラグビーはどうしてもルールが複雑でとっつきにくさがあり、ただやるだけではサッカーと同じような集客は見込めない。もっとお客さんを呼び込むためにアイディアはいろいろ試していますが、まだ試行錯誤の段階であるように思えます。

ただ、今期はこれまで見に行った4試合すべてにそれなりに見ごたえがあり、この内容であれば、あまりラグビーに詳しくなかった人でも、何回か試合を見に来てもらえればその楽しさがわかってくれるとは十分に感じました。だからこそ、その最初の数回足を運んでもらうために、会場にいい雰囲気を作り、運営の人々にチームを宣伝してほしい。そして、その意思はこれまで見に行ったすべてのチームから伝わりました。

あとは……やはり、チームが関東に集中しすぎている問題でしょうか。面白いリーグなので、できればこれがもっと広域に広がってほしいと思うのですが。面白いだけに、今ある課題を明確にして、さらに発展させるたたき台にしてほしいところ。とはいえ、このリーグを見ているのは本当に楽しいので、シーズンが終わるまでめいっぱい堪能したいと思います!

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